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「ビビンバ」や「プルコギ」など、薬食同源を旨とする韓国のオモニの味。

韓国の食文化 韓国の食文化

韓国では古くから古代中国の世界観「陰陽五行説」の影響を受け、食べ物はすべて薬であり、日々の食事で健康を守るという「薬食同源」の考えが根づいています。また、献立には「五味五色」を取り入れることを重んじてきました。「五味」は塩・酸・苦・甘・辛の味を、「五色」は赤・青・黄・白・黒の色をさし、これら「五味五色」を備えた料理を食卓に並べることで、健康的な食生活が送れると考えられてきました。

「五味五色」に重要なのが「ヤンニョム(薬念)」と「コミョン」です。「ヤンニョム」は、味の基本となる合わせ調味料のことで、みそやごま油などの調味料と、とうがらしなどの香辛料、しょうがやにんにくなどの香味野菜を組み合わせ、複雑な味を作り出します。一方、「コミョン」は、料理の彩りのためにあしらう五色の飾りで、赤とうがらしの赤、ほうれん草の青、大豆の黄色など食材の色を生かして作ります。これらを駆使し、食材や調理法が重ならないように工夫され、多彩な味と彩りをもつ独自の料理が作り出されました。

韓国の食文化を語るうえで欠かせないのが「ミッパンチャン(常備菜)」です。韓国のオモニ(お母さん)たちは、たくさんの種類の常備菜をふたつき容器に入れ、冷蔵庫に常備しています。漬物、あえ物、煮つけ、炒め物など、数々の品をサッと並べて食卓を豊かにし、残ればまたふたをして保管します。並べる品数が多いほどよしとされ、こうしたおかずをいかに準備するかが、オモニの腕の見せ所です。中でも「キムチ」は格別の存在。種類も豊富で、食卓には常に数種類のキムチが並びます。長くて厳しい冬を越さなければならない韓国では、翌春までに食べる分の大量のキムチを初冬に漬け込む「キムジャン」という年中行事があり、キムチ専用冷蔵庫も販売されているそうです。各家庭で作られる手作り常備菜は、まさにオモニの味です。

「薬食同源」を旨とし、食べるのが大好きな韓国人。人々の間でよく使われる「モメチョッタ(体にいい)」という言葉は、食べる意欲をかきたてる言葉なんだとか。身体によいものを取り入れて、健康や美容によいことをしようという意識の高さをうかがわせます。たくさんの野菜を使い、彩りやバラエティに富んだ深い味わいをもつ韓国料理からは、人々の健康への願いとともに、強い矜持が感じられます。

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