
辛味、酸味、甘味、塩味、香りが絶妙に交じり合った人気のタイ料理。
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ヤム・ウンセン(春雨サラダ)
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ゲーン・キャオ・ワーン(タイ風グリーンカレー)
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カイ・トゥン(タイ風茶碗蒸し2種)
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カオ・マン・ガイ(ゆで鶏のせ炊き込みごはん)
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クン・オップ・ウンセン(エビと春雨の蒸し物)
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グルアイ・ブアットチー(バナナのココナッツミルク煮)
インドシナ半島の中央に位置するタイ王国。熱帯モンスーン気候で、年間の平均気温は約29℃の暑い国です。ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアと国境を接し、南北に長いタイは、大まかに4つの地域に分けられます。東北部はもち米が主食で昆虫も食べる、海に囲まれた南部では魚介類が多く激辛で味が濃いなど、気候風土や地理的背景により、それぞれ食文化が異なります。「トム・ヤム・クン」など日本人がイメージするタイ料理の多くは、首都バンコクがある中部地域のものです。
タイ料理というと一般には辛いというイメージが強いですが、その味つけはとても複雑です。とうがらしやこしょうの「辛味」に加え、ライムやタマリンドなどの「酸味」、ヤシ砂糖などの「甘味」、ナンプラー、エビ味噌といった発酵調味料の「塩味」や「うま味」、これにレモングラスやパクチ―など生ハーブの「香り」が加わり、奥行きのある独特の味わいを生み出します。日本で「タイ風グリーンカレー」と呼ばれる「ゲーン・キャオ・ワーン」も、インドカレーのような香辛料の組み合わせではなく、とうがらしや生ハーブ、発酵調味料を混合したペーストをもとにして作ります。また辛味の強いタイ料理にマイルドさを与える大切な役割を果たすのが、ココナッツミルクです。ココナッツの実の内側にある胚乳を削り、水を加えてしぼったもので、比較的マイルドで甘いと言われる中部地域の料理によく使われます。
ところでタイといえば屋台が有名ですが、首都バンコクではショッピングモールやデパートのフードコートも人気があります。どちらも、さまざまな食べ物を売る店が数多く並び、価格も安いため、市民の間では外食や中食の習慣が根づいています。中流以下のアパートではキッチンがないことも多く、すべての食事を外食、中食でまかなうことも珍しくありません。しかしわれわれ日本人がそのようなところで食事をして戸惑うのは、1人前の量が思ったより少ないこと。実はタイでは間食する人が多く、食事どき以外でも、何かしら口にしている姿をよく見かけます。街中の屋台では、串焼きや点心のようなスナック、カットフルーツ、甘いデザートや飲料など、実に多くの魅力的な「おやつ」が売られ、小腹がすけば気軽に食べられる、実にうらやましい環境がととのっているのです。
タイ人にとって「おいしい」=味が濃いことだとか。屋台やレストランの卓上にはナンプラー、とうがらし粉、酢、砂糖の4種類の調味料セットが置かれ、器の中で好みの味を作りながら食べるのがタイ人のスタイル。タイを旅したときは現地の人々に交じり、自分好みの味を見つけてみるのもよいでしょう。