写真1
豊富なノウハウ・実績から生まれた信頼できる確かな技術
近年、コンクリート構造物は環境や立地条件などが多様化している中で、海岸地域の塩害、寒冷地域の凍害、その他アルカリ骨材反応によって早期に劣化が生じています。
このコンクリート構造物の長寿命化を目的に開発されたシラン・シロキサン系高性能浸透性吸水防止材、それが「マジカルリペラー®」です。
劣化要因に対する性能のグレード
評価項目 | グレード | |||
---|---|---|---|---|
性能 | 評価値(%) | A | B | C |
透水に対する抵抗性 | 透水抑制率 | 80以上 | 80~60 | 60以下 |
吸水性に対する抵抗性 | 吸水抑制率 | 80以上 | 80~60 | 60以下 |
透湿性 | 透湿比 | 80以上 | 80~60 | 60以下 |
中性化に対する抵抗性 | 中性化抑制率 | 80以上 | 30~10 | 10以下 |
塩化物イオン浸透抵抗性 | 塩化物イオン浸透抑制率 | 80以上 | 80~60 | 60以下 |
旭化成アドバンス調べ
旧 NETIS登録番号 TS-030006-VR
マジカルリペラーならびにマジカルリペラーHVは、NETIS実施要領に基づく掲載期限を迎えたため掲載を終了しました。
なお、「NETIS掲載期間終了技術リスト」にて技術名称等の提供は引き続き行われています。
http://www.netis.mlit.go.jp/NetisRev/
コンクリート表面に塗布することで、吸水防止成分がコンクリート内へ浸透し、表層部に吸水防止層を形成する材料。
RC構造物の劣化原因である水分や塩分等の浸透を著しく抑制することが出来ます。
これに伴って、
塩害(塩化物イオン浸透抑制効果)
凍害(外部からの水分供給抑制)
アルカリ骨材反応
(外部からの水分供給抑制、内部の水蒸気は排出)
写真2 吸水防止効果(撥水効果)
項目 | マジカルリペラー® | マジカルリペラー®HV |
---|---|---|
分類 | シラン・シロキサン系 | シラン・シロキサン系 |
有効成分量 | 80% | 90~99% |
性状 | 乳白色ペースト状 | 半透明ジェル状 |
分類 | 水系 | 無溶剤系 |
標準塗布量 | 0.2kg/m2 | 0.2kg/m2 |
塗布回数 | 1回 | 1回 |
消防法の適用 | 非危険物 | 第4類第2石油類 |
写真3 橋梁高欄部 塗布状況
写真4 高規格道路橋梁橋脚部
写真5 鉄道橋梁橋脚部
マジカルリペラー®を塗布することにより、コンクリート面に浸透して水滴を通さない吸水防止層が形成されます。
マジカルリペラー®は浸透タイプのため、塗膜のように剥れや膨れを生じることはありません。摩耗などによって浸透層が物理的になくならない限り効果は続くと考えられています。
吸水防止効果によりコンクリート構造物の塩害、凍害、アルカリ骨材反応などの劣化進行を抑制します。
シラン系 | コンクリート中のアルカリ成分にて徐々に分解される。 長期的な吸水防止効果は期待できない。 |
シロキサン系 | 極表層部のみの吸水防止層 摩耗等により吸水防止層自体が無くなってしまう。 |
一般的に2年程度で撥水効果が無くなる。
1~2年毎に再塗布をする必要がある
十分に浸透した高密度の吸水防止層を形成
シラン・シロキサン系はコンクリート中のアルカリに分解されにくい。
表層部が揮発したり,摩耗しても内部には十分な吸水防止層が存在する。
吸水防止層は、水蒸気を通過させることができるので、塗膜のようにコンクリート内部に水分がこもるような問題や剥れ・膨れを生じることはありません。
表面被覆工法
マジカルリペラー®
マジカルリペラー®構造図
マジカルリペラー®により形成される吸水防止層は、無色透明であるため、構造物の外観を損なうことなく長寿命化を図ることができます。
塗布前
塗布直後
塗布後6時間
マジカルリペラー®は、有機溶剤を使用しない環境に配慮した材料です。
消防法:非危険物
陸上・海上・航空運輸:非危険物
マジカルリペラー®の施工方法
マジカルリペラー®は、コンクリートに浸透しやすくかつ揮発しにくいように工夫された2種類のシリコーン分子を混合しています。このためコンクリート表層面に高密度の吸水防止層を形成して、高い防水効果を長時間持続することができます。
マジカルリペラー®の吸水防止効果を確認するために、マジカルリペラー®を塗布したコンクリート供試体を水中に浸漬し、浸漬前後の供試体の質量変化を測定した結果、無塗布の吸水率に対して約1/6程度まで低減できることが確認されました(図1)。
遮塩性については、塩水乾燥繰返し試験を行い効果を確認しています。塩水噴霧試験12分間および乾燥5時間48分の6時間を1サイクルとして600サイクルまで実施後、EPMA[電子線マイクロアナライザ]による分析を行いました。マジカルリペラー®を塗布しない供試体に比べて、塗布した供試体は著しく塩化イオンの浸透を抑制していることが確認できます(図2)。また、別の研究では、塩水浸漬乾燥試験を実施した結果図3が示すように、まったく塩化物イオンが浸透しなかった例もあります。
塩化物イオンの浸透状況
写真10 マジカルリペラー®塗布塩化物イオンの浸透状況
写真11 マジカルリペラー®未塗布図5 塩化物イオンの浸透状況
写真10 マジカルリペラー®塗布
写真11 マジカルリペラー®未塗布
凍結融解抵抗性については、マジカルリペラー®を塗布した供試体の凍結融解抵抗性を相対動弾性係数の変化で調べ、凍結融解サイクル240回付近から差が見られ、塗布したものは凍結融解抵抗性が向上することを確認しています。
浸透深さについては標準的には数mm程度ですが壁高欄での試験施工では最大で18mm浸透した報告もあります。
マジカルリペラー®はペースト状で粘性が高く、施工時に飛散や液ダレをほとんど生じないため、塗布量を管理することが可能であると同時に天井、壁、床などの方向性による浸透深さの影響も受けにくくなっています(図6)。また、有効成分が80%と高く、1回の塗布で充分な撥水効果を得られるように設計されています。そのため、3回程度の塗布が必要であったシラン系撥水材に比べ施工効率が向上しています。施工はローラーまたはエアレススプレーで行います。
サンシャインウェーザーメーターによる耐候性試験では3000時間後の撥水効果が確認されています。現場における性能の確認としては東北地方でマジカルリペラー®を塗布したダム高欄の5年後の状況を確認した結果、写真2に示すように吸水防止効果の持続が検証されました。また、海外で使用されているシラン・シロキサン系浸透性吸収防止材の40年程度にわたって効果を持続している報告もあります。
写真12 撥水効果
マジカルリペラー®はシラン・シロキサンのシリコーンを適量混合することによってコンクリート内部におけるアルカリによる分子結合の分解というシラン系浸透性吸水防止材の弱点を解決し、長期間コンクリートの撥水性能を確保することを可能にした材料です。
耐候性促進試験後の吸水防止効果
旭化成アドバンス調べ
耐候性促進試験後の吸水防止効果 マジカルリペラー® 無塗布
耐候性促進試験後の吸水防止効果 マジカルリペラー® 塗布
時間経過と吸水量の関係
※マジカルリペラー®は鹿島建設株式会社の登録商標です