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賃貸住宅の新型コロナウイルス対策

経営ノウハウ

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2020年6月 9日

賃貸住宅の新型コロナウイルス対策

全国的に緊急事態宣言が解除されましたが(5/26)第2波が懸念されており、経済への影響はこれから表面化するものが出てくると思われます。賃貸住宅への影響は限定的だと思われますが、収入が激減した入居者は家賃への負担が大きくなっていることは報道でもよく耳にします。第2次補正予算で「家賃支援給付金」が創設されますが、今後賃貸住宅オーナーとして、どのような対応が必要とされるのか、考えてみたいと思います。

家賃減額要請、滞納への対策は?

■「家賃支援給付金」「住宅確保給付金」などの支援策で猶予に応える

飲食店など休業要請を強いられ売上が激減しているテナントは、すでに家賃の減額を要請し、それに応じているオーナーもいるといいます。今後も家賃減額や支払い猶予の相談が増えることが予想されますが、オーナーとしては、どのように対応すればよいのでしょうか?
たとえ新型コロナウイルスの影響で入居者の収入が激減したとしても家賃減額に応じなければならない法的義務はありませんが、なんとか共にこの苦難を乗り越えたいと思っているオーナーもいらっしゃると思います。

まずは新型コロナの影響で収入が激減した入居者への支援策で該当するものがないか、入居者と一緒に確認することです。前回もこのコーナーで紹介しましたが、第2次補正予算が閣議決定され、収入が激減した場合の支援策が拡大しています。
例えば入居者が正社員・派遣社員などで、休業や解雇で収入が減少している場合に、休業になっても休業手当が支払われない場合は、「休業支援金」が賃金の8割支払われる予定です。
家賃に関しては「住宅確保給付金」があり、離職した場合または同等の状況であれば、東京都の場合は単身世帯で53,700円が3カ月間(最長6カ月間)支払われます。

また、入居者がフリーランス・個人事業主の場合は、「持続化給付金」で100万円、「家賃支援給付金」で月額家賃の3分の2(上限25万円)が半年分支給されます。仕事の規模にもよりますが、これで急場をしのげる入居者もいるでしょう。問題は支給のタイミングです。「持続化給付金」は一部支給が遅れています。「家賃支援給付金」は6月中旬に申請が始まり、支給は7月に入るとみられています。オーナーとしても、支援金受給資格者である事の確認が取れれば、支給の時までは家賃の猶予に応じることが入居者支援になります。

■家賃滞納は保証会社が保証

家賃の減額に応じたオーナー向けに、その一部が補助されたり、固定資産税が免除になる支援策があります。これを活用して、入居者支援をする方法もあります。

これらの支援策を活用しても、滞納が発生してしまう場合でも、今は保証会社を契約しているケースが多いと思われます。滞納があっても家賃は保証会社から支払われますので、オーナーへの影響は限定的です。
契約の内容によっては、滞納家賃の他に明け渡し訴訟に発展した場合の費用や残置物撤去費用なども保証するケースもあります。これを機会に、再度契約の内容を確認したほうがよいでしょう。また、かつて保証会社が倒産したケースもありますので、その点についても注意が必要です。

家賃の減額要求には、まず支援策を活用して猶予を考える。保証会社と契約していれば、滞納があっても家賃は保証される。

新型コロナ禍での一括借上げのメリット

入居者からの家賃減額要請に応じた場合、減額分も保証会社が保証してくれるのでは?と、保証会社の保証範囲内容を勘違いしているケースが散見されるようですが、家賃保証の場合は、あくまで滞納した場合の家賃を保証するものです。

今回の新型コロナ禍で、最もオーナーへの影響が少ない管理形態は「一括借上げ」(サブリース)による管理でしょう。家賃の減額要請や滞納については、まず管理会社が対応します。入居者の状況に応じて、適宜、減額をしたり、支払い猶予で支援していると思われますが、その結果、滞納や空室が発生したとしても出ても、オーナーには家賃は変わりなく定額の家賃が支払われます。新型コロナは誰もが予想し得なかったことですが、今回の局面では「一括借上げ」のメリットが大きいといえます。

ただし、新型コロナの影響は長期化が予想されています。長期にわたり経済が低迷し、家賃相場全体が下がってきたら、更新の時に契約賃料の減額交渉はあるでしょう。
今後の家賃相場を予測することは難しいのですが、リーマン・ショックの時は他の金融商品などと比較しても家賃が大きく下がることはありませんでした。今後の動向を注視していきましょう。

新型コロナ禍では「一括借上げ」(サブリース)のメリットが大きい。入居者対応は管理会社が行い、家賃の支払い猶予、滞納などがあっても、オーナーへの家賃は契約通り支払われる。

無料Wi-Fi、宅配ボックスなどの設備投資で入居者支援

今回の未曽有の事態に、賃貸住宅オーナーとして何かしらの入居者支援を考えている方もいらっしゃると思います。その一つの支援となるのが、設備投資です。今回のことに限らず、設備投資は今後の賃貸経営にとってもよい影響がありますので検討してみてもよいでしょう。

緊急事態宣言の外出自粛によって増えたのが在宅ワーク、そして大学のリモート授業です。そこで、必要になるのが通信環境。特に学生の場合が懸念されていますが、インターネットの通信速度制限がかかるような状況では、思うようにリモート授業が受けられません。必要なのは、制限のかからないインターネット、Wi-Fi環境があることです。
このコーナーでも定期的にお届けしている「人気設備ランキング」では、「インターネット無料」が単身向けも、ファミリー向けも1位です。学生にとっても、テレワークをする社会人にとっても、Wi-Fi環境は今後も必須の設備となります。まだ、設置していないようなら、この機会に、無料Wi-Fi設備の導入をお勧めします。

もう一つライフスタイルで増えたのが、ネットショッピングです。ここで必要なのが「宅配ボックス」です。在宅が増えれば必要なさそうでもありますが、今や1日に2回、3回と宅配便が届くこともあります。それで外出が制限されるのも、またストレスがたまります。また、宅配業者と対面で荷物を受け取ることに感染リスクを感じている人もいます。人気設備ランキングでも「宅配ボックス」は常に上位です。郵便受け下のデッドスペースなどに後から設置できる小型のタイプも増えていますので、検討してみてはいかがでしょうか。

「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」ランキング■単身者向け物件■ファミリー向け物件

テレワークやリモート授業に必須のWi-Fi設備、ネットショッピングに便利な宅配ボックスなどの設備投資は入居者支援につながる。

入居者に掲示板で感染症予防を注意喚起

入居者に感染予防を呼びかけることも重要です。例えば、掲示版に「手洗いやマスク着用」の感染症対策のポスターを掲示するなど、入居者に呼びかけます。くどいようにも思われますが、賃貸住宅自体、管理面で感染予防を心掛けているというアピールにもなります。感染予防のポスターは、以下のものが厚生労働省のホームページでダウンロードできますので、活用するとよいでしょう。併せて、共用部は定期的に消毒し、その旨も掲示板で知らせると安心感につながります。また、オートロックなどの場合は、エントランスホールに入居者用の手指消毒液を置いておくと喜ばれます。

感染症対策ポスター

厚生労働省ホームページの「啓発資料」。自由にダウンロードして使用することができます。

■トイレットペーパー、除菌グッズ、マスクを入居者に配布

また、一時的ですがトイレットペーパーやマスク、除菌グッズが入手困難となりました。特に単身者の場合は、仕事を休んでドラッグストアに並ぶこともできませんので、かなり困惑していたと思います。災害時の備蓄としてストックし、この有事に入居者に配布すると喜ばれるでしょう。

■音トラブルへの注意喚起

また、在宅が増えたことにより、隣室等の音トラブルが増えました。ファミリータイプでは、子どもが休校で騒いだり走ったりする音が苦情になります。そして、意外と気がつきにくいのが、テレワーク会議です。時に相手の声が聞こえづらいときもあり、その影響でこちらもいつもより大きな声で話すことがよくあります。
ステイホームで誰もがストレスを感じている状態では、音に敏感になり、普段気にならなかったドアの開け閉めの音なども気になります。このことも、「ステイホームでの生活音に注意」と掲示板で呼びかける、またはチラシを各戸に配布するのが効果的です。

これらのことは、管理会社でも同様のことに取り組んでいると思います。管理会社と話し合い、入居者支援に取り組めば、結果的に長期入居を促すことにもなります。できるだけ実践したいものです。

入居者とのコミュニケーションも支援につながる。掲示板を活用し、感染症予防、生活音への注意などを呼びかける。

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