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相続したくないアパートの問題点を考える

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2021年6月22日

相続したくないアパートの問題点を考える

賃貸住宅による土地の有効活用は、相続税対策として効果の高い対策の一つです。優良な賃貸住宅は、将来にわたって収益を生み、相続人にとっても相続後の資産形成に役立つものです。しかし、物件によっては負の資産となり、相続人の負担になることもあります。相続したくないアパートの問題点について考えてみます。

メンテナンス費など維持費がかかり、収益が上がらない

適切なメンテナンス管理が施されていないアパートの場合、様々な修繕が必要になってきます。
大規模修繕としては外壁、屋根防水などの他に、雨樋、ベランダ、階段や給排水管工事の配管の修理などがあります。特に最近では、夏場の集中豪雨で、故障箇所が顕在化する可能性がありますので、注意しなければなりません。

これらはあらかじめ計画して、故障する前にメンテナンスを行う必要があります。故障してから対応する、入居者から指摘されて対応するのでは遅いのです。

設備は古くなると故障も増え、市場競争に勝つためにも設備を更新していかないといけません。しかし、故障してからの修繕や設備投資の場合、家賃に反映することができず、収益が悪化してしまいます。この悪循環が続くと、相続人にとっても相続したくない物件になってしまうのは仕方のないことです。

■主な大規模修繕 ■修繕調査

計画的なメンテナンスを行わないと、メンテナンス費用を家賃に反映できず、収益性が悪化していく。

相続時に貸家建付地評価減が100%適用されない可能性がある

賃貸経営の最大のリスクが空室です。
老朽アパートの場合、いったん空室が出るとしばらく埋まらないこともあるでしょう。収益が悪化することは避けられませんが、それ以上に注意したいのは、空室がある状態で相続が発生すると、相続メリットが受けられない可能性があることです。

相続の際、賃貸住宅が建っている敷地は貸家建付地として、一定の評価減があります。
貸家建付地の評価額 = 自用地の評価額 × (1- 借地権割合 × 借家権割合 )
実はこれ以外に、賃貸割合を乗じることになっています。賃貸併用住宅の場合がそれにあたりますが、それ以外に空室に適用されることもあります。つまり、アパートの中で空室があった場合、その分は貸家建付地評価減が適用されない可能性があるということです。ただし、「一時的な空室」であれば、問題はありません。

「一時的な空室」については、基準が明確ではありません。国税庁の質疑応答事例でいうと、「空室の期間が1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか」とあります。しかし、実際の判例では1年以上空室でも一時的と判断された例や、逆に5カ月の空室期間でも一時的でないと判断された例があるようです。要するに単に期間だけの問題ではなく、募集が行われていたか、他の用途に使われていなかったかなど、総合的に判断するようです。
入居者が退室した後にそのままにしておき、新規募集も行っていない状態が続くようでは「一時的な空室」とはみなされないでしょう。

同様に賃貸住宅が建っている敷地が50%の評価減となる「小規模宅地等の特例」にも賃貸割合は適用されますので注意が必要です。

空室がある状態で相続が発生すると、「貸家建付地の評価減」「小規模宅地等の特例による評価減」が空室の比率に応じて適用されない場合がある。

老朽アパートは都市の防災・防犯上も危険

都市部において木造の老朽アパートは、都市防災・防犯上も大きな課題です。
特に大地震においては、建物倒壊の危険もさることながら、二次被害での火災に注意しなければなりません。東京都でも、不燃化促進プロジェクトは2021年3月末まででしたが、まだまだ木造住宅密集地域が多く点在していることから期間が5年間延長されるなど、防災への取り組みが非常に重要視されています。

■品川区の不燃化助成の例

また、防犯上・環境上でも空室を放置しておくと問題があり、知らない間に誰かに使われていたり、野生生物が住みついたりするケースがあります。
賃貸住宅は、入居者だけではなく、そのエリアの環境にも大きな影響を及ぼします。優良な賃貸住宅を建設することは、大きな地域貢献の一つともいえるでしょう。

都市の不燃化についてはバックナンバー「火災に耐える賃貸住宅とは-都市の不燃化を考える」でも解説しています。ご覧ください。

都市部においては、不燃化建物の促進は喫緊の課題。様々な助成金が出る東京都の不燃化促進制度は5年間延長され、2026年3月までになった。

自主管理は事業承継が大変

賃貸経営を子世代に引き継ぐには、管理の状況など経営そのものを承継する必要があります。そのためには、事前に時間をかけて説明する必要がありますが、認知症などで説明能力が低下してしまうとうまく引き継げず、相続人も困ってしまいます。

特に自主管理の場合は、入居者管理や建物管理などの業務があるため、何も知らない子世代がいきなり賃貸経営を行うには無理があるでしょう。このリスクを回避するには、一括借上げの賃貸住宅に建て替えることです。

一括借上げを活用することで、所有と管理を分離することができます。今は、管理は専門家である管理会社がおこなうのが主流です。将来、相続が発生し子世代へ事業承継する際も、管理会社から管理の状況を説明してもらえますので、スムーズな承継につながります。

老朽アパートの建て替えについては、バックナンバー「成功する老朽アパート建て替えのポイント」でも解説しています。ご覧ください。

事業承継の観点からも、アパートを建て替えて一括借り上げにすることでリスク回避できる。

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