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賃貸住宅の生前贈与で解決! 超高齢社会の相続対策

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2025年6月19日

賃貸住宅の生前贈与で解決! 超高齢社会の相続対策

賃貸住宅オーナーは収益物件をどのタイミングで次の世代に引き継ぐか、悩んでいらっしゃる方も少なくないでしょう。通常は相続の時と考えがちですが、人生100年時代の超高齢社会では、生前に贈与したほうがメリットが多いこともあります。賃貸住宅の生前贈与について、そのメリット・デメリットや注意点を解説します。

メリット①-家賃収入の移転で、相続税の負担を軽減

賃貸住宅の生前贈与メリットの一つが、将来の相続税負担を軽減させる可能性が大きいことです。
賃貸住宅には、毎月の家賃収入があります。それをすべてローン返済や生活費に使っているのであれば別ですが、多くの場合、家賃は資産として蓄積されていくので、相続の際に相続税負担が大きくなる可能性があります。仮に家賃収入が手取りで年間200万円ある場合、10年で2,000万円、20年で4,000万円です。超高齢社会では、現在後期高齢者だったとしても、今後10年、20年長生きすることは十分考えられます。その分相続税の負担が大きくなると考えると、何らかの対策が必要です。そこで、家賃収入分の資産を移転する目的で、賃貸住宅を生前贈与するのです。生前贈与後の家賃収入は、子世代の納税資金としても活用できます。

■賃貸住宅の生前贈与メリット

贈与は建物のみするのが一般的です。その場合、賃貸住宅の評価額は固定資産税評価額で、さらに借家権割合による評価減もありますので、時価より大幅に評価が下がり、おおむね時価の40%で贈与することができます。

■建築費6,000万円(固定資産税評価額:時価の60%、借家権割合:30%)のアパートを親から子へ贈与した場合

また、生前贈与することで、賃貸住宅を確実に特定の相続人に引き継がせることができることも、一つのメリットでしょう。不動産は遺産分割が難しいといわれています。相続時、誰が賃貸住宅を引き継ぐかでトラブルになることがあるからです。

賃貸住宅を生前贈与することで家賃収入を早期に次世代に移転でき、将来の相続税負担軽減につながる。

メリット②-認知症対策になる

超高齢社会では、長生きのリスクが問われます。経済的なリスクや介護のリスクの他に健康のリスクがあります。特に土地オーナーが気をつけなければならないのが認知症のリスクです。
認知症になると本人の意思判断では金融資産だけではなく、不動産を含めたすべての資産の管理・運用が自由にできなくなります。特に、資産を運用する行為である土地の売却や土地活用などは、原則的に不可能となります。賃貸経営においても、新たな賃貸借契約や大規模修繕なども、よほどの理由がないとできなくなる可能性があり、事業の継続自体がままならなくなることになりかねません。
そこで、賃貸住宅を生前贈与すると経営は次の世代に引き継がれるので、認知症のリスクはなくなります。

■認知症になるとできなくなること

超高齢社会では、認知症対策が大きな課題。賃貸経営では収益物件を生前贈与することで認知症リスクを回避できる。

デメリット-賃貸住宅の生前贈与、注意点とその解決法

1. 相続時に小規模宅地等の特例が使えない

相続時の土地評価の特例として、小規模宅地等の特例があります。賃貸住宅が建っている土地の場合、200㎡まで50%減額されますが、賃貸住宅を生前贈与した場合は、この特例が使えません。これはデメリットとして踏まえておく必要があるでしょう。

2. 相続時に入居者が変わっていると「貸家建付地」の評価が受けられない

賃貸住宅が建っている土地は「貸家建付地」として評価されます。約20%の減額があるのですが、「貸家建付地」の評価減を受ける条件に建物の借主が変わらないことがあります。つまり、入居者が変わって新しい賃貸借契約が結ばれると「貸家建付地」の評価が受けられなくなってしまいます。しかし長期で考えると、入居者が変わらないことは考えられません。
これを回避する方法が一括借上げです。一括借上げ(サブリース)は借上げ業者との賃貸借契約になりますので、借上げ業者が変わらないかぎりは、貸家建付地としての評価減が受けられます。

3. 「負担付贈与」とみなされると建物の評価が時価評価になる

もう一つ注意したい点が「負担付贈与」です。賃貸住宅をローンで建築し、その借入金も一緒に贈与すると「負担付贈与」とみなされます。そうすると贈与の際、建物の評価が固定資産税評価ではなく、時価評価となり、時価からローン分を差し引いた金額に贈与税がかかるので注意が必要です。生前贈与はローンを完済してから行うほうがよいでしょう。
また、敷金があるとそれも「負担付贈与」と見なされます。敷金は入居者が退去する際に返還する義務があるからです。解決方法としては、預かっている敷金と同じ額の「現金」を贈与することです。そうすれば「負担付贈与」にはあたりません。

賃貸住宅の生前贈与にはデメリットや注意点がある。「小規模宅地等の特例が使えない」「貸家建付地の条件」「負担付贈与」に注意が必要。

相続人同士でトラブルにならないため、評価の違いに気をつける

賃貸住宅の生前贈与のメリットに、確実に特定の相続人に引き継がせることができることを挙げました。相続時に誰が引き継ぐかもめないためでもありますが、生前贈与にしても他の相続人に配慮することを忘れず、すべての相続人に対して、了解を得ることです。これは、生前贈与全般に言えることですが、特に不動産の場合は、一人にしか贈与できません。不公平が生じて、後にトラブルにならないよう家族間でよく話し合うことが大切です。
そこで、注意したいのが遺産分割における賃貸住宅の評価です。メリットやデメリットの話で評価額の話をしましたが、それは相続税や贈与税を算出するための評価です。遺産分割を考える上では、利用価値を考慮した評価が必要です。
賃貸住宅などの収益不動産は、相続税評価は低く抑えられますが、実勢価格は将来の収益も加味された上で売買が行われます。不動産会社や不動産鑑定士に評価を依頼して、評価するようにしてください。
そして、遺産分割について家族でよく話し合うことが大切です。

■不動産評価の違い

生前贈与する際は、他の相続人に配慮した遺産分割を考え、賃貸住宅の評価は専門家に依頼すること。

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