賃貸市場の繁忙期もあとわずかです。繁忙期に入居者が決まらない場合は、設備投資でグレードアップを図ることを考えてもよいかもしれません。では、どんな設備が競争力を高めるのか?「入居者に人気の設備ランキング2012」(全国賃貸住宅新聞調べ:全国307社の仲介・管理会社が回答)から、最新の入居者ニーズを探っていきます。
この調査は、日頃入居者と接している仲介・管理会社が回答したものです。入居者のニーズを実感として把握する中で、これがあれば物件をアピールしやすいというものが、順位に表れていると思われます。
前回の調査(2011年)と比較してみると、上位の人気設備に大きな変化はなく、セキュリティや暮らしを快適にする設備など、部屋での快適性を追求する傾向にあります。それでは、ランキングの中でポイントとなる設備について、いくつか見ていきましょう。
■単身者向け物件
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■ファミリー向け物件
※ ( )内は前回ランキング、外はランク外 |
定番の人気設備の他に、ランク外からの単身者向けの「システムキッチン」、ファミリー向けの「エコキュート」に注目!
単身者の「インターネット無料」は4年連続で第1位。ネット環境はもはや必須の設備ですが、同時に、入居者としては月々の通信費が負担になっているとも言えます。そこに“無料”はかなりのアピールポイントになるのでしょう。
設備の導入に関しては通信事業者に依頼することになりますが、無料で設置するサービスやケーブルテレビの回線を利用して設置するなど、簡単に導入できます。あとは、月々の通信費をオーナー負担とするか、管理費に含めて入居者に負担してもらうかですが、募集会社と相談してみると良いでしょう。
また、ランキングにはありませんがネット生活の上で便利なのが、「宅配BOX」です。日頃、家にいることの少ない単身者には、アピール度が高いようです。共用スペースに設置場所がないと導入は難しいですが、小規模アパート向けのコンパクトなものもありますので、検討してみてはいかがでしょうか。
さらに、この宅配BOXを活用した新宅配BOXシステム「ゆとりふる」を旭化成ホームズでは、(株)フルタイムシステムとネットスーパーとの業務提携により開発しました。これは宅配BOXとネットスーパーを連携させ、生鮮食品などの食材も宅配できるシステムです。しかも、「食材配達お知らせメールサービス」があるため、外出中でも食材が届いたことが分かります。
単身者の他、共働き夫婦、小さい子どものいる夫婦など、買い物の時間がない、お米や水などが重くて負担になるなどの「都会に暮らす忙しい現代人」のニーズに応え、賃貸マンションの付加価値を高めます。
インターネット無料と宅配BOXはこれからの生活に欠かせないアイテム
セキュリティ設備はさまざまなものが常にランクインしています。定番なのは「オートロック」です。また、数年前から急速に広がったのが「TVモニター付きインターホン」です。低価格で設備投資しやすく、アピール度も高いので、セキュリティ対策に考えてみてもいいかもしれません。
「ホームセキュリティ」も最近は、都心の物件を中心に単身者用でも設置が増えています。ランキングでも6位でした。セキュリティのニーズは、そのエリアの治安にも左右されますが、昨今では安全な町でも凶悪犯罪が発生するなどのニュースが流れます。特に女性入居者の確保には、セキュリティは大きなアピールポイントとなるでしょう。旭化成ホームズでは、女性の視点で考えられた安心・安全な設備、プラン、システムを採用した防犯仕様賃貸マンション「Safole(サフォレ)」が高い人気を得ています。
その他、玄関ドアは「2ロック」にする、鍵は「ディンプルキー」、「防犯カメラ」、1階窓は「シャッター付き」、「防犯合わせ複層ガラス」などがセキュリティ設備としてあります。女性入居者をターゲットとしている場合は、セキュリティ設備はポイントとなりますので、よく検討して必要なものを備えた方がいいでしょう。
また、セキュリティ設備ではありませんが、「浴室乾燥機」が単身者向け・ファミリー向けのどちらでもランクを上げています。特に女性の一人暮らしの場合、防犯上の対策として洗濯物を室内に干す傾向が強く、人気が高まっています。また、室内干しができるように「室内物干金物」もあると便利なようです。
女性入居者がターゲットの場合は、セキュリティ設備の充実がポイント
昨今の節約志向を表している設備が「システムキッチン」です。単身者ではランク外から8位に。以前、マンスリーレポート(「社会人の生活実態から賃貸のトレンドを読む!」)でも紹介しましたが、不動産総合情報サービスのアットホームが行った「20〜30代独身サラリーマン・OLの生活実態調査」によると、自炊の回数は、男性2.8回/週、女性3.4回/週。つまり、2〜3日に1回程度は自室のキッチンを利用している計算です。また、男性の1割は、ほぼ毎日自炊していることも分かりました。
キッチンの設備などは、新旧が一番表れやすい設備です。逆にいうと、キッチンを変えるだけで、ガラッと部屋のイメージが変わることがあります。最近は、カラーバリエーションも豊富です。単身者でも2口コンロのシステムキッチンに変えることで競争力がアップします。
省エネ設備もファミリー物件ではランキングに入っています。「太陽光パネル(入居者個別売電)」、「エコキュート」、「IHクッキングヒーター」です。太陽光発電については共用部設置型にして余剰電力の売電により収益を得るタイプと、テナント利用型にして入居者に電力を供給するタイプがあります。入居者へのアピールという点では、やはりテナント利用型になるでしょう。IHクッキングヒーターのみでは、好き嫌いが分かれるところですが、賃貸住宅でエコキュートの物件は希少性がありますので、ファミリー層にはインパクトがあります。
旭化成ホームズでは、エコキュートとIHクッキングヒーター、そして太陽光発電システムを組み合わせた「ヘーベルメゾンeパッケージ」を展開しています。“エコロジー”をキーワードにした新しい入居者層の獲得が期待できます。
節約や省エネといった時代を反映した設備でアピール!