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変わる部屋探しと賃貸住宅への満足度

入居者トレンド

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2019年11月 5日

変わる部屋探しと賃貸住宅への満足度

賃貸市場は来期の繁忙期へ向けて仲介会社の競争も激しくなり、この時期、テレビではお部屋探しサイトのCMが目立ちます。今回は、『2018年度 賃貸契約者動向調査』(株式会社リクルート住まいカンパニー調査)から、入居者の部屋探しの実態と賃貸住宅に求められる基本性能について見ていきたいと思います。

不動産会社への訪問数、内見数ともに過去最少

今や多くの人がスマートフォンをメインにネットの情報で、まず部屋探しをするようになりました。スマホのアプリには大手不動産サイトのものだけでなく、それらをまとめて検索できるアプリもあります。また、最近では写真の掲載点数も多く、実物を見ないでも部屋の様子はよく分かります。ネットで希望の物件を絞り込むことができるので、部屋探しはずいぶん楽になりました。

実際、不動産会社への訪問数は過去最少の1.5店舗です。2005年度は2.7店舗でしたので、約1店舗減ったことになります。また、実際に部屋を見学した件数も右肩下がりで2.8件と過去最少でした。2005年度の4.9件から、約2件少なくなっています。

■不動産会社店舗への訪問数と内見数の平均

この結果から部屋探しは、ネットの情報でほぼ決めていることが分かります。不動産会社としても、ネットの情報をいかに充実させるかが大きなポイントとなってきているといえるでしょう。各社、パノラマ写真や動画を掲載することも増えてきました。

部屋探しの際、不動産会社店舗への訪問数、内見数は減少。ネットでどう物件をアピールするかが大きなポイントに。

スマホで完結する部屋探しへ。電子契約の社会実験始まる

ネットでの部屋選びは、さらに進化しようとしています。国土交通省は賃貸借契約に関する電子契約の社会実験を2019年10月から始めると発表しました。これは、賃貸借契約を全てネット上で完結してしまうというものです。
ポイントはIT重説と契約書のやりとりです。IT重説とは、対面が義務づけられていた宅地建物取引士による重要事項説明をテレビ電話などで行うものです。IT重説に関しては既に社会実験を経て導入されていますが、契約に関しては契約書の署名捺印が必要なため事前送付が必要です。
今回の実験では、電子署名が施された契約書をメールやクラウド上からデジタル交付し、賃貸借契約を完結してしまおうというものです。そうなると、入居希望者は不動産会社に足を運ぶ必要はなくなりますし、不動産会社にとっても業務の効率が飛躍的に向上します。

また、内見も不動産会社が立ち会うことなく、スマートフォンで鍵が開閉できて入居希望者だけで自由にできるサービスもあります。さらに、次世代ネットワーク5Gが始まり、VR内見でよりリアルな映像で部屋が確認できれば、内見も必要なく、いよいよ、部屋探しはスマートフォン一つで全てが完結する時代が来るかもしれません。部屋探しの利便性が高まれば、住み替えも増えて賃貸市場は活性化するかもしれません。

■スマートフォンで完結する部屋探しのイメージ

電子契約の社会実験が始まり、ネット上で部屋探しから契約まで完結する時代になるかもしれない。

40代以上は賃貸住宅の性能に満足だが、10代・20代は不満足

「賃貸契約者動向調査」には、もう一つ興味深い結果があります。「今回契約した賃貸物件と以前住んでいた実家の満足度比較」です。年代別に「遮音性」「断熱性/省エネ性」「耐震性」の3つの基本性能で満足度を比較しています。

「遮音性」については、10代・20代、30代は実家のほうが満足度が高く、40代以上は賃貸住宅のほうが満足度が高くなっています。
「断熱性/省エネ性」「耐震性」については、10代・20代は実家の満足度が高く、30代・40代以上は賃貸住宅の満足度が高くなっています。
つまり、若い30代までの世代は実家の基本性能が高く、賃貸住宅はそれに劣ると感じているということです。
実家の建築年別のデータもあり、住宅性能表示制度がスタートした2000年以前と2001年以降を比べると、どの性能も2001年以降に建築された実家は、圧倒的に実家が満足という結果になりました。

確かに遮音性、断熱性の高いマンションに住んで育った子どもが、賃貸住宅でひとり暮らしを始め、隣室から声が漏れてきたら、ある種のカルチャーショックを受けるかもしれません。特に音に関しては、年々神経質になっているという話を不動産管理会社からよく聞きます。

■賃貸住宅と実家の満足度比較

若い世代は、実家の基本性能が高く、賃貸住宅に不満を持つ傾向にある。賃貸住宅であっても、基本性能の高さは必要。

賃貸住宅は基本性能、設備ともにクオリティが求められる。

昨今の部屋探しの傾向で見たように、入居者はまずネットで部屋を探し、ほぼそこで意思を固めます。その際に大切なのが、設備を充実させることと合わせてネットで検索されることを考慮して、できるだけ多くの検索項目にヒットさせることです。検索にヒットしなければ候補にもなれません。新築の場合は、いわばフル装備ですので、多くの検索項目でヒットすると思います。既存の物件で設備投資を考える場合は、新築の設備を参考にするとよいでしょう。
さらに差別化を図るには、独自の設備でアピールすることです。例えば、新婚向けなら夫婦それぞれで使えるようなダブルクローゼット、ファミリー向けならライフステージの変化などで間取り変更が可能な可動家具といった設備です。空きスペースをうまく活用した収納設備も喜ばれます。

■入居者に人気の収納設備
■入居者に人気の収納設備

また、先に述べたように10代・20代は基本性能について、実家と比べて賃貸住宅には満足していません。「遮音性」「断熱性/省エネ性」「耐震性」といった基本性能は住んでみないと分からないことでもありますが、賃貸住宅のブランドイメージなどで、アピールすることが可能です。
最近では、多発する自然災害から耐震性など防災力(レジリエンス)の高さも、意識されるようになりました。「地震」「火災」「風水害」といった自然災害に強い賃貸住宅は、入居者の命や生活を守るだけでなく、その後の賃貸経営の維持・継続にも大きく関わってきます。
これからの賃貸住宅は、基本性能や防災力の高さも大きなアピールポイントとして差別化できるでしょう。

■賃貸住宅に求められる防災力 ■「災害に対する強さ」がお部屋を決める上で決定要因の一つになりましたか?

賃貸住宅の防災力については、バックナンバー「三大災害に耐える賃貸住宅とは?」でも紹介しています。ぜひご覧ください。

設備の充実は、部屋探しの検索にヒットさせるためにも重要。また、防災の意識が高まり、賃貸住宅でも基本性能・防災力が求められている。

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