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確定申告直前!! この時期やっておきたい節税対策

税務・確定申告

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2024年2月 8日

確定申告直前!! この時期やっておきたい節税対策

確定申告の時期が来ました。今年度の確定申告期間は2月16日(金)から3月15日(金)までです。最終チェックとして、必要経費の間違いやすいポイント、また今後の節税対策として、この時期にやっておきたい対策を解説します。

必要経費はココを最終チェック

確定申告が今回初めての方は、まず初年度の建築に関わる費用で間違いやすい項目があります。建築にかかった費用の中には、必要経費に計上するのではなく建物取得費として建築費にプラスして減価償却するものがあります。例えば測量費や地鎮祭の費用です。一覧にまとめましたので参考にしてください。

■初年度の建築に関わる経費の違い

次に間違いやすいのが減価償却する際の耐用年数です。建物は鉄骨造の場合、厚さで違いがありますのでよく確認してください。建物の付属設備(給排水・電気・ガス設備等)は耐用年数が15年ですので、建物と別に減価償却することができます。
また、最近よく設置されている太陽光発電システムや、宅配BOXなども耐用年数がそれぞれ違いますので間違えないようにしましょう。

■主な資産の法定耐用年数と償却率

減価償却の計算方法等については、バックナンバー「アパート経営の節税対策-減価償却費編」で解説しています。

節税の王道は、細かい経費もコツコツと積み上げていくことです。今一度、必要経費の計上漏れがないかチェックしてください。
また、勘定科目を何にすればよいのか分からず迷ってしまうことがよくあります。国税庁で用意されている不動産用の青色申告決算書を見ても科目の欄には主なものしか記載されていません。共用部の水道光熱費や交通費・通信費などは「その他の経費」にまとめてもよいですし、「消耗品費」と科目を作って計上してもよいです。
ただ、メンテナンス費など金額が大きくなるものは「メンテナンス費」という勘定科目を作って計上した方がよいでしょう。勘定科目は、事業内容に合わせて自由に作ってよいことを覚えておいてください。

・初年度は建築に関わる費用で資産計上しなければならないものをチェック。
・耐用年数が間違っていないかチェック。
・必要経費の計上群れがないかチェック。勘定科目は自由に作ってよい。

青色申告への切り替えは3月15日まで

青色申告には次のようなメリットがありますので、賃貸オーナーには、できるだけ青色申告をお勧めします。

■青色申告と白色申告の違い

ただし、青色申告にするには事前に届け出が必要になります。現在、白色申告の人が令和5年分の確定申告をいきなり青色で提出することはできません。
これから青色申告に切り替えるには、今年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、令和6年分から切り替えることになります。また、昨年度の途中から賃貸経営を開始した場合は、開業から2カ月が提出期限です。令和6年分から青色申告にする場合は、確定申告書と一緒に「所得税の青色申告承認申請書」を提出するのがよいでしょう。

■確定申告のスケジュール4月に開業した場合

「所得税の青色申告承認申請書」の書き方についてはバックナンバー「確定申告実務編-青色申告承認申請書等の書き方」で解説しています。

様々なメリットがある青色申告に切り替えるには、3月15日までに届け出を提出し、令和6年分から青色申告に切り替える。

小規模企業共済加入で所得税・相続税を節税

個人事業主の節税対策としてよく活用されるのが「小規模企業共済」です。
この制度は中小企業の退職金制度ともいわれ、廃業時に毎月積み立てた掛金が退職金として支払われる制度です。賃貸住宅オーナーの場合、廃業することはないと思われますので、相続時に死亡退職金として支払われます。国の共済制度なので、安心して活用できる節税対策の一つです。
主なメリットは次の2つです。

(1)掛金が全て所得控除できる。上限額は月7万円、年間84万円。
   必要経費が年間84万円増えたのと同じ節税効果がある。
(2)廃業時に退職金として積み立てた掛金が支払われる。
   退職金は他の所得とは別個に取り扱われ、節税効果が大きい。
   相続の場合は死亡退職金として支払われ、相続人×500万円まで非課税となる。

掛金は原則加入月からスタートしますので、早い段階で加入したほうがよいでしょう。
「小規模企業共済」は独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しています。加入手続き等は中小機構のホームページをご覧ください。

なお、不動産貸付業の場合は、小規模企業共済の加入要件に事業的規模であることと、本業であることがあります。サラリーマンと兼業の場合は、加入できません。

節税対策としてメリットの大きい「小規模企業共済」は月の上限が7万円と決まっているため、早めに加入すると効果も大きくなる。

デジタル化に備えて会計ソフトを導入

昨年末に発表された「令和6年度税制改正大綱」によると、小規模事業者の半数以上が帳簿を手書きで作成し、個人事業者で正規の簿記(複式簿記)に従った記帳をしているのは約3割とのことです。
会計ソフトを活用すれば、簿記の知識がなくても自動で複式簿記の帳簿を作成してくれます。パソコンの知識がない方にとっては、ハードルが高いかもしれませんが、パソコンを使っている方であれば、会計ソフトの導入をお勧めします。
国の政策も個人事業者の記帳水準向上に向け、青色申告制度の見直しを検討するとしています。具体的なことは決まっていませんが、おそらく厳しい方向になるのではと予想されています。

改正電子帳簿保存法では、2024年1月1日から電子取引のデータ保存が義務化になりました。
電子取引とは請求書がメールにPDFで添付されていたり、インターネットで備品を購入した場合の領収書です。これまでは請求書や領収書は紙に出力して保存していたと思いますが、これからは原則データでの保存が義務づけられます。
ただし、2023年度の税制改正で、以下の場合は紙保存でもよいことになります。
・データ保存対応ができないことに相当の理由がある。
・データのダウンロードの求めにも応じられる。
つまり、紙保存でもよいのですが、データは保存しておかなければなりません。

今後も帳簿に関するデジタル化は法制度も含めて進むものと思われます。会計ソフトは、先に述べたように簿記の知識がなくても自動で複式簿記の帳簿を作成したり、青色申告に必要な貸借対照表も自動で作成してくれます。
最近の会計ソフトの主流はクラウド型です。年間の使用料はかかりますが、常に最新の税制に対応しますので、その部分での間違いはありません。
記帳方法もシンプルで、入金と出金を記帳するだけで、自動で正規の簿記に従った帳簿に仕上げてくれます。確定申告、電子申告も、そのまま一気にできますので、覚えてしまえば非常に便利です。ぜひ検討してみてください。

電子取引のデータ保存義務化など、帳簿に関するデジタル化は今後も進む。会計ソフトの導入で税制改正にも対応できる。

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