2021 年の都市型住宅考

2021 CITY HAUS

STUDY

都市型住宅には、狭小住宅のほかに「二世帯住宅」という選択肢もある。
全国各地に建つヘーベルハウスのモデルハウスの多くが、二世帯仕様の3F建て住宅FREXモデルだ。
おもに1Fが親世帯、2Fより上階が子世帯の住居として設計されているが、各所でコンセプトが変わり、外壁からアウトドアリビングの作りまでさまざまなデザインの家を体験できるので、見飽きないし、勉強にもなる。
なかには1Fを店舗仕様にしたり、賃貸併用にしたりして設計された4F建てFREXまである。
複数のモデルハウスを訪ねると、きっと自身のライフスタイルに響く家が見つかるだろう。

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何度も訪ねているうちに気づいたことだが、ヘーベルハウスは構造壁を必要とせず柱と梁だけで成立する家ゆえ、リノベーションの自由度がきわめて高い家である。
居住空間に飽きれば、間取りさえ劇的に変更できる。
ロングライフ住宅ゆえ孫の世代まで住み継ぐことができ、その世代ごとに自由にカスタムできる家なのだ。

 ヴァルター・グロピウスがテルテン・ジードリングに求めたのは「街の趣を決定づける住宅」という理想だった。
かの実験住宅はその後何世代にもわたって住み継がれ、いまでも現役として稼働している。
グロピウスが見た理想と同じような夢を抱いたのが、ヘーベルハウスの生みの親である宮崎輝(かがやき)であった。
1961年に旭化成の社長に就任した宮崎は、ヨーロッパ出張から戻り、羽田から都心へと戻る車中でいつもこう想っていたという。
「ロンドンにしてもパリにしても、戦火に遭ったとはいえ、じつにきれいな家が立ち並び、日本との差には驚くばかりだ。
このままでは到底、一流国の仲間入りはできない。住環境を何とかしなければ...」。
その末に彼は、あらたに住宅事業に取り組もうと決心し、化学メーカーである会社の強みを最大限に生かして理想のマテリアルを調査・分析しはじめるのだ。

 家は人々のライフスタイルに寄り添うだけでなく、ライフスタイルを磨き、やがて街に息づき、都市を豊かにしていく。
2021年に都市型住宅を建てるにあたって、22世紀にもその家に暮らすだろう子供たちの倖せを考えることからはじめたい。


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HailMaryこちらのコラムはHailMary7月号に掲載されています。

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