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2023年賃貸市場総決算!トピックスを振り返る

市場動向

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2023年12月21日

2023年賃貸市場総決算!トピックスを振り返る

2023年はコロナ禍からの景気回復も見られました。インフレ懸念が強まっていますが、インフレに強いとされる不動産業界は好調です。賃貸市場ではファミリー物件を中心に家賃が上昇し、質の高いファミリー賃貸が求められています。今年の賃貸市場や相続など、土地オーナーに関するトピックスを振り返りたいと思います。

2023年賃貸市場トピックス
 1-家賃はシングルからファミリーまで、全タイプで上昇
 2-路線価の上昇に注意が必要
 3-タワーマンションの相続評価見直し
 4-省エネ性能表示制度2024年4月スタート
 5-インボイス制度始まる
 6-防災、省エネ、部屋探しの新しい選択基準

家賃はシングルからファミリーまで、全タイプで上昇

2020年コロナ禍で軟調だった家賃は、2021年からファミリー向けを中心に上昇。コロナ禍前の水準を大きく上回っています。直近の「全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向(2023年10月・不動産情報サービス・アットホーム)」でも、東京23区・東京都下・埼玉県・千葉県・名古屋市・大阪市の全面積帯で前年同月比を上回りました。
東京23区ではシングル向けがコロナ禍で低調でしたが、今年に入って再び都心回帰の傾向もあり回復しました。

どのエリアも家賃が大きく上がっているのが、ファミリー向けです。理由の一つに挙げられるのが分譲マンションの価格高騰です。これにより、ファミリー層が賃貸市場に流れているようです。また、コロナ禍での郊外人気もファミリー層の賃貸住宅ニーズを高めています。ただ、賃貸市場には良質な賃貸住宅はまだまだ少なく、今後の課題となりそうです。

■東京23区-マンション平均家賃指数の推移(2015年=100としたもの)

マンスリーレポートでは、家賃相場について賃貸市場の繁忙期(1月〜3月)と9月時点を取り上げました。
2023年春、コロナ収束後の家賃は上昇傾向
2023年の家賃相場を振り返る

路線価の上昇に注意が必要

地価の上昇基調が強まりました。公示地価(1月1日時点)、基準地価(7月1日時点)共に上昇しています。地価や分譲マンショ価格は上がっているものの、一部の富裕層やパワーカップルなどの住宅ニーズが衰えず、再開発も都心部や郊外のあちらこちらで進んでいます。また、今年の5月から新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行にともない、訪日客も戻り観光地の地価も回復しています。

土地オーナーとして気をつけたいのは、相続税・贈与税の土地評価の算定基準となる路線価の上昇です。2021年は多くのエリアで前年比マイナスになりましたが、再び上昇。ほぼ10年近く上昇を続けていることになります。相続対策をしていてもしばらく見直しを行っていない場合は、対策の効果が薄れている可能性もあります。適宜、見直しが必要です。

■主要都府県の標準宅地の対前年変動率の平均値推移(単位:%)

地価動向については、路線価、基準地価について取り上げました。
2023年「路線価」、コロナ前の伸び回復
2023年「基準地価」と地価上昇局面の資産防衛術

タワーマンションの相続評価見直し

タワーマンションによる節税対策が問題視されていましたが、相続税評価額の見直しが行われることになりました。

マンションの土地については、敷地全体の評価額から各住戸の専有面積に応じて計算します。これにより、同じ敷地面積でも戸数が多いほうが評価額は小さくなります。特にタワーマンションの場合、高層階と低層階では市場価格が大きく違うのに、相続税評価額には反映されません。

一戸建ての場合、相続税評価額は実勢価格の約6割ですが、タワーマンションの場合は約4割にまで評価が下がるといわれています。そこで、区分所有のマンションについては、新たな基準が盛り込まれ、相続税評価額は実勢価格(時価)の4割から6割になるように見直されるとのことです。2024年1月1日から適用されます。

省エネ性能表示制度2024年4月スタート

2024年4月から省エネルギー性能表示制度が始まります。努力義務ではあるものの、国土交通省からガイドラインが公表されました。省エネルギー性能表示制度とは、「販売・賃貸事業者が建築物の省エネ性能を広告等に表示することで、消費者が建築物を購入・賃借する際に、省エネ性能の把握や比較ができるようにする制度」です。
省エネ性能の項目は、「エネルギー消費性能」「断熱性能」「目安光熱費」の三つです。
アットホーム、LIFULL HOME'S、SUUMOの主要不動産ポータル事業者はこれに対応する旨を発表しています。
賃貸住宅も太陽光発電を備えたZEH賃貸住宅の普及が進んでいます。東京都では2025年から新築住宅の太陽光発電設置義務化を目指しています。今回の省エネルギー性能表示制度により、一般消費者への認知も高まっていくと思われます。

■住宅性能表示の例

ZEH賃貸住宅については、以下のバックナンバーでも取り上げています。
賃貸住宅の新トレンドとなるか!?『ZEH-M(ゼッチ・マンション)』
激変する賃貸環境にニーズの変化を読み取る

インボイス制度始まる

2023年10月からインボイス制度が始まりました。消費税が非課税である居住用の賃貸住宅の場合は影響ありません。しかし、店舗、事務所、月極駐車場など家賃に消費税をつけている場合は影響があります。
帝国データバンクの調査によると、「順調に対応できている」企業は3社に2社で、「業務負担の増加」を懸念事項として挙げています。店舗、事務所等を賃貸しているオーナーもなんらかの対応を迫られていると思います。まだ数年は軽減措置等がありますので、様子見のオーナーもいるかもしれませんが、いずれはインボイスの登録事業者になる必要が出てくるかもしれません。専門家に相談するようにしてください。

防災、省エネ、部屋探しの新しい選択基準

今年、新しい入居者ニーズについて、様々な調査データを取り上げてきました。中でも印象的だったのが、これまでになかった新しいニーズです。
一つは、魅力を感じるコンセプト賃貸住宅「防災賃貸住宅」が2年連続1位になったことです(SUUMOリサーチセンター「2022年度賃貸契約者動向調査(首都圏)」)。これまでは、仮の住まいである賃貸住宅に防災の必要性は感じないというのが常識でしたが、入居者の意識も変化しているようです。防災力のある賃貸住宅はまだまだ普及には至っていませんが、今後は無視できないニーズの一つです。
もう一つは、省エネルギー性能表示制度にあったように、環境にも配慮された省エネ性能のあるZEH賃貸住宅です。
この二つは若い世代ほど意識が高いというデータもあります。今後の賃貸市場のメインとなる入居者層だけに、賃貸住宅のスタンダードとなる可能性もあります。入居者ニーズの変化には、これからも注視していきたいと思います。

■注目のコンセプト賃貸住宅

防災賃貸住宅については、以下のバックナンバーでも取り上げています。
入居者が魅力を感じるコンセプト賃貸住宅とその実態
『復旧力』が減災につながるヘーベルメゾンの防災力

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