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賃貸住宅の繁忙期へ向けて、競争力をアップする

入居者トレンド

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2018年11月20日

賃貸住宅の繁忙期へ向けて、競争力をアップする

賃貸住宅の繁忙期は、早くも12月頃からまず学生を中心に動き始めます。賃貸経営を長期に安定させるには、競争力を維持することも一つの対策です。今は満室だからと安心していると、いざ空室が出てからでは対応が遅れる場合もあります。特に設備の古さが目立つと、競争力を低下させる一因にもなります。今回は、「入居者に人気の設備ランキング2018」(全国賃貸住宅新聞調べ:全国の不動産会社322社が回答)から、単身者向け、ファミリー向けの人気設備のニーズを探ります。

「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」設備ランキング

最近の賃貸住宅は設備もグレードが高く、新築物件はこのランキングにある設備の7〜8割は備えているでしょう。
このランキングで目新しい設備は「備え付け家具・家電」「ホームセキュリティ」「ガレージ」「太陽光パネル(入居者個別売電)」あたりです。他物件になくニーズか高い設備は、大きなアピールポイントとなります。
新築や建て替えの場合は当然ですが、既存物件の場合でも入居者ニーズに気を配り、対応していくことは大切です。入居者ターゲットやエリアの特性で、必要性も違ってくると思います。それらも考慮しつつ、設備投資を検討して競争力をアップしたいものです。

■「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」設備ランキング

新築物件は、これらの設備の7〜8割は備えている。既存物件の場合も入居者ターゲットやエリアの特性を考慮して設備投資を考える。

「インターネット無料」は単身者向けで4年連続、ファミリー向けで3年連続1位

今年も1位は単身者向け、ファミリー向けともに「インターネット無料(Wi-Fi、無線LAN)」でした。ファミリーは3年連続、単身者は4年連続となりました。
全国賃貸住宅新聞の記事によると、「インターネット無料(Wi-Fi、無線LAN)」があれば、家賃は2,000〜3,000円ほど上げられるとのことです。

今やスマートフォンは生活必需品で、ライフラインの一つと言ってよいでしょう。Wi-Fiがあればすぐにネットにつなげられます。Wi-Fiがない場合は、インターネットプロバイダーとの契約など手間がかかることも敬遠される理由の一つです。
また、今のスマートフォンの料金体系では通信量に制限があり、それを超えると費用の負担が大きくなります。Wi-Fiでつながっていれば、通信量はカウントされないので、出先では極力Wi-Fiスポットを利用し、自宅ではホームWi-Fiを活用するのが一般的な使い方です。賃貸住宅でも、Wi-Fi設備は必須の設備なのです。

また、インターネットライフで必要となる設備が「宅配ボックス」です。ネットショッピングの利用率はインターネットユーザーの83%と高く、そのうち1カ月に一度以上オンラインで購入する人の割合は60%とのことです(2017年ニールセンデジタル調べ)。そこで、単身者や共働きファミリーにとっては、不在時でも受け取れる「宅配ボックス」が必要となります。
最近は小規模のものもあり、既存の賃貸住宅でもちょっとしたスペースがあれば設置できます。「インターネット無料(Wi-Fi、無線LAN)」と「宅配ボックス」は、SNSやネット通販といったネット中心の現代の生活では大きなアピールポイントとなるでしょう。

「インターネット無料(Wi-Fi、無線LAN)」と「宅配ボックス」は、現代の生活では必須の設備になりつつある。

新婚には「ウォークインクローゼット」が二つ必要!

今回のランキングで急上昇したのが単身者の「備え付け家具・家電」です。今回初めて選択肢に加えたところ、いきなり4位になったとのことです。
今、シェアリングエコノミーやフリーマーケットアプリの人気などで、中古ではなくシェアという概念が生まれています。初めての賃貸住宅暮らしや転勤の場合、家具・家電も一からそろえるのはかなり面倒と思っている人も少なくなく、中古の家具・家電でも気にならないようです。
まだまだ、物件数としては少ないものの、このアンケートの回答は現場の不動産会社ですから、潜在ニーズは大きいと思われます。具体的な備え付けの例としては、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、ベッド、カーテンの希望が多いようです。

また、常連となりつつあるのが「ウォークインクローゼット」です。今回は少し順位を落としましたが、単身者でも必須の設備となりつつあります。既存物件の場合でも、単純に和風の押し入れを洋風のウォークインクローゼットにリフォームするだけで、見栄えは随分変わります。
男女に限らず洋服のバリエーションを含め、趣味のものなど持ち物が多いため、収納は大きなポイントとなるのです。

次に、独身時代にウォークインクローゼットのある賃貸暮らしをしていた男女が結婚した場合を想像してみます。当然、それぞれの持ち物を持ち寄った場合、ウォークインクローゼットは二つ必要になります。3LDKの分譲マンションでたくさん収納がある場合は別ですが、今人気の新婚向け1LDKでは、なかなか収納も少ないでしょう。しかし、これもプランを工夫すれば、ウォークインクローゼットを二つ確保することは不可能ではありません。

下のプラン例は、同じ1LDK(46.61m2)のプランを、寝室を少しコンパクトにすることで、二つのウォークインクローゼットを確保した例です。なにしろ、斡旋する不動産会社にとっても、ウォークインクローゼットが二つというのは、アピールがしやすいでしょう。
最近の新婚向け1LDKは共働きを想定していて、ライフスタイル調査によると、夫婦は二人の時間を大切にするとともに、一人の時間も大切にし、それをお互いが尊重する意識があることが分かりました。そして、衣類や趣味のものなど、夫婦それぞれが管理できるようにしたいという傾向があるので、ウォークインクローゼットが二つあるということは高い付加価値になります。

今の共働き夫婦のニーズを満たした賃貸住宅については、バックナンバー「増える共働き夫婦に人気の賃貸住宅とは?」で詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください。

■ウォークインクローゼット2つのプランニング例

特に初めての一人暮らしや転勤の単身者の場合は、「備え付け家具・家電」が人気。新婚には、「ウォークインクローゼット」二つがライフスタイルに合って人気。

これがなければ決まらない!「室内洗濯機置き場」「TVモニター付きインターホン」

冒頭のランキングは"家賃が高くても決まる"設備ランキングでしたが、これからの賃貸市場の繁忙期、空室を出さないために以下のランキングの設備は、既存物件の場合でもリフォームでできるだけそろえたい設備です。「この設備がなければ入居が決まらない」設備ランキングを見てみましょう。

ランキング1位は単身者、ファミリーともに「室内洗濯機置き場」です。防犯上の理由や、最近は台風などで被害を受けるといった声も上がっています。実際、外に「洗濯機置き場」がある物件は、かなり築年数が古く、室内の広さも狭い物件だと思われます。これらの物件は、周りに比べて低い家賃設定にせざるを得ず、入居者層も学生か新人社会人などがメインとなり、対象者が少なくなります。

昨年の"家賃が高くても決まる"ランキングから圏外になり、"なければ入居が決まらない"ランキングに残っているものに、単身者の2位「TVモニター付きインターホン」があります。つまり、この設備は定番の必須設備になったと言えるでしょう。今は、配線がいらないタイプもあり、比較的簡単に取り付けることができます。

続いて"なければ入居が決まらない"のが「独立洗面化粧台」です。かつては、風呂・トイレ別がこのタイプのランキングの常連でしたが、今は、風呂・トイレ・洗面化粧台別があたり前になってきました。スペースの問題もありますので簡単にリフォームとはいきませんが、これで対象入居者の幅はぐっと広がります。

単身者7位の「備え付け照明」も、自分でいちいち買い揃えるのは面倒ということです。エアコンもかつてはついていませんでしたが、今はほとんどの賃貸住宅でついています。今後も最低限必要な家具・家電は、備え付けが主流になっていくものと思われます。

また、注目したいのは単身者の9、10位、「ガスコンロ(二口/三口)」「システムキッチン」です。今は中食、内食が増えています。中食は惣菜などを買って帰って食べることですが、温めたり、一手間加えたり、ちょっとしたことでキッチンは使います。また、休日は料理をするという単身者も多いようです。
つまり、外食一辺倒でキッチンはほとんど使わない単身者は減り、キッチンも上手に活用するライフスタイルになってきています。そうなると、キッチンの設備の充実を求めるのは当然で、それがこの結果に表れているのではないでしょうか。

■「この設備がなければ入居が決まらない」設備ランキング

このランキング上位のものは極力完備しないと、競争力は落ちてしまう。「TVモニター付きインターホン」「独立洗面化粧台」「洗浄機能付き便座」は必須設備になりつつある。

設備投資は年末で、節税対策も兼ねる。来年は消費税増税!

設備投資に費やした費用は、必要経費になります。必要経費が増えれば、節税効果があるのは周知の通りです。繁忙期のタイミングから見ても、できるだけ年内に設備投資をするのがよいでしょう。

また、"まだ少し早いので来年の年末に考えよう"と思っている場合は注意が必要です。来年の10月1日からは、消費税が8%から10%になります。当然、設備投資の費用もその分アップし、負担が増えます。
賃貸経営の厳しいところは、このアップ分を家賃に転嫁できないことです。貸店舗や貸事務所であれば家賃に消費税がかかるので転嫁できますが、一般の居住用には転嫁できません。

リフォームなどの工事に関しては、来年は春ごろから駆け込み需要で混み合うことが予想されます。9月30日までに予定していた工事完了日が伸びて10月以降になり、消費税が10%になってしまうということもあり得ます。できるだけ、早めに計画を立てるのが望ましいでしょう。
また、リフォームの経費計上に関しては、修繕でない限りは減価償却することになり、工事が完了して引き渡し日からの計上になります。
※賃貸経営と消費税については、バックナンバー「消費税増税で賃貸経営はどうなる!?」に詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

設備投資は年末までに行い、節税対策も兼ねる。また、来年は消費税が増税となるので、早めの対応が必要。

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