タフテック®でゴム栓コンパウンドのトレードオフを打破
タフテック® N527は、コンパウンドの主材として、医療用のゴム栓用途で活躍が期待されます。針の突き刺しやすさ (低穿刺抵抗性)、抜針後の薬液の漏れにくさ (リシール性)、突き刺し時のゴムの削れにくさ (耐コアリング性)といったトレードオフの関係にある機能をバランスよく実現します。
N527の優れた柔軟性で、針を刺しやすいゴム栓を実現
輸液剤などの栓体に用いられるゴム栓は、医療現場での作業性の観点から、針の突き刺しやすさ(低穿刺抵抗性)が求められます。穿刺抵抗性の高いゴム栓は硬く、針を突き刺しにくいため相当量の力が必要となり、作業性に影響を及ぼします。
従来のゴム栓は、穿刺抵抗性を低くするため、可塑剤としてオイルを多量配合し、軟質化していました。しかし、オイルは多量に配合すると、経時で薬液にブリード(溶出)してしまう危険性があります。
タフテック® ︎N527は、汎用的な高分子SEBSと比較して柔軟性に優れるため、オイルを多量配合しなくても、穿刺抵抗性の低いゴム栓コンパウンドを実現可能です。これにより、薬液へのオイルブリードも防ぐことができます。
圧縮永久歪の小さなN527で、抜針後の薬液漏れを低減
医療現場で用いられる容器のゴム栓には、抜針後の液漏れを低減する「リシール性」が求められています。
リシール性の低いゴム栓は、処置終了時に栓体から抜針した際に、薬液が漏出する可能性があります。そのため、ゴム栓には抜針後の回復性が求められます。
タフテック® N527は、圧縮永久歪(C-set)が良好で回復性に優れるため、リシール性の高いゴム栓を得ることができ、抜針後の薬液漏れを低減します。
PPとの優れた相容性で、突き刺し時の耐コアリング性を改善
ゴム栓には、穿刺した際にゴムが削れにくい性能、「耐コアリング性」が求められています。耐コアリング性の低いゴム栓は穿刺した際に、針に削れたゴムが付着し、薬液内にゴム断片が混入する危険性があります。
耐コアリング性は、ゴム栓コンパウンドのオイル配合量を低くして強度を上げたり、PP配合量を高くして摺動性を上げることで改善することが出来ますが、それに伴ってコンパウンドが高硬度化してしまうため、穿刺抵抗性が上がって針を突き刺しにくくなってしまうというトレードオフがあります。
タフテック® N527は、PPとの相容性に優れるため、エラストマーコンパウンドの柔軟化に寄与します。さらに、N527はそれ自体が十分な柔軟性を有する素材であるため、オイル低配合であっても穿刺抵抗性を損なわずに耐コアリング性の改善が可能で、トレードオフを解消します。