タフテック®とS.O.E.®が実現する安全かつ高機能な医療用チューブ
旭化成のS.O.E.®およびタフテック®/ポリプロピレンブレンドは、安全かつ高機能な医療チューブ成形材料に適しています。これらの素材は、医療チューブに求められる機能を高いレベルで実現するとともに、PVCでは難しい可塑剤フリーや低薬剤吸着性といった新たな付加価値を提供します。
医療チューブのPVC代替素材として注目を集めています
医療チューブは、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)が素材として主流ですが、薬剤吸着性や可塑剤移行、環境負荷の観点からPVC以外の材料への注目が集まっています。
旭化成のS.O.E.®またはタフテック®は、下表に示すような医療用チューブに求められる様々な機能を高いレベルで備える「PVC代替素材」です。
さらにS.O.E.®またはタフテック®は、PVCとは異なり、可塑剤フリーで高い柔軟性を発現します。そのためチューブから薬液に可塑剤が溶出するリスクがありません。加えて、液中の薬剤の吸着性が低く、より定量的な投薬が可能になるメリットもあります。
続くセクションで、S.O.E.®およびタフテック®を用いた医療チューブの特徴をご紹介します。
溶剤接着性と耐キンク性に優れるしなやかなS.O.E.®チューブ
S.O.E.®は単体でチューブとして成形可能なSEBSです。従来の軟質ポリ塩化ビニル(PVC)で作られた医療用チューブに対して、以下の様な特長を有しています。
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高い溶剤接着性S.O.E.®チューブは溶剤接着性に優れ、ポリカーボネートやABSに対して高い接着性を示します。そのため、溶剤を用いた部材の接合(点滴筒やコネクタなど)に対して、高い接着性を発揮することができます。
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高い耐キンク性S.O.E.®チューブはソフトセグメントをコポリマー化してガラス転移温度(Tg)を室温付近に設計しているため、室温付近での応力緩和が大きくなり、優れた耐キンク性を発現します。この特徴により、医療現場で問題になるチューブの折れ曲がりが生じにくくなり、投薬の不安定化を抑制することができます。
復元性と耐熱性に優れるタフテック®/PPブレンドチューブ
タフテック®もポリプロピレン(PP)とブレンドすることで、S.O.E.®と同様に、医療チューブを成形することができるSEBSです。タフテック®はPPとの相容性が高く、ブレンドすることで高柔軟・高透明な医療チューブを作ることが可能です。従来のPVCで作られた医療チューブに対して、以下の様な特長を有しています。
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クランプ後の高い復元性タフテック®は柔軟性・ゴム弾性に優れるため、鉗子挟みなどによるチューブの閉塞が解除された際に、元のチューブ形状に戻りやすいという特長があります。これにより、安定した送液を実現します。
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蒸気滅菌が可能タフテック®/PPブレンドで作られたチューブは、耐熱性があります。そのため121度のオートクレーブ滅菌に耐える医療チューブを成形することが可能です。
低薬剤吸着で定量的な投薬を実現
従来の医療チューブの素材である軟質ポリ塩化ビニル(PVC)は、一部の薬剤と親和性が高いため、チューブを通過する際に薬剤がチューブ表面に吸着し、信頼性の高い投薬が難しい場合があります。タフテック®およびS.O.E.®は、PVCに比べ極性が低いという特徴を持っており、チューブへの薬剤の吸着を低く抑えることで、定量的な投薬を可能にします。