輸液バッグフィルムの
機能設計をもっと自由にするタフテック®
旭化成のタフテック®をポリプロピレン(PP)に配合することで、輸液バッグフィルムに対して、多様な機能(耐衝撃性、柔軟性、ヒートシール性、透明性)を付与することができます。
さらに、これらの機能性はPPとタフテックの配合割合によって自在に調整が可能です。これまで諦めるしかなかった機能のトレードオフを解消します。
フィルムの各層で、バランスよく機能を調整するタフテック®
輸液バッグ用のポリプロピレン(PP)フィルムは、「外層」「中間層」「内層」の3つの層から成り立っています。各層は耐衝撃性、柔軟性、ヒートシール性、透明性といった多様な機能をバランス良く兼ね備える必要がありますが、これらの特性の間には通常トレードオフが存在します。
タフテック®は、PPとの配合比率を調整することで、これまで諦めていたトレードオフの解消を実現し、より自由なフィルム機能の設計をサポートします。以下では、各層におけるタフテック®の効果を具体的に紹介します。
外層:バッグを破損から守る耐衝撃性と、高い透明性を両立
輸液バッグの外層は、蒸気滅菌工程やヒートシール工程において耐熱性を求められるため、融点の高いホモPPが用いられます。
しかし、ホモPPは結晶性が高いために、衝撃に弱いという特徴があります。また結晶量が多いことで、透明性が低いという問題もあります。
タフテック®は、このような外層の問題を解決するために広く活用されています。タフテック®は低温特性に優れる特長を持っており、PPに適切な比率で配合することで、外層フィルムの耐衝撃性を高めることができます。さらに、タフテック®のPPに対する高い相容性により、フィルムの透明性を向上させることもできます。
中間層:耐衝撃・柔軟性・透明性をバランス良く実現
輸液バッグのポリプロピレン(PP)フィルムの中間層は、耐衝撃性、柔軟性、透明性など様々な性能を発揮することが求められる重要な層であり、これらの機能は、タフテックの配合比率を調整することで達成可能です。
特にタフテック® H1221とH1062を併用することで、これらの機能をバランスよく満たすことが出来ます。H1221はPPとの相性がよく、透明性と柔軟性の付与のために配合されます。またH1062はガラス転移温度が極低温であるため、PPに配合することで耐衝撃性を付与することができます。
タフテック®は、PPに対する配合比や、そのグレードの組み合わせによって、付加するべき機能性を自在に調整することが可能です。
内層:柔軟なヒートシール強度の調整と歩留まり改善
輸液バッグの内層は、フィルムをバッグの形状に加工する際に行う熱圧着(ヒートシール)に重要な役割を果たします。タフテック®を添加することで、ヒートシール強度を狙い通りにコントロールできるようになり、ポリプロピレン(PP)バッグの生産歩留まりを改善します。
PPフィルムのヒートシール工程では、PPの融解による成形不良や異物の発生が起こることがあります。しかし、タフテック®が添加されたPPフィルムを使用すると、PPの融点よりも低い温度で強力なヒートシールを実現できます。これにより、PPの融解によるシールバーへの樹脂の付着を抑制し、製品の歩留まり低下を改善することが出来ます。
さらに、タフテック®の添加比率を調整することで、従来難しかった柔軟なヒートシール強度の調整を可能にします。たとえば、しっかりとしたシールが必要な部分ではヒートシール強度を高め、イージーピール部分のように適度な力で開けられるような部分ではヒートシール強度を適度に抑えることができます。