自己粘着保護フィルムの粘着層を最適化
自己粘着保護フィルムは、光学部品(プリズム・導光板など)や建材(樹脂板・金属板など)の表面を保護する目的で使用されています。タフテック®やS.O.E.®は、「粘着力のコントロール」や「粘着亢進の抑制」「糊残りの防止」を実現します。
タフテック、S.O.E.で幅広い粘着力へ対応
自己粘着保護フィルムは、糊塗工タイプの保護フィルムと異なり有機溶剤を使用しないため、環境負荷低減と作業環境改善の観点で需要が高まっています。
その自己粘着保護フィルムが持つべき性能の中でも、粘着力は重要な性能の一つです。自己粘着保護フィルムは、貼り付け時には被着体にしっかりと密着され、剥がれない状態を維持する必要があります。その一方で、フィルムを繰り出す時やフィルムを被着体から剥離する時は、なるべく負荷を抑えなければなりません。よって自己粘着保護フィルムの粘着層には、粘着力の繊細なコントロールが求められています。
タフテック®やS.O.E.®は、そのような自己粘着保護フィルムの粘着力コントロールに最適なSEBSです。弱粘着から強粘着まで幅広い粘着力に適したグレードを取り揃えています。各グレードをブレンドすることで粘着力を調整することも可能です。
保護フィルムの粘着亢進を抑制
プリズム等の表面に凹凸がある被着体に保護フィルムを貼ると、熱や、温度変化のある環境に長時間曝されることで、粘着力が強まり(粘着亢進)剥離させにくくなってしまうことがあります。
タフテック®やS.O.E.®は、「貯蔵弾性率(G`)の温度依存性」が小さいため、幅広い温度領域で安定した粘着力を発現します。これにより、保護フィルムの粘着亢進を防ぐことができます。
S.O.E.®で保護フィルムの繰り出し性を改善
保護フィルムの基材層には、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂が使用されています。基材層とSP(溶解度パラメーター)値が近い素材を粘着層に使用すると、粘着層と基材層の密着度が高くなりすぎ、フィルムのロールからの繰り出し性が悪化します。
粘着層と基材層の過度な密着は、粘着層と基材の親和性を下げることで解消可能ですが、一般的にはトレードオフとして粘着力の低下が生じます。
S.O.E.®は独自の分子設計技術により、SP値の異なる多様なグレードをご用意しています。最適なSP値のグレードを粘着層に添加することで、オレフィン系基材との親和性を、適切なレベルに調整することができます。S.O.E.®のこのような特徴により、被着体との粘着力を保ちつつ、繰り出し性の高い保護フィルムが実現できます。
被着体への糊残りを防ぎ、クリーン性を追求
保護フィルムの粘着層には、一般的にタッキファイヤーが粘着剤として用いられます。しかし、このタッキファイヤーが被着体の表面に残留し、「糊残り」という現象が引き起こされ、被着体を汚してしまうことがあります。
S.O.E.®は、他のSEBSと比較してSP値が高く、さまざまなタッキファイヤーとの相容性に優れています。この特性により、タッキファイヤーが被着体に転写する「糊残り」の軽減が期待されます。