老後の住み替え、親の住み替えを考える｜最適な選択肢と進め方を解説

「この家でずっと暮らせるだろうか？」と考えたことはありませんか？　年齢を重ねると、階段の上り下りや、医療機関やスーパーに通うことを負担に感じることが増えてきます。また、親が一人暮らしをしている場合に「転倒や病気のリスクを考えると、もっと安心できる住まいを探したほうがいいのでは？」と心配になることもあるでしょう。

本記事では、親の住み替えを検討するタイミングや最適な選択肢、スムーズに進める上で重要なポイントなどについて解説します。

親の住み替えが必要になる理由とタイミング

親の住み替えを考えるきっかけはさまざまですが、「今の住まいが暮らしにくくなった」「将来の介護が心配」など、親が年齢を重ねるとともに必要性が高まることが多いです。では、具体的にどのような場面で住み替えを検討するべきなのでしょうか。

ここでは、住み替えの主なきっかけや適切なタイミングについて解説します。

住み替えを考えるきっかけ

住み替えを検討する理由には、住環境や健康状態などの変化があります。例えば、加齢により階段の昇降が難しくなったり、段差の多い家が負担になったりする場合は多いです。高齢になると、転倒リスクが高まるため、安全な住まいへの移行を考える人も少なくありません。

また、買い物や通院が不便に感じることも大きな要因です。車の運転が難しくなったり、バスや電車の移動が負担になったりした場合は、生活のしやすい場所へと引っ越す必要が出てきます。

一人暮らしの場合には、病気やケガのときにすぐ助けを呼べない不安から、見守りのある住まいを選ぶケースもあります。このように、住み替えを考えるきっかけは体や生活の利便性の変化に関わることが多いため、早めの検討が大切です。

住み替えの適切なタイミング

住み替えはなるべく健康なうちに検討するのが理想です。年齢を重ねてからでは、新しい環境に適応するのが難しくなるため、判断力や体力があるうちに動くことが大切です。

また、介護が必要になる前であれば、住み替えの選択肢が広がります。介護が必要になってからでは、入居可能な施設が限られてしまうことも。

さらに、認知症のリスクを考慮すると、認知機能がしっかりしているうちに住み替え先を決めておくほうが安心です。家族と相談しつつ、なるべく負担の少ないタイミングで準備を進めるのがよいでしょう。

親を呼び寄せるのも住み替えの選択肢の一つ

遠方に住む親が高齢になった場合、子どもの住む家の近くに住み替えるという選択肢もあります。病気やケガの際にすぐ対応できるだけでなく、定期的に顔を合わせることで安心感が生まれるでしょう。

ただし、親にとっては長年住み慣れた場所を離れるという精神的な負担も生じるため、慎重に話し合いを進める必要があります。

親の住み替えの選択肢

親の住み替えを検討する際、どのような住居を選択するかが重要なポイントです。現在の住環境や健康状態、将来的な介護の必要性を考慮しつつ、最適な選択肢を見つけることが大切です。ここでは、代表的な住み替えの選択肢について解説します。

持ち家を売却して新たな住まいへ

持ち家を売却して、売却代金でバリアフリーのマンションやシニア向け分譲住宅などへと買い替える方法です。駅近の住まいを選べば将来的にも快適に暮らせます。

メリットは、将来的に資産として活用できる点、住環境を自分の希望に合わせて選べる点です。

一方で、売却には時間がかかる場合があるため、早めに準備を進めることが不可欠です。資産に比較的余裕があり、自立した生活が可能な方に最適な選択肢といえるでしょう。

賃貸住宅への住み替え

持ち家を売却後に、高齢者向けの賃貸住宅へ住み替えるという方法です。家を所有せずに、ライフスタイルに合わせて柔軟に住み替えられるのがメリットですが、家賃を払い続ける必要があるため、安定した資金計画が欠かせません。

また、高齢者向け住宅であれば柔軟な対応が期待できますが、一般的な賃貸住宅の場合、高齢者であるという理由で審査が厳しくなる場合もあるので注意しましょう。

売却代金で老後資金を確保しながら、自立した生活を送りたい方に向いているでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）への入居

自立した生活を維持しつつ、生活支援を受けられる住宅への住み替えです。高齢者向けのバリアフリー設計で、安否確認や生活支援サービスなどが受けられるため、一人暮らしの不安を軽減できます。

また、介護が必要になった場合にも外部サービスを利用できますが、基本的には要介護度が低いうちに入居する必要があります。併せて、家賃やサービス費用などの継続的な支払いが発生するため、費用やサービス内容などを比較しつつ最適な物件を選びましょう。

老後の一人暮らしが不安な方に最適な選択肢といえるでしょう。

介護施設への入居（特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど）

要介護状態になった場合、介護サービスを受けながら生活できる施設への住み替えも考えられます。介護施設の種類として、費用負担の少ない特別養護老人ホーム（特養）や、手厚い介護が受けられる介護付き有料老人ホームがあります。そのほかには、自立した生活を基本とする住宅型有料老人ホームなども選択肢の一つです。

メリットは、介護が必要になっても安心して暮らせることです。しかし、施設によっては費用負担が大きくなるため、事前の資金計画が欠かせません。

体力的な衰えが目立っており、介護を必要とする方に向いているでしょう。

親の住み替えをスムーズに進めるためのポイント

親の住み替えを成功させるためには、本人の意向を尊重しつつ慎重に計画を進めることが大切です。急な決断は親の負担になりやすいため、事前の話し合いや資金計画をしっかり行って、無理のない住み替えを目指しましょう。

親の意向を尊重しながら話し合う

住み替えは親にとって大きな決断です。「安全のために必要」と思っても、親が住み慣れた家を手放すことに抵抗を感じることも少なくありません。そのため、気持ちを尊重しつつ話し合うことが重要です。

「将来、もっと快適に暮らせる環境を一緒に探そう」と前向きな提案をすることで、親の不安が和らぎます。また「今すぐに決めなくてもいいから、まずはどんな選択肢があるか見てみよう」と伝えると、親も前向きになりやすいです。実際に住み替え先の施設や住宅を見学し、選択肢を増やすことで、納得感を持って決断しやすくなるでしょう。