文武両道のルームメイク

文武両道のルームメイクvol1:エディターズ・ジム

COLUMN

雑誌の住宅特集や専門誌で紹介される"絵になる家"の持ち主には、圧倒的に文科系の人が多い。
書斎の蔵書が充実していたり、部屋に飾るアートにこだわっていたり、植物のレイアウトに隙がなかったり...それはそれで悪くないとは思うが、何かが足りない。
一方で、アメカジ誌によく見られるような、男らしい部屋づくりに励んでますという人たちの空間を拝見すると、クルマ命バイク命のコテコテガレージだったり、履かないスニーカーのコレクションに場所を奪われた部屋だったり、サーフボード以外は置いてあるものがチープすぎる空間だったり、男として知的ポテンシャルを高めるための工夫に欠けるケースが目立つ。
意外にも男たちが標榜する空間作りには、文武両道の発想がないのだ。
開高健さんの勉強部屋は文武両道とは思うが、おそらく実際は文ファーストで武は後付けだったのでは? という気もする。
知る限り、文武両道の空間を完成させているのは、アリスファームの藤門弘さんくらいじゃないか。
しかし藤門さんの住まいは北海道の大自然にある。
都心部で文武両道の空間を作りあげた人となれば、探すのは一苦労なのだ。

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ここに描いたイラストは、段差のあるリビング空間を利用して自宅内に自らの部屋「エディターズ・ルーム」を創ろうという青写真。
週末にはここで原稿を書き、読書もするが、日々欠かすことのできないマッスルアップも行う。
このためホームジム用マシンを同居させている。
ポイントは、文と武の間に、アメリカンワードローブ、音楽、アート...男の愉しみとしての「趣味」をインサートした点だ。
次回からは各論に入りたい。

本人はあまり表だって言わないが、HailMary編集長・小野里稔の「家」に対する造詣は、服装やクルマ同様に相当深いものがある。
住居偏差値の高い鎌倉に長年住みつづけており(現在の住居である由比ガ浜の邸で3軒目)、地元のビルダーをはじめとしたプロたちとの交流が深いというのもその理由のひとつだろうが、なにより「住」に関しては人一倍勉強熱心なのだ。
その小野里が、以前から疑問に感じているのが「意外にも文武両道の部屋がない」ということ。
今回の夢の空間作りの基本となった部屋は、へーベルハウスの3・4階建て住宅「FREX(左ページ写真)のリビングルーム。
一段下がったところに設けられた天井高のスペースを活用し、ここを「エディターズ・ジム」として改良する。
将来的にはこんな部屋をもつ小野里プロデュースの「ヘイルメリーハウス」を実際に建てるというプロジェクトにも挑戦したい

illustrated by Kazutomo Makabe /
photographed by Junsuke Obi

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小野里 稔(おのざとみのる)/1956年生まれ。
1998年に創刊したFree&Easyマガジンが国内外で注目を浴び、男性ライフスタイル誌の分野でカリスマ的存在に。
2016年春、イースト・グループより円満独立し、Free&Easyをアップグレードしたクォリティマガジン「Hail Maryマガジン」を創刊。
「知的不良」のキーワードを掲げ、熱狂的ファンが国内外で増殖している。
「住」に関する造詣も深く、「文武両道のルームメイク」は自邸の各スペースをより男らしく改造することを目的に、カスタム好きの読者を刺激する人気連載コーナー。

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HailMaryこちらのコラムはHailMary5月号に掲載されています。
※WEB掲載用に一部加筆・修正しています。

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