今回のルームメイクのベースには、応接間や前室など、客人が訪ねてきたときに招き入れる部屋を用意しておくべきだという考えがある。
その最もハードボイルドなタイプとして、カフェ・イン・ガレージを提案することにした。
アメリカでは「マントーク・エリア」というらしい。
たとえば「ハーレーの良い出物があるのでこっそり入手しようと思っている...」とか「親父が持っていた山をそろそろ売りに出そうと思うのだが...」といった企み話。
そういう泥くさく男くさい話は、家族のいるリビングルームでするものではない。
隠れ家的エリアで楽しむものだ。
男がバーに向かうのはそういう場所を求めてのことだろうが、酒よりもコーヒー好きの私の場合、自宅ガレージに男っぽいカフェスペースを加えることで、バーに代わるエリアを築きたいと思う。
ここならばBGMのボリュームを上げることだってできる。
カフェスペースを作る理由は、もうひとつある。100%真正面から向き合って会話しなくていいように仕向けるためだ。
相手をカウチに座らせ、自分はコーヒーを淹れながらカウンターサイドで会話を進める。
(私だけではないと思うが)お見合い状態で悪友とマントークするのはチト苦手だ。
目線を外しながら相手をもてなすほうが、相手にとっても楽だろう。
そしてもう一点、カフェ・イン・ガレージは、自分だけが篭れる場所にもなる。
たまには他者から身を隔離し、自分だけの世界に篭る時間がほしい。
非日常のなかで物事を考え、寛げる神聖な場所として、この部屋を確保したい。
illustrated by Kazutomo Makabe
HailMaryこちらのコラムはHailMary6月号に掲載されています。
※WEB掲載用に一部加筆・修正しています。
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