文武両道のルームメイク

文武両道のルームメイクvol4:アイアンルーム

COLUMN

これまで自宅の敷地内で「マニアックに遊べる不良的空間」は、ガレージと屋上スペースに集約していた。
ガレージには趣味のアメ車やジムがあり、屋上には30坪のアウトドア空間が広がる。
だから1Fの自室は、遊びや不良の要素を入れず、意図して仕事につながる部屋に仕上げた。
そんな空間にはミッドセンチュリー・モダニズムがフィットする。
選んだのは、世界中でオフィス家具として使われ、耐久性にも優れているUSMのシステムデスク&ラックだっ
た。
これによって知的不良の「知的」領域を守ることができたわけだが、オフィスユースゆえにサイズが大きく奥行も深い。
広い部屋が狭く見えるという問題が生じた。

もうひとつ問題はあった。
それはこの「知的」空間自体に対する違和感だった。
私が久しぶりにアメリカ車を手に入れようと決心したのは、2年前にインディヴィデュアルの立場で新たに起業し、新雑誌を発刊したからだ。
大企業の代表ではなくなり、一介の挑戦者に戻ると、15 年前にFree&Easyで特集した『金持ち、インテリ、クソ喰らえ』の精神が蘇ってもきた。
だから、小利口にまとまった自室にしばらく違和感をおぼえていたのも事実だった。

そんな折に偶然、Fe NEEDSの浅田君と知り合った。
彼の創るアイアン家具に熱いものを感じ、一緒に不良でマニアックな空間を作ることになった。

RC住宅であることや、自室がシンプルな白壁仕様なのに留意しながら、「ハレーションを起こさない程度のラフネック仕様のデスク&キャビネット&ブックシェルフをカスタムする」ことにした。
(次回につづく)

CUSTOM ORDER TO:

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鎌倉の佐助で偶然見つけた工房「FeNEEDS」。
クラフツマン浅田圭介さんのセンスの良さに惚れてアイアン家具をカスタムオーダーすることに。
スチールだけでは重くなるため、若干のウッドを使うことをリクエスト。
キャビネットの数、棚の数、現在使用中のUSMほどの奥行が必要ないことも共有した

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早速小野里家を下見。
一通りサイズを測ったあと、浅田さんはノートにラフを描き始めた。

浅田:アイアンデスクの天板に腕パッドにもなるレザーを貼って、両サイドに木板で扉を付けると鉄の冷たさを軽減できますね。
ブックシェルフのほうは木を多めに使い、フレームをアイアンにすれば、ほど良いバランスになると思います。
目隠しのパネルを複数作り、スライドでどの位置にも動かせるようにしたいな...

アイデアがつぎつぎに湧き出てくる。
その日から早速作業に取りかかった。

illustration by Kazutomo Makabe /
photographed by Shinichi Miura

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HailMaryこちらのコラムはHailMary8月号に掲載されています。
※WEB掲載用に一部加筆・修正しています。

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