ルーツはドイツ

ルーツはドイツvol5:ステファン・ケン/ドイツに学んだデザイン

COLUMN

ルールを壊す前にルールを知る、という精神をドイツに学んだ

ダウンタウンLAを拠点に活躍するステファン・ケン氏は、家具、レザー小物、アートなどを手掛けるマルチデザイナーである。
機能を最優先したシンプルな形を追求しながら、経年変化を楽しめるマテリアルを使うことをデザインポリシーに置いている。
とりわけ彼がデザインする家具にはFORM FOLLOWS FUNCTION の思想が宿っているように思える。
右写真のアームチェアは「あくまで機能性を追求するため、ボロの布地を丁寧に縫い合わせ、カバー素材としての強度に耐えうるよう」補強し、そのうえで、サビ加工のスチールフレームに手染めのインディゴウェビングとベジタブルタンドレザーの頑丈なベルトを装着して完成している。

ステファン・ケンさん:私は機能的に優れ、見た目にも美しいうえに、ちゃんと"問題を解決してくれる"、そういったプロダクトデザインを志向しています。
ドイツ製品、日本製品、デンマーク製品にはとくにそういったシンプルで無駄のない機能美が見てとれますね。
とくにドイツ製品のデザインは、実用性の面で素晴らしいと思います。
考え抜かれた設計にもとづいたモノづくりを貫いているので、正確無比。
優秀なドイツ製品からは、『ルールを壊すなら、その前にルールをよく知らねばならない』という古い格言を思い出します。
ドイツ的デザインプロセスに見る周到な配慮をとても素晴らしいと思えるようになったし、ここ数年は自分にもそういう配慮が徐々にですができるようになってきた気がします。
最近は、プロトタイプを作り始める前に、長い時間をかけてデザインについて深く考えるようになりました。
自分が身につけるものについても、ファストファッションは信じないし、何十年も平気で耐えうるモノたちに囲まれたいと思っています。

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ボロ・アームチェアは香港を拠点にするGrowth Ring & Supplyのファウンダー/キュレーターのケンジ・ウォン氏とのコラボレーションで作った「The Boro Armchair」。
ミリタリーキャンパスを使った家具づくりも得意としている。

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美しく、パワフルで、バランスがとれ、しかも軽い。
2016年のキャンペーンで初めて試乗し、熱い思いを語ったシーンがオフィシャルビデオに紹介されてしまった。
それほど愛してやまない「BMW R9T」

interviewed by Aya Komboo /
photo : Courtesy of Stephen Kenn

german5-2.jpgPROFILEステファン・ケン
インテリアデザイナー



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HailMaryこちらのコラムはHailMary8月号に掲載されています。
※WEB掲載用に一部加筆・修正しています。

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