ルーツはドイツ

ルーツはドイツvol3:プロダクトデザインの革命児たち

STUDY

何がこの男たちを世界基準にしたのか

ドイツには、伝統的にマイスターを育む社会的環境が整っている。
そのなかから革命児のようなプロダクトデザイナーが次々に生まれ、彼らの設計した製品は世界基準になっていった。
バウハウスの教育下で才能を開花させたマルセル・ブロイヤーやマックス・ビルのように、ドイツに渡ったこと
でその精神を身につけた外国人も多かった。

ブロイヤーはハンガリー、ビルはスイスの出身だ。
彼らは、技術の進化がデザインへの新たな道を与えてくれることをドイツで学んだ。
革新的デザインはつねに技術革新とともに生み出されるものであり、デザインだけで完結するものはないことを教育によって叩き込まれた。

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ドイツ製品デザイナーの多くは、革新を象徴する国アメリカでも称賛された。
作り出されるプロダクトは道具としての役割を果たすのだから装飾ではない、使う人間の個性を生かすためにもデザインはニュートラルで控えめであるべきだ、その考えがアメリカでも受け入れられたのだ。

あいまいさや予測不能な要素をいっさい残してはならない。
デザインをするうえでの細心さ、正確さは、消費者への誠意を示すものだ

ブラウンの巨匠ディーター・ラムズの言葉にメイド・イン・ジャーマニーのプライドが表れている。
ソニー製品やアップル製品のデザインで有名なハルトムット・エスリンガーの「形態は感情に従う」という考え
も当を得ている。
彼はコーヒーを題材にしながら、それをカフェインと思うか、楽しみと思うか、渇きを潤すものと思うか、そ
の感情に踏み込んでいくことでデザインの可能性は広がると指摘する。
作り手のエゴでモノづくりをしてはダメということだ。
どれだけ大衆の生活に寄り添って生きていけるかがクリエイターとして大切なのだと、彼らは教えてくれる。

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written by Hiro Naooka /
illustrated by Kazutomo Makabe

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HailMaryこちらのコラムはHailMary8月号に掲載されています。
※WEB掲載用に一部加筆・修正しています。

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