バウハウスの遺産

バウハウスの遺産vol5:不滅のインテリア

STUDY

Case 1 : CHAIRS

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バウハウスが生み出した家具の中でも、マルセル・ブロイヤーやミース・ファン・デル・ローエが考案した頑丈でシンプルな椅子は最も後世に影響を与えるプロダクツとなった。
デッサウに移転した1925年のはじめ、ブロイヤーは家具に鋼管を使う研究をしていたが、自転車のハンドルのカーブに感心して家具に金属を使用する考えを思いついたという。
スチールを製造業者に分けてもらい、錠前師と協力してそれを織物やガラスや木材と組み合わせ、椅子や机を考えたのだ。
これによって「家具は空間に描かれる」というコンセプトが具象化したのである─。

1. TECTA D42

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バウハウス最後の校長を務めた巨星ミース・ファン・デル・ローエがデザインしたアームチェア「D42」。
バウハウス家具製作会社として知られるドイツTECTA社の経営者、アクセル・ブロッホイザーの精神が宿る。
曲線を描くスチールレッグによって、見た目の美しさだけでなく弾むような座り心地を実現。
世界でもっとも美しいカンティレバーチェアとも称される。
サイズ:W570×D840×H810×SH450mm。
26万5680円~(ACTUS)。

2. TECTA D21

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1998年製作のTECTA社オリジナルデザイン。
座面にプラスチックコードを使用したシートフォルムが、美しさとカンティレバー構造(後脚のない片持ち構造)によるクッション性も兼ね備え、長時間の使用でも疲れない。
バウハウス時代に課題だったカンティレバー構造の強度的弱点を、チューブアプラティという独自の特許技術で克服している。
サイズ:W530×D590×H920×SH470mm。
13万9320円~(ACTUS)

3. THONET S533R

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カンティレバー構造の持つクッション性をさらに追求したこの椅子は、脚部の湾曲が視覚的優美さとともに、他のカンティレバー構造よりも柔らかく、ストロークの長いゆったりとした"しなり"を生み出す。
ミース・ファン・デル・ローエによるデザイン完成から90年が経った現在でも、モダンであり続けていることが完成度の高さを証明している。
サイズ:W500×D770×H820×SH440mm。
24万8400円(AIDEC)

4. Knoll Studio Breuer Collection Wassily Lounge Chair

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スチールパイプを使用した世界初の椅子として知られるマルセル・ブロイヤーのワシリーチェアの復刻モデル。
バウハウスで親交の深かった画家ワシリー・カンディンスキーの誕生日に贈ったのでその名がついたという。
背、座、肘かけは、曲げ加工したフレームに革を張っただけのデザイン。
無駄のない美しさを体現できるモダニズムのアイコン的一脚。
サイズ:W790×D690×H730×SH420mm。
23万8680円(インターオフィス)

5. TECTA D4

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こちらはマルセル・ブロイヤーの名作「D4 フォールディングチェア」の復刻モデル。
ワシリーチェアの折り畳みバージョンで、持ち運びが楽になった。
原型は1927 年のファイセンホーフ住宅展でグロピウスが設計した住宅に展示された際、公式発表されたといわれる。
1980年にはMoMAの永久コレクションにも選定されている。
サイズ:W780× D610× H710×SH440mm。
15 万5520円~(ACTUS)

TECTA D51

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1922年、グロピウスが自ら建物を設計したアルフェルトのファグス靴型工場のためにデザインしたという知られざる椅子「D51」。
バウハウスのデザイン思想をいまの時代に継承するTECTA社が、バウハウスの名作を蘇らせていくきっかけとなった椅子でもある。
上質なアッシュ材を用いて製作されている。
書斎に持ち込みたい。
サイズ:W600×D560×H790×SH460mm。
21万2760円(ACTUS)

7. TECTA F41

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マルセル・ブロイヤーが1922年にスケッチしたデザイン。
当時、彼は自転車と椅子を組み合せて車輪付ソファを作る実験を行っていたが、ついに実現しなかった。
1984年、そのデザインをもとにテクタ社が製品化にこぎつけた。
「リラクゼーションと動きという相反する行動をひとつにしたケーススタディファニチャー」だそうだ。
アウトドアリビングにいいかも。
サイズ:W1860×D610×H630×SH300mm。
36万8280円(ACTUS)

Case2 : OTHERS

バウハウスの意思を受け継ぐプロダクツを一度の特集で紹介するのは至難の業。
...数限りない陶器製品やグラフィックスの分野はやむなく目をつぶった。
またボールペンからクルマまでバウハウスに影響を受けてデザイン設計されたという現代のプロダクツも今回は無視することにした。
食器や照明器具や装飾作品など、エポックメイキングなルームギアは外すわけにはいかないので、しかたなく絞りこんでその「遺産」をピックアップした。
...ということで、次回からはドイツ製品に限り「バウハウスの遺産」のタイトルを残して連載します。
グロピウスやミースのことももっと知りたいし...!

8. neaf bauhaus chess set

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1923年にヨーゼフ・ハルトヴィックスがバウハウスで制作したユニークなチェス。
その復刻版。
それぞれの駒は、ゲームでもつ動きをシンボル化した形に仕上げている
(たとえばビショップは斜めのみに動くから立方体を斜めにカットした形状に、クィーンはもっとも自由に動ける駒としての球状になっている)。
機能優先を誇るバウハウスの精神をうまく表現したIQ 高しのプロダクト。
7万5600円(チェス盤:2万7000円+チェス駒4万8600円
(ユニークスタンダーズ)

9. Christian Dell KAISER idell 6556-F

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バウハウスの「金属工房」の主任を勤めていたクリスチャン・デルが1931年にデザインした、カイザー・イデルのフロアランプ「6556-F」。
1926年にランプ工場だったカイザー社のための照明のデザインしたのがカイザー・イデルのはじまりだった。
ソファやベッドの脇に置いても空間を邪魔しないデザインが秀逸。
サイズ:Ø210×H1250mm。
11 万6640円(フリッツ・ハンセン日本支社)

10. ALBERS DESK

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バウハウスの研究室長を務めていた画家ヨゼフ・アルバースが1927年にデザインしたワークデスク。
当時は最高傑作と言われていたが、最近になってようやく生産にこぎつけた。
片側に可動式袖があり、はね上げて広げるとそこにもう一人分の仕事スペースができあがる。
サイズ:W900×D585×H760㎜(延長デスク:W420㎜)
65万6466円。
オンラインストアのみで販売
(MoMA オンラインストア)

11. TECTA M1

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どの方向にも座ることが可能な、奇才建築家ステファン・ヴェヴェルカが手がけた「M1」ダイニングテーブル
(チェアは同じくTECTA社の「B1」アームチェア/1脚23万40円~)。
見上げた時の木の形にインスピレーションを受けてデザインしたという。
「バウハウス最後の目撃者」といわれるTECTA社オーナー、アクセル・ブロホイザーの息もかかっている。
サイズW1880×D1480×H740mm。
78万6240円。(ACTUS)

12. Max Bill by Junghans Wall Clock

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マックス・ビルとユンハンスのコラボ。
バウハウスで学び、建築家、画家、工業デザイナーとしても活躍したマックス・ビルは『バウハウス最後の巨匠』と称される。
彼の作品の中でも最も優れたデザインの一つとして挙げられるこのウォールクロックは、緻密に計算されたインデックスと針のレイアウトによって、時・分の重なりを極めてシンプルに美しく表現している。
サイズ:φ300×D52mm。
5万4000円(ユーロパッション)

13. Paul Klee "New Harmony 1936"

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第一次世界大戦後、ミュンヘンでの展示会で成功をおさめた後、画家としての名声を得て1921年にバウハウスの教授となったパウル・クレー (P162参照)の作品「New Harmony1936」。
クレーの芸術は「抽象的表現主義」「超越主義」と評され、シンプルで力強い形態配置と、強烈な色彩感覚が最大の特徴。
サイズ:縦730×横530×厚さ30mm(額装込)。
1万2960円(イデーショップ 自由が丘店)

14. BRAUN BNE001WH

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1983年に世界で5000台程度しか生産されなかったことから希少価値が高く、現在でもオークション等では高値がつけられている「ET55」が30年ぶりに復刻。
ディーター・ラムスとディートリッヒ・ルブスが手掛けた「ET55」のデザインと機能性をそのままに、ボタンの配色数を減らすことでさらに潔い白さが際立っている。
6480円(メトロクス

15. Max Bill Dining Table

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マックス・ビルが1949年にデザインした名作。
サポートレールを軽く回すと、正方形のテーブルが大きな円形のテーブルに広がる。
クリアラッカー塗装のカエデ無垢材、黒いリノリューム天板とカエデ材の縁で作られている。
サイズW899×H737㎜ ( 広げた時:Φ1280㎜ )。
97万2000円。
オンラインストア限定品(MoMA オンラインストア)

16. JENAER GLAS EDITION WILHELM WAGENFELD EGG CODDLER No.1

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ヴァーゲンフェルドのデザインによる卵調理器「エッグ・コッドラー」がイエナグラスにより復活。
耐熱ガラスを使用して作られたユニークな形状が特徴で、冷やす・蒸す・焼くなど様々な調理方法に対応している。
調理後そのままサーブでき、テーブルウェアとしても利用できる。
65ml、3780円
(ツヴィーゼル・ブティック代官山 )

17. TAC Tea cup & saucer / Tea pot

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グロピウスがデザインを手がけたアイテム。
TACは1969年にスタートしたブランドで、グロピウスの追求してきた機能性と造形美の融合がテーマ。
1セットを書斎に常備しておきたい。
右「TACティーポット」:600ml、1万800円。
左「TAC ティーカップ&ソーサー」:240ml、5400円(IMGS)

18. ritter electric kettle fontana 5

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バウハウ哲学を継承するリッターの電気ケトル。
70度、80度、95度、100度と用途に応じた温度設定ができ、電源部が本体から分離されてベースに設置されているため持ち上げて湯を注ぐことができる。
サイズ:W220 × D150 x H240mm、1.3ℓ、
3万1320円( ユニークスタンダーズ)

19. ALESSI BAUHAUSARCHIV ASHTRAY

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1924年にマリアンネ・ブラントがバウハウスの金属工房でデザインした作品を、ベルリンのバウハウス資料館の許可を得て復刻したプロダクト。
ブラントはバウハウスのなかで最も成長した金属デザイナーで、ケトルやポット、また照明器具のデザインにも才能を発揮した。
サイズ:Ø 121×68mm。 3万1320円(アレッシィ ショップ 青山)


written by Hiro Naooka /
Masaki Takahashi
問い合せ:
ACTUS:tel.03-5269-3207 http://www.actus-interior.com
AIDEC:tel.03-5772-6660 https://www.aidec.jp
インターオフィス:tel.03-5771-7631 http://www.interoffice.club
ユニークスタンダーズ:tel.03-6804-6386 http://www.uniquestandards.com
フリッツ・ハンセン日本支社:tel.03-5778-3100 https://fritzhansen.com/ja-jp
MoMA オンラインストア:tel.0120-977-459 http://www.momastore.jp
ユーロパッション:tel.03-5295-0411 http://www.europassion.co.jp
メトロクス:tel.03-5777-5866 https://metrocs.jp
ツヴィーゼル・ブティック代官山:tel.03-3770-3553 http://www.zwiesel-kristallglas.jp
IMGS:tel.03-3274-7515 http://www.rosenthaljapan.com
アレッシィ ショップ 青山:tel.03-5770-3500 http://alessi.shop-pro.jp
※表示価格は税込みです

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HailMaryこちらのコラムはHailMary5月号に掲載されています。
※WEB掲載用に一部加筆・修正しています。

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