関節リウマチとは?
私たちの体にはウイルスや細菌といった有害な“異物”から体を守ってくれる防御機構=免疫システムが備わっています。しかし、このシステムがなんらかの異常をきたし、自分自身の正常な細胞や組織を攻撃して、内臓や細胞組織などにダメージを与えてしまうことがあります。このような病気を自己免疫疾患と言います。
関節リウマチはその代表的な疾患の一つ。免疫システムの異常によって手や足を中心とした関節に炎症が起こる病気です。関節の腫れや辛い痛みに加えて、進行すれば、やがて関節の軟骨や骨が破壊されて、深刻な機能障害に至ります。
関節リウマチが起こるしくみ
免疫システムにおいて、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を攻撃して退治するという中心的な役割を担うのは、好中球やマクロファージ、T細胞、B細胞といった免疫細胞です。そして、これらの細胞が機能している証として現れるのが「炎症」だと考えられています。
関節にウイルスや細菌が感染し、この炎症反応が現れた状態がいわゆる関節炎です。通常は細菌やウイルスが死滅すれば、炎症は治まりますが、関節リウマチの場合、原因はわかりませんが、自分のからだの細胞に免疫応答が強く起こります。このため、その後も自分の細胞を攻撃し続け、症状が継続します。さらにこの状態が続くと、関節内に炎症を助長するTNF-αやIL-6と呼ばれる炎症性物質(サイトカイン)が増加して関節内はまさに“火に油を注ぐ”状態となり、炎症の悪化、さらには関節の破壊へと進展してしまうのです。
珍しい病気なの?
関節リウマチは我が国の人口の0.4〜0.5%、30歳以降では1%の人が患っていると言われるように、決して珍しい病気ではありません。また、幼児から高齢者まで各年齢層で発症しますが、発症のピークは30〜50代。働き盛りや家事などで家庭における中心的な役割を担う年齢で発症することが多く、お仕事や家庭生活にも大きな支障をきたすこともあります。
関節リウマチの発症率は女性が男性の3倍以上と、割合としては女性に多い疾患です。しかし、男性の患者さんも決して少なくないという認識が必要です。特に男性は異常を感じても受診が遅れる傾向があるので、要注意です。
また、親族に関節リウマチの患者さんがいると、遺伝的背景から、発症しやすいことがわかっています。さらに、最近では喫煙が関節リウマチの発症や進行に大きく関わっていることが明らかになってきました。このほかにも感染症や出産、手術、けが、ストレスといった後天的な環境因子が関節リウマチの引き金になると言われています。