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現在、糖尿病患者は世界中で増加しています。
IDF(International Diabetes Federation/国際糖尿病連合)の報告によれば、2019年、予備軍を含む糖尿病は4億6,300万人であり、2045年には約7億人に増加すると言われています1)。
糖尿病は高血糖を特徴とする代謝疾患ですが、症状に気がつかず、長期間放置した場合には、細小血管症(腎症、網膜症、神経症)、また大血管症(動脈硬化症;脳卒中、虚血性心疾患、末梢動脈疾患)などの合併症を発症するリスクも高くなります。
世界の推定糖尿病患者数のうち、2人に1人は糖尿病と診断されていないままであり、さらに3億7,400万人以上の成人が2型糖尿病予備軍とも報告されています1)。
したがって、できるだけ早期の段階で“糖尿病予備群”を見出し、2型糖尿病の発症予防を行うことが重要な課題とされています。
ルシカ®MIは尿を検体とし、空腹時血糖だけでは判らない『耐糖能異常』をスクリーニングできる検査薬です。
参考) | |
1) | IDF Diabetes Atlas 9th Edition 2019 |
ミオイノシトールは、下図のようにD-グルコースによく似た構造を持つ極めて安定な物質です。主に細胞中に存在しており(血液中の数十倍)、遊離の形あるいはホスファチジルイノシトールの構成成分として広く生体内に存在しています。
ミオイノシトール![]() |
D-グルコース![]() |
ルシカ®MIでは、糖負荷後の尿中ミオイノシトールを測定することにより、耐糖能異常を把握することができます。
ミオイノシトールと耐糖能異常の関係として、血糖が正常な場合は、血液中の糖やミオイノシトールはほとんどが再吸収され血液中に戻ります。ところが血糖が高くなると、ミオイノシトールは尿細管において糖による再吸収阻害を受け、尿中に排泄されます。さらに高血糖になると、尿細管で再吸収し切れない糖が尿中に排泄されます(尿糖)。
糖負荷前後での尿中ミオイノシトール排泄増加量(ΔUMI)は、糖負荷後の血糖値と相関があり、空腹時の血糖だけではわからない『耐糖能異常』をスクリーニングすることができます。
血糖正常 |
高血糖 |
さらに高血糖 |
山縣 文夫ほか, 医学と薬学. 52(6):981-987, 2004
ミオイノシトール検査(ΔUMI)は、75gブドウ糖負荷前(0時間)と負荷2時間後に採尿を⾏い、尿中のミオイノシトールとクレアチニンを測定します。ミオイノシトールをクレアチニンで補正し、2時間値から0時間値を差引いた値(ΔUMI)を指標として⽤います。
糖負荷検査(OGTT)のような採⾎が不要ですので⼀度に多くの⼈の検査が可能です。
従来の糖負荷検査(OGTT)は、下記のように最大4回の採血が必要ですが、ミオイノシトール検査(ΔUMI)は糖負荷前後の 尿を試料としますので、採血による痛みはありません。
※正常型と耐糖能異常群を区別するためのΔUMIカットオフ値は10mg/gCrです。
ΔUMIは糖負荷後の血糖値と相関を示しました。
ΔUMIは空腹時血糖値では判らない糖負荷後の高血糖状態を反映する指標であることが分かりました。
空腹時血糖値とΔUMI![]() |
負荷後120分血糖値とΔUMI![]() |
承認時評価資料
×正常型 ▲準境界型* □境界型 ●糖尿病型
対象:糖尿病が疑われる患者群、及び健康診断受診群の中で同意が得られた362例を対象としました。
方法:糖負荷試験(75g OGTT)を実施し、採血は、糖負荷前及び、糖負荷後30分、1時間、2時間の4時点、採尿は糖負荷前及び負荷後2時間の2時点で行いました。
空腹時血糖とΔUMI、負荷後120分血糖値とΔUMI の相関を算出しました。
また、正常型、境界型、糖尿病型の判定は、日本糖尿病学会(1999)の基準に基づき、準境界型は下記と定義しました。
準境界型
・空腹時血糖 <100 mg/dL
・負荷後1時間の血糖値 ≧ 180 mg/dL
・負荷後2時間の血糖値 < 140 mg/dL
ΔUMIは、各種血糖コントロールマーカーと比べ、糖尿病型だけでなく、糖負荷後に高血糖を呈するIGTや準境界型の検出に優れていました。
区分 | 例数 | 陽性率 | |||
ΔUMI | HbA1c | 1,5AG | 2hUG* | ||
≧10mg/gCr | ≧5.8% | <14μg/dL | ≧100mg/dL | ||
糖尿病型 | 59 | 90% | 66% | 64% | 80% |
IGT | 61 | 67% | 21% | 28% | 44% |
IFG | 22 | 55% | 14% | 18% | 36% |
準境界型 | 41 | 61% | 0% | 24% | 29% |
正常型 | 179 | 11% | 1% | 7% | 6% |
IGT ; impaired glucose tolerance(耐糖能異常)
IFG ; impaired fasting glucose(空腹時血糖異常)
* 糖負荷2時間後の尿糖
承認時評価資料
対象:糖尿病が疑われる患者群、及び健康診断受診群の中で同意が得られた362例を対象としました。
方法:糖負荷試験(75g OGTT)を実施し、採血は、糖負荷前及び、糖負荷後30分、1時間、2時間の4時点、採尿は糖負荷前及び負荷後2時間の2時点で行いました。
糖尿病型、IGT、IFG、準境界型、正常型に対し、ΔUMI、各糖尿病関連指標(HbA1c, 1,5-AG, 2hUG)の各判定基準で陽性率を算出しました。
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