特別養護老人ホーム(特養)の費用はどのくらい?タイプ別の費用相場を解説
特別養護老人ホーム(特養)の入所を検討している方の中には、どのくらい費用がかかるか気になっている方も多いでしょう。
この記事では、特養の費用の仕組みについて解説します。特養の利用にどのくらいの費用が生じるのかを詳しく知りたいという方は、是非参考にしてください。
特別養護老人ホーム(特養)の費用内訳
特養とは、要介護3以上の高齢者を対象とする公的機関であるため、費用負担を抑えられる高齢者向け施設といえます。
特養に入所する際にかかる費用は、月額利用料とサービス加算費用の2つに分類されます。入居一時金といった初期費用はかかりません。それぞれの費用を詳しく見ていきましょう。
月額利用料
月額利用料とは、特養を利用する際に毎月支払う利用料のことです。特養の月額利用料には、以下のような費用が含まれます。
- ・居住費
- ・食費
- ・日常生活費
- ・施設介護サービス費
居住費とは、特養の部屋を利用する場合にかかる賃料のことです。居住費は国が定めている基準費用額に基づいて設定されています。従来型個室、多床室などに分類されており、どの部屋を利用するかによって費用が変化します。
他にも1日3食分の食費、医療費や理美容費、嗜好品の購入費用などの日常生活費、介護を受けるための施設介護サービス費などがあるので覚えておきましょう。
サービス加算費用
サービス加算費用とは、特養で提供されるサービスの内容や職員の配置などで加算される費用です。サービス加算費用には、以下のような費用が含まれます。
- ・個別機能訓練加算
- ・夜間職員配置加算
- ・看取り介護加算
- ・経口維持加算
具体的な費用の詳細は、次の見出しで説明します。
サービス加算費用の種類
サービス加算費用には4つの種類がありますが、全ての入所者に対して課される費用ではありません。あくまでも該当するケースのみ、サービス加算費用が月額料金に上乗せされる仕組みとなっています。
それぞれのサービス加算費用について、詳しく見ていきましょう。
個別機能訓練加算
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった機能訓練を担当する職員を施設に1名以上配置して、個別機能訓練計画に基づいてリハビリを提供する施設では、個別機能訓練加算が月額費用に上乗せされます。
リハビリに力を入れている施設に入所を希望する場合、個別機能訓練加算が上乗せされる可能性があるということを覚えておきましょう。
夜間職員配置加算
特養は夜間の人員基準が決まっています。その人員基準よりも多い職員が夜間に勤務している施設の場合は、夜間職員配置加算が月額料金に上乗せされます。
看取り介護加算
看取り介護加算とは、看取り介護対応の特養において、本人もしくは家族が看取り介護を希望した場合に加算される費用です。
看取り介護加算が月額料金に上乗せされるのは、亡くなる45日前からです。加算される費用は段階によって異なります。
経口維持加算
入所者が認知機能や摂食機能などの低下によって食事を摂取できない場合には、医師や職員などによる特別な介護が必要になります。その際には、経口維持加算が上乗せされます。
【タイプ別】特別養護老人ホーム費用の相場
特別養護老人ホームを利用する際は、どのような部屋を利用するかによって費用が大きく異なります。特別養護老人ホームの部屋は、以下の4つに分類されます。
- ・従来型個室
- ・多床室
- ・ユニット型個室
- ・ユニット型個室的多床室
それぞれの部屋の費用を詳しく見ていきましょう。
従来型個室
従来型個室は1人1室で利用可能な部屋です。従来型個室を利用した場合の費用(30日計算)は、以下の通りです。
要介護度 |
居住費 |
食費 |
介護サービス費 |
合計 |
要介護1 |
35,130円 |
43,350円 |
17,190円 |
95,670円 |
要介護2 |
19,230円 |
97,710円 |
||
要介護3 |
21,360円 |
99,840円 |
||
要介護4 |
23,400円 |
101,880円 |
||
要介護5 |
25,410円 |
103,890円 |
※介護サービス費は1割負担で算出
1室を1人でゆっくりと利用したい方に向いているのが従来型個室ですが、多床室と比べて費用負担が大きくなるので予算を踏まえながら利用を検討しましょう。
多床室
多床室は1室に複数のベッドが配置されている部屋です。多床室を利用した場合の費用(30日計算)は、以下の通りです。
要介護度 |
居住費 |
食費 |
介護サービス費 |
合計 |
要介護1 |
25,650円 |
43,350円 |
17,190円 |
86,190円 |
要介護2 |
19,230円 |
88,230円 |
||
要介護3 |
21,360円 |
90,360円 |
||
要介護4 |
23,400円 |
92,400円 |
||
要介護5 |
25,410円 |
94,410円 |
※介護サービス費は1割負担で算出
複数人で1部屋を使用するため、従来型個室と比べて費用を抑えられます。4人で1部屋を使用するケースが多いですが、施設によって利用人数が異なるので確認しておきましょう。
ユニット型個室
ユニット型個室は、1人1室あるので従来型個室と同じ仕組みです。
しかし、10人以下でユニットという小さなグループを作り、リビングや台所、浴室などを共有しつつ、共同生活を送る点が従来型個室と違います。
ユニット型個室を利用した場合の費用(30日計算)は、以下の通りです。
要介護度 |
居住費 |
食費 |
介護サービス費 |
合計 |
要介護1 |
60,180円 |
43,350円 |
19,560円 |
123,090円 |
要介護2 |
21,600円 |
125,130円 |
||
要介護3 |
23,790円 |
127,320円 |
||
要介護4 |
25,860円 |
129,390円 |
||
要介護5 |
27,870円 |
131,400円 |
※介護サービス費は1割負担で算出
従来型個室と比較すると、居住費と介護サービス費が割高になるため、全体的な費用負担が大きいということを理解しましょう。
ユニット型個室的多床室
ユニット型個室的多床室は複数人で1部屋を使用するものの、大部屋がパーテーションで区切られているので、個人用のスペースが確保されているのが特徴の部屋です。
ユニット型個室的多床室を利用した場合の費用(30日計算)は、以下の通りです。
要介護度 |
居住費 |
食費 |
介護サービス費 |
合計 |
要介護1 |
50,040円 |
43,350円 |
19,560円 |
112,950円 |
要介護2 |
21,600円 |
114,990円 |
||
要介護3 |
23,790円 |
117,180円 |
||
要介護4 |
25,860円 |
119,250円 |
||
要介護5 |
27,870円 |
121,260円 |
※介護サービス費は1割負担で算出
ユニット型個室と比較すると、完全に個室として区切られているわけではないため、費用を抑えられます。予算と希望する入所スタイルなどを比較しながら、総合的に判断しましょう。
まとめ
特別養護老人ホーム(特養)は、公的機関が提供する高齢者向け施設であるため、民間の高齢者向け施設よりも費用負担を抑えられます。そのため、民間の高齢者向け施設より入所希望者が多く、入所待ちの施設も多いのが現状です。
順番待ちまたは要介護3未満であるといった理由で、入所を希望していても入所できない可能性がある点に注意してください。また、入居一時金といった初期費用がないため、費用負担を軽減できる点は魅力ですが、使用する部屋や受けられるサービスによっては費用が加算されるので、特養の仕組みをしっかりと理解してから契約しましょう。
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