旭化成ホームズでは、自然の上手な取り入れ方やそのライフスタイルなど、さまざまな側面から暮らしの心地よさを提案してきました。今回は認知心理学の専門家をお招きし、人が物に愛着を感じる心理要因やデザイン論についてご講演いただきました。また、くらしノベーション研究所からは、住まいの居心地についての調査結果をご報告します。
心地よく住まう」こととは何か、そして「居心地のよさ」は何によりもたらされるのかを明らかにする研究についてご報告いたします。
心地よく住まうために大切なことについて、一般戸建住宅にお住まいの方々に調査した結果、7つの要素が浮かび上がりました。まず、暮らしの基盤として「住宅の基本性能」「風や光を取り入れる」「生活習慣・室内を整える」こと。そのうえに、暮らしの彩りとして「室内を飾る」「屋外での生活行為・交流」。そして、暮らしの濃淡として「家族と過ごす」「一人で好きなことをする」。心地よく住まうために、この7つの機能を住宅が備えるべきだろうと考えられます。
もう一つ、そういった住宅のなかで、どのようなときに居心地がよいと感じるか、居心地のよいシーンをフリーアンサーで分析しました。その結果、心の動きとしては、くつろぎ感、充実感、一体感によってもたらされていました。居心地のよいシーンを構成するのは「外を眺める」「食べる・食事」「ぼーっとする・ゆったりする・くつろぐ」シーンが上位を占め、居心地の良さを支える居心地因子としては、家族やペットとのイベント、遊び、一人での趣味、娯楽とともに庭の緑や自然との関係が大きく見られました。また、住環境としては居心地に陽当たり、採光を求める割合が他に比べて大きい結果でした。
今後、くつろぎ感や充実感、一体感をもたらすようなシーンを、物語としてどう住まい手の方々に想起していただくのかという手段も含めて、これまでのリビング重視の心地よさに限らず、季節と時間帯、行為によって心地よい居場所が多様に選択できることを意識した空間づくりのプラン提案をしていきたいと思います。