ニュースリリース
ニュースリリース
2016.8.2
旭化成ホームズ株式会社
旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都 新宿区、代表取締役社長:池田 英輔)は、これまで蓄積してきた二世帯住宅のノウハウを「共働き子育て家族」の家づくり検討に役立てるため、「同居・近居・遠居の違いによる、親からのサポート内容の違い」などについて調査しました。
調査の結果、二世帯「同居」する場合だけでなく「近居」や「遠居」の場合でも共働き子世帯の多くが親から子育て・家事のサポートを受けている実態や、そのサポート内容は住まいの距離に応じて異なること、近居・遠居であっても同居の場合と同様に親への気兼ね・気苦労が存在することなど、二世帯住宅と近居・遠居との共通点・類似性などが明らかとなりました。この結果をもとに、二世帯住宅の設計ノウハウを活かし、親による訪問サポートを想定して共働き家族のくらしやすさを追求した「近居・遠居の設計手法」を提案しています。
当社では8月6日(土)より全国の展示場で「共働き家族の家づくりフェア」を実施し、今回の調査結果も踏まえた「同居」「近居」「遠居」それぞれのプランニングノウハウなどを情報発信することで、全ての共働き子育て家族の家づくりを積極的にサポートしてまいります。
男女共同参画白書によると、わが国の共働き世帯数は1990年から2000年頃にかけて専業主婦世帯数を上回り、その後次第に差を広げ、特に2010年以降急増しています。その一方、待機児童問題に代表されるように、共働きと子育てを両立させるための社会的環境は十分に整っているとは言えず、親世帯による子育てサポートを受けている共働き家族も多数おられると考えられます。
当社のお客様でも、近居や遠居など親と同居しない場合の家づくりにおいても、子育てサポートや資金支援などの面で親が深く関与することが多くなっています。当社の調べでは、実際に近居の親から訪問サポートを受けている子世帯に「家庭と仕事の両立に必要と考えること」を聞いたところ、1位に「配偶者との子育て・家事協力」、2位に「親からの子育て・家事支援」、3位に「保育所・学童保育の充実」が挙げられるなど、親のサポートがなくてはならない大切なものとなっている様子がうかがえます。親と同居しない場合でも、このような子育てサポートを通した接触頻度が高まる状況では、二世帯住宅のように親子両世帯が一緒に生活する場面を想定した間取りや心構えが大切と思われます。
そこで今回の調査では、共働き子育て家族が親に求めていることや、家づくり検討時や入居後の親子の関り方・サポートの実態などを明らかにすることとしました。これまで二世帯住宅研究所を中心に蓄積してきた設計ノウハウなどを、二世帯同居だけでなく「近居」や「遠居」など全ての共働き家族の家づくりに活用することができれば、共働きと子育てを両立させる一助にもつながるものと考えます。
・調査①②: |
親の住まいとの距離(一体同居、二世帯同居、近居、準近居、遠居)別に、家づくりに関する双方の親や家族とのコンセンサス形成の実態を調べ、入居後の満足度や親によるサポートとの関係を明らかにする。 対象者:関東、東海・中部、関西、九州北部の築15年以内持家戸建住宅居住者/有効回答数 2301件 ⇒調査報告書「①家づくりにおける家族コンセンサス調査 ②家事と子育ての親子コラボレーション調査」 |
・調査③: |
「近居」「準近居」「遠居」における気兼ね・不安や親子間のサポートの実態を調べ、これまでの研究により当社が蓄積してきた二世帯同居のノウハウを、「近居」「遠居」など親とは別にくらす単世帯住宅の家づくりにも役立てる。 対象者1:自宅で親から家事・子育てサポートを受けている共働き子世帯/有効回答数 300件 対象者2:共働きの子供の自宅で家事・子育てサポートをしている親世帯/有効回答数 300件 ⇒調査報告書「③共働き家族とサポートする親・そのくらしと意識調査」 |
家づくりの話は、同居の場合は7割、近居の場合は8割が子世帯から切り出しており、サポートを受ける子世帯側から相談する場合が圧倒的に多い状況です。一方、相談を受けた親世帯側の反応は、同居のケースでは8割が「最初から賛成」し、近居でも同様であることがわかりました。距離が離れるほど「最初から賛成」の割合は低くなり、親世帯の「近くに住んでほしい」という気持ちがうかがえます。
「近居・遠居」の場合、子世帯はどのタイミングで親に家づくり計画を相談するのかを調査したところ、近居で6割、遠居でも4割の子世帯が「住まいの検討以前・検討時」という早いタイミングで親世帯に相談していました。また、相談時期が早いケースでは入居後の親世帯との関係に対する満足度が高いことも確認されました。また、親からの「住宅取得資金や土地の援助」についても相談時期と関連があり、早いほど援助を受けた割合は高くなります。更に、住まいの距離との関係では、遠居より近居、つまり、住む場所が親の家に近いほど援助を受けた割合が高いことがわかりました。
近居を選択した人の理由では「親による子育てサポートが得られる」が最大の理由となっています。フルタイムで働く共働き子育て世帯は、親世帯と一緒に住まない「近居」の場合でも7割が親による子育てサポートを受けており、その中でも長子が未就学児の場合は8割と更に高いことがわかりました。また、親の住まいとの距離が1時間以上の「遠居」でも子育てサポートは2割に上り、同居に限らず、子育てと仕事の両立に、親の存在が無くてはならないものになっている家族の存在がわかります。
親から受けるサポートは、同居・近居・遠居の違いによりその内容が異なります。長子が未就学時の子世帯は、「子育てサポート」を近居で4割、遠居でも2割が受けていますが、「家事サポート」は近居でも2割程度にとどまり、近居・遠居におけるサポート内容は子育て中心であることが特徴です。なお、同居では子育てサポート・家事サポートともに高い割合を示しています。
サポートを受けている子世帯がお願いするのは「妻の親」の割合が高く、遠居では7割に及びます。更に、「夫の親」と近居し日常的にサポートを受けている子世帯が、重ねて「妻の親」からもサポートを受ける割合は実に72%に上り、その中には1時間以上かかる「遠居」の親によるサポートも見られます。逆に、「妻の親」と近居してサポートを受けている子世帯が「夫の親」からもサポートを受ける割合は比較的低いものの、それでも3割に上ります。これらのことから妻側・夫側双方の親が、積極的に子育てサポートを行っている様子がうかがえます。
親子世帯間の「交流意識」を調べたところ、住まいの距離によって違いがあることがわかりました。まず、「一体同居」では基本的に「両世帯の生活は一緒」であるのに対して、「二世帯同居」では「生活はすべて別」で「交流が盛ん」または「お隣さん感覚」という方が大半を占めます。興味深いのは「近居」「準近居」の交流意識も二世帯同居とよく似ていることであり、近居や準近居の家づくりにも二世帯同居と同じ設計要件が活かせる可能性があることです。また、家づくり検討において住む場所を決める際には、「交流意識」の視点からそれぞれの家族に適した住まいの距離を検討することも有効と言えます。
近居する人に、同居に感じる不安を聞いたところ「干渉が嫌」「何かと気を遣う」などが上位に挙げられ、そのために近居を選ばれた方も多いと推測されます。しかし、近居にしただけでは、同居に感じる親子関係の不安がすべて解決されるわけではありません。近居している子世帯妻に「親との関係に感じている問題」を聞いたところ、一緒に住んでいないにも関わらず「何かと気を遣う」「親に干渉される」など同居における嫁姑関係のような問題を感じていることがわかりました。近居の家づくりや親子関係でも、二世帯同居する際の心構えと同じように、近居するためのコツがあると考えられます。
親の訪問サポートを前提とした住まいの設計要件を探るため、実際にサポートを受けている子世帯と、サポートをしている親世帯を対象に調査したところ、「家事サポート」は近居の4割、遠居の5割が受けており、「子育てサポート」はほぼ全ての子世帯が受けていることがわかりました。子育てサポートの内容としては、「子供の病気時の対応、遊び相手、食事の世話」などが上位に挙がるとともに、保育園の送り迎えなど、保育園に入るだけでは解決しない内容も含まれます。また、家事サポートの担い手は多くが母親であるのに対し、子育てサポートは項目によって父親もサポートしていることも特徴の1つです。
訪問サポート時の移動手段は、近居では徒歩・自転車が中心ですが、準近居では7割、遠居では5割超が自家用車となっています。また、近居では訪問サポート時に子世帯宅に宿泊することはほとんどありませんが、遠居では5割が宿泊しており、洗面道具や下着・パジャマ、孫に読み聞かせる本など様々なものを子世帯宅に留め置いていることが特徴です。遠居の家では一時的に「同居」の生活シーンが発生しているとも言えます。
親が子世帯をサポートする理由の1位は「仕事と家庭の両立を助けたい」で、その他、孫に会いたい、生活の張り合いなど「自分自身の楽しみ」に類する回答も挙げられました。また、親世帯の訪問時の心がけとしては、「子世帯のライフスタイルを尊重する」など、親が子を想い「配慮」「尊重」している様子がうかがえます。
子世帯が、親から訪問サポートを受ける際の意識として、親への感謝・尊重の気持ちとともに、親に見られたくない場所が多数挙げられました。近居・準近居・遠居ともに1位は「夫婦の寝室」ですが、親の方でも寝室には入らないように配慮する傾向があります。しかし、特に近居の妻の場合は洗面所や風呂場などの水回りを見られたくないという回答も3割に上りますが、親世帯は水回りに対してはあまり気を遣っておらず、このようなギャップに配慮することがより円滑な訪問サポートにつながると考えられます。また、遠居では親が宿泊する場合が多いことから、近居に比べると訪問サポート時のプライバシー確保について、より強く意識されていることがわかりました。
親の訪問サポートを想定して共働き家族のための「二世帯・近居・遠居の設計手法」を提案します。
調査報告書「家づくりにおける家族コンセンサス調査 ・家事と子育ての親子コラボレーション調査」
調査報告書「共働き家族とサポートする親・そのくらしと意識調査」
二世帯住宅研究所HP: https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/kurashi/kenkyu/nisetai/index.html
共働き家族研究所HP:https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/kurashi/kenkyu/dewks/index.html
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