ニュースリリース
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2017.10.6
旭化成ホームズ株式会社
旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都 新宿区、代表取締役社長:川畑 文俊)は、都市の敷地に適合した外構植栽の設計指針を基としたエクステリア『まちもり』を本年10月より同社の供給する戸建住宅「ヘーベルハウス」に本格展開を開始します。
『まちもり』は、建物基礎の足元やアプローチの際、カーポートの目地などの「スキマ」部分を積極的に活用するスキマ植栽や、小さなスペースに対応した階層構造の植栽『まちもり』ポットを中心に、殺風景になりがちな都市の住まいに小さな森を創出し、鳥類をはじめとした都市の多様な生物が訪れる事を目指した事が大きな特徴です。当社は本年2月から、樹冠の大きさや、高さの異なる階層構造を持つ植栽と持たない植栽について特定の鳥類が訪れる頻度に差があるかの調査を行いました。その結果ある程度の条件が整えば鳥類が訪れる事を確認しました。生態系ピラミッドで上位に位置する鳥類が訪れる頻度が高いほど、下位の多種多様な生物も多く生息しているとされ、都市の生物多様性が保たれる事が期待されます。当社はこの『まちもり』を積極的に推進し、地域の緑地に生息する鳥や昆虫などの生き物が行き交う中継点やえさ場・隠れ場所を増やす事で、都市の暮らしを豊かにし、生物多様性保全に寄与してまいります。
外構・植栽提案 『まちもり』施工例
近年、都市部では公園や街路樹、商業ビルの屋上を活用した緑地など、生物にとって好ましい環境は増加する傾向にあります(図1)。一方で、そのような緑地を往来する生き物たちの中継点やえさ場、隠れ場所となってきた戸建て住宅の植栽ついては、敷地細分化と建替えの際に建物やカーポートの配置を優先した結果、殆ど配置しないケースも散見されます。当社が今年2月に杉並区・中野区・渋谷区で行った調査では、築10年以上経過した既存住宅と、10年未満の築浅住宅の植栽配置割合を比べると後者の方が約2割程度植栽が少ない事が分かっています(図2)。
そうした結果から、今後既存住宅の建て替えが進むにつれ、緑地と緑地を繋ぐ役割を担う戸建て住宅の植栽の割合が減少していく事が懸念されます。
2007年から旭化成富士支社の一画に造成した約1万m2の緑地「あさひ・いのちの森」では、富士市沿岸部の原風景の再生を目指し、生物多様性保全や地域への貢献を目指した活動を続けてきました。その活動を通して、たとえ人工的につくられたものであっても、高さの異なる階層的な緑を中心とした「適切な環境」を整えれば、鳥や昆虫をはじめ多様な生き物が定着できることが分かりました。『まちもり』ではこうした知見と、これまで都市の住まいづくりで培ってきた都市の空間を最大限に活用する設計手法をミックスする事で、制約の多い都市の住まいに小さな森を生み出す提案を行う事としました。
提案にあたっては、杉並区などで実施した調査結果を参考に、食物連鎖の上位である鳥類が訪れる回数が多いと思われる、樹高2m以上、樹冠2m2以上の樹木を含む階層構造の植栽を中心としたエクステリアを設計しています。また当社が本年7月に滋賀県守山市の都市緑地公園で実施した調査では、階層構造を持った植栽とそうでない植栽との間で、前者の方が7割程度鳥類が訪れる回数が多い事が確認できました。そのため当社は生物多様性保全に寄与する『まちもり』をこのたび本格展開することといたしました。
①『すきまミドリ』
ちょっとした地面の隙間などの普段は使わない空間を利用。アプローチゾーンは歩行部分を除いて土を残し、グランドカバーを配置して緑化。カーポート計画でも目地部分や道路との境部分に隙間をつくり、地衣類を配置する事で緑化を促す。
②『からみミドリ』
道路や隣地との境界線を、単純なブロック塀にするのではなく、少しセットバックさせた空地に這い上るつる性植物を植えたり、フェンスにからまるつる性植物を配置。
③『根締めミドリ』
建物基礎際と土間コンクリートを10㎝以上離して施工し、そこに緑を植える。建物と道路境界が近い場合も、単純な塀計画ではなく、塀をセットバックさせた足元に緑を配置したうえで、建物と塀の間を低灌木類で埋める。
①庭の設計と植栽は高さの違う階層構造を持つ植栽を配置する。敷地が狭い場合は『まちもり』ポットで代用する。『まちもり』ポットは、高 木(3.0m)、中木(1.5m)、低木(0.5m)地衣植物という高さの違う4層の植物を組み合わせ、最低0.6m2の地面に配置。高木が配置できない環境でも、3層の組み合わせを0.24 m2からの地面に配置可能。
①階層植栽『まちもり』ポットについて、地域の自然を形成してきた在来種から構成される組み合わせ(3種)と、入手が容易な一般種から構成される組み合わせ(8種)をあらかじめ設定。邸別の環境を考慮しながら柔軟かつ簡易に提案できるものとした。
(1)里山林のポット
かつて薪や炭・肥料を採る場所だった雑木林や小川などの自然と共存していた里山をイメージ
【構成種】 高木:マルバアオダモ 中木:ウメモドキ 低木:アセビ 地被:シュンラン
(2)深山林のポット
山を彩る秋の紅葉や新緑が美しい自然林を構成する樹種組み合わせ
【構成種】 高木:イロハモミジ 中木:ガマズミ 低木:アオキ 地被:ヤブラン
(3)鎮守の森のポット
常緑樹によって1年を通して木陰を演出してくれる落ち着きのある庭を演出する構成
【構成種】高木:ヤマモモ 中木:ヤブツバキ 低木:ヒサカキ 地被:ヤブコウジ
(4)美しい樹形のポット(日向)
【構成種】高木:ヤマボウシ 中木:サザンカ 低木:サツキツツジ 地被:ヒペカリウム カリシナム
(5)美しい樹形のポット(日陰)
【構成種】高木:ヒメシャラ 中木:フイリサカキ 低木:アセビ 地被:コクチナシ
(6)季節を彩る花のポット(日向)
【構成種】高木:ハナミズキ 中木:カラタネオガタマ 低木:カンツバキ 地被:オタフクナンテン
(7)季節を彩る花のポット(日陰)
【構成種】高木:シャラ 中木:ハイノキ 低木:シャクナゲ 地被:フイリヤブラン
(8)実のなるポット(日向)
【構成種】 高木:ソヨゴ 中木:ジューンベリー 低木:シャリンバイ 地被:コトネアスター
(9)実のなるポット(日陰)
【構成種】高木:クロガネモチ 中木:カンボク 低木:センリョウ 地被:ヤブコウジ
(10)香りのするポット(日向)
【構成種】高木:ハクモクレン 中木:キンモクセイ 低木:クチナシ 地被:タイム
(11)香りのするポット(日陰)
【構成種】高木:コブシ 中木:ヒイラギモクセイ 低木:ジンチョウゲ 地被:サルココッカ
販売地域:関東、東海、関西、山陽一部、九州北部
取扱い開始日:2017年10月1日より
以上
<本件に関するお問い合わせ先>
〒160-8345 東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビル
旭化成ホームズ㈱ 旭化成不動産レジデンス㈱ 広報室
(電話)03-3344-7115 (FAX)03-3344-7050 (メール)j-koho@om.asahi-kasei.co.jp
■調査機関: | 2017年2月8日~10日 |
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■調査場所: | 杉並区・中野区・渋谷区内の3ブロック |
■調査件数: | 450件 |
■調査方法: | 各戸の植栽内容を①緑無し②鉢のみ③生垣④庭⑤庭+生垣に分類して集計 各ブロック内に500mのラインを3本想定(1本あたり50軒)したうえ徒歩で目視し、どんな樹木にどんな鳥が訪れるか確認する。 |
1)築10年以内の築浅住宅は10年超の物件より植栽率が2割以上ない。
2)ヒヨドリ、メジロは樹高2.4m以程度の高さがあれば樹木に多く訪れる。
3)ヒヨドリは樹冠2m2、メジロは樹冠4m2程度でもで多く訪れる
・スズメ、ヒヨドリ、ホオジロ、モズ、ムクドリ、キジバトの計6種が飛来
・飛来回数は合計30回
・階層「有」で19回、階層「無し」で11回飛来