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2018.12.5

旭化成ホームズ株式会社

~「共働き家族研究所」調査報告~
共働き30歳の家づくりの意識とは?
育児が始まるタイミングで家を持つ夫婦「30-0 DEWKS」像に見る
将来を見こした早期建築・長期居住の意識

旭化成ホームズ株式会社の「共働き家族研究所(所長:木戸將人)」は、持家率が増加傾向にある20代後半から30代前半の共働き夫婦に着目し、家づくりに対する意識調査を実施し必要な設計提案を考察した報告書「共働き30歳の家づくりの意識」を発刊しましたのでお知らせします。


今回の調査の背景は、近年の共働き家族像が変化してきたことです。育児休業制度の拡充もあり、女性の第一子出産後の就業継続が5割を超え、出産後も働き続けることが急速に浸透しています。また、結婚と共に退職する女性も多かった1990年時点の平均初婚年齢は25.9歳、第一子出産年齢の平均は27.0歳でしたが、2017年では平均29.4歳で結婚し30.7歳で出産と、この27年で3.7歳晩産化が進みました(厚生労働省 人口動態調査より)。

一方で、持家を取得する年齢は早まる傾向が見られます。「夫婦と子から成る世帯」では30代で持家率が上昇していますが、これは30歳前後の若い層の持家取得が活発になっていることが要因であると推測されます(住宅・土地統計調査より)。


これらの変化から、現在の共働き夫婦には、「30歳前後の第一子出産のタイミングで持家を取得する」という層が一定数いると想定されます。かつて多かった、子ども部屋が必要となるタイミングで家づくりをする家族像とは異なることから、当研究所ではこのような方々を「30-0 DEWKS※1」と名付け、家づくりに関する意識の調査、求められる住まいの設計を検討しました。

調査から「30-0 DEWKS」は、定年までにローンが終わるメリットを強く感じて早期に建築することや、長く住み続けたいという意識が強いことがわかりました。一方で、ライフスタイルが定まらず間取りが確定しづらいといった早期建築のデメリットも感じています。これらの背景から、例えば親の目が届くキッチン脇に様々な用途で使える3帖程度のBLANK(余白)空間を確保し、柔軟に活用することも1つの手段ではないか、など新たな設計提案を考察しています。

当研究所では、これらの調査や設計提案をもとに営業・設計担当の教育にさらに尽力し、引き続き共働き家族へ向けた住まいの提案が、より豊かで満足のいくものになることを目指しています。


※1 DEWKS=Double Employed With Kids(共働きで子どもがいる夫婦)の略


~調査報告書のダウンロードはこちら~
https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/kurashi/report/K053.pdf

1.調査背景

1)出産しても働き続けることが定着

共働き家族は1980年代から一貫して増え続け、近年は更に第二の急増期を迎えています(図1)。しかし、女性が第一子を出産したのちも就業を継続した割合は、育児休業制度の充実にもかかわらず2009年までは約4割と横ばいでしたが、2010年以降に初めて5割を超えました(図2)。出産後働き続けることに今でも多くの課題があるものの、妊娠・出産を経ても復職して働き続けることがようやく定着してきています。


2)持家取得に若年化の傾向

住宅・土地統計調査から、夫婦と子の世帯を取り出して持家率をグラフにすると(図3)、1998年から2013年の15年で30代の持家率が上昇しています。この背景には、25歳から34歳の30歳前後での持家取得率が増加したことがあります。また住宅生産団体連合会による戸建て注文住宅の世帯主年齢の構成比を見ると2010年以降、35~44歳は減少に転じたのに対し、25~34歳は増加しています。2017年度には25~34歳の構成比が35~44歳を超えました(図4)。少子化の影響で世帯数そのものは減少するなか、若い世帯の持家取得は活発化している傾向が認められます。


3)家づくりのタイミングが、「出産前後期」に

女性が出産しても働き続けることが定着しつつあること、持家取得の年齢に若年化の傾向がみられることから、ライフステージの中で持家移行のタイミングが変化していることが想像されます。従来認識してきたのは、子供が小さなときは賃貸に住み、子ども部屋が必要となった時に家を建てるというモデルです。しかし現在は、第一子出産年齢が30.7歳、そして30歳前後の持家率が上昇していることから、「30歳前後の第一子出産のタイミングで持家を取得する」という層が一定数いると想定されます。「30-0 DEWKS」と名付けて注目し、その家族に求められる住まいの設計検討をスタートしました(図5)。


2.調査概要

3.主な調査結果

1)「30-0 DEWKS」は共働きで支えあう生活設計

「30-0 DEWKS」が共働きを続けるにあたりハードルだと感じている項目としては、「子どもの急病時の対応」や「育児のために時短勤務をすることが昇進のハンデになること」などがあげられました(図6)。一方、「配偶者の家事育児への参加があまりないこと」はかなり少ない比率になっています。夫婦で子育て・家事を支えあっていくことが前提であり、夫婦の年収差に関わらず、妻の就業継続が共通認識である割合が高くなっています(図7)。



2)「30-0 DEWKS」は家族が増えたことが家づくりのきっかけ

「30-0 DEWKS」の家づくりを後押ししたきっかけは、「結婚・妊娠・出産で将来のことを考え始めたこと」がもっとも多く、家族が増えたことがきっかけの家づくりといえ、子どもの入学など将来の見通しがたったことが家づくりの起点となる「40-6 DEWKS」と異なります(図8)。


3)早期建築のメリットを感じ長く住む意向

「30-0 DEWKS」が早いタイミングで住宅を建築することに感じているメリットには「定年前にローンが終わる」が最多回答でした(図9)。一方、「定年後働かなくなってからの年金生活で家計が成立するか」など将来の漠然とした不安項目は、どれも「40-6 DEWKS」より高くなります(図10)。また、老後まで長く住めることが長持ちする住宅の価値であると感じるなど、将来を見据えて家を建てる意識も見受けられました。一方、早期建築のデメリットとしては、「ライフステージが定まっておらず、どんな間取りがいいかわからない」などくらしに未確定な点が多い中で建てることに不安があることなどもわかりました(図11)。


4)「30-0 DEWKS」に向けたキッチン脇のBLANK(余白)空間

当研究所ではこれまでも、小学生の子どもがいる家族をターゲットに、リビング学習で家族のコミュニケーションを促す設計「+NEST(プラスネスト)(2009年発売)」などを開発し、現在では子育て世代家族の約半数に採用されています。また、子育て世代はリビングに隣接された畳部屋の採用も依然高く、その理由は授乳期・幼児期の寝かしつけや遊びの利用など柔軟性の高さであることを把握しています。

しかし、LDKのほかにもう1部屋確保することは計画上困難なケースもあります。また、「30-0 DEWKS」が感じる「ライフスタタイルが定まらない中での家づくり」への不安を設計で解消することも大切です。そのような場合、生活と収納の場をコンパクトに1つにまとめた3~4畳程度の省空間=BLANK(余白)空間をキッチンに隣接して設計する提案が考えられます。幼児期におもちゃがリビングに散乱せず、すっきりした空間をキープしたり、子どもの年齢の変化に応じ、住まい手が長く工夫して使うことができます(図12)。



詳しくは調査報告書をご覧ください。  https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/kurashi/report/K053.pdf

<本件に関するお問い合わせ先>
〒160-8345 東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビル
旭化成ホームズ株式会社 広報室
(電話)03-3344-7115 (FAX)03-3344-7050 (メール)j-koho@om.asahi-kasei.co.jp