特集
サステナビリティ座談会
旭化成ホームズグループでは、2023年7月、マテリアリティ(重要課題)を特定しました。
これらのマテリアリティが、社員一人ひとりの日々の仕事とどのように結びついているのか。
グループ各社・各部署で活躍する社員に、旭化成ホームズグループのサステナビリティについて、
想いを語り合ってもらいました。
メンバー紹介
住まいづくりに欠かせない、地球環境への意識
旭化成ホームズ各社で働く社員たちは、環境問題をはじめとした社会課題をどのように「自分ごと」としてとらえているのか。まずは日々の業務の中で、どのような社会課題を意識しているのか聞いてみました。
千野 私は都市再開発やマンション開発などに携わっていて、事業プランを提案する機会も多いのですが、最近ではSDGsやサステナブルといった視点を重視していますし、権利者の皆さんからも、そうした視点からのご意見をいただくことが増えていて、非常に重要な課題だと感じています。皆さんはどうですか?
大澤 私はヘーベルハウスの営業担当で、近年では売上だけでなくZEHの普及率も意識して、積極的に提案しています。新聞などを読んでいても、社会全体がサステナビリティを重視しつつあるのを感じています。そうした社会の動きの中で、当社としても環境負荷の少ない商品提供に注力しているのだなと納得できますし、個人としても意識すべきではないかと考えさせられますね。
池田 私も同じく営業ですが、リフォーム分野でも近年、蓄電池や太陽光発電などの提案に注力しています。その背景には、30年耐久の外壁塗装などが普及したおかげで単なるメンテナンスのニーズが減ってきたという面もありますが、やはり社会課題への意識も影響しています。お客様の中にも「電気代を下げたい」など経済的なメリットに重きを置く方もいれば、「環境のために自分ができることをしたい」といった環境貢献への意識の高い方もいて、私たちも同じ目線で話せるだけの意識を持っていなければ、と感じています。
有年 私は集合住宅の設計を担当していますが、初期提案の段階でZEHや『まちもり®』など環境配慮を強調するようにしています。国からのZEH補助金に加え、東京都でも「東京ゼロエミ住宅」という助成金制度があり、社会全体で環境負荷の少ない住まいづくりを推進している中で、当社としてもそうした姿勢を打ち出すことが重要だと考えています。
千野 そうですね。そうした提案はマンション分野でも同様ですね。ZEHや太陽光、『まちもり®』も積極的に導入していますし、シェアサイクルを前面に出したり、ジップロック®を回収してビニール傘に再生・シェアリングするサービスを提案したりと、サステナブルな提案に注力していますが、いずれもお客様から好評です。
中島 私は工事担当ですが、施工現場でも産業廃棄物削減の取り組みが進んでいて、分別の徹底はもちろん、段ボールは極力濡らさずに重量を削減するといった意識が浸透しています。加えて、以前からやっている基礎の型枠を鋼製にして繰り返し利用するなど、日々の施工現場も改めて考えると、サステナビリティだと感じます。私たちの事業を持続可能にするために、より永く使え、リサイクル可能な部材・資材の開発なども、現場から提案・発信していければと思います。
レジリエンスやダイバーシティなど多様な課題を見据えて
旭化成ホームズが見据える社会課題は環境面だけではなく、さまざまにあります。皆さんはそれらの課題を意識する機会はありますか?
大澤 環境性能に加えて、当社が提供する住まいの大きな特徴にレジリエンス(強靭性)があって、「安心・安全に住める」というのが大きな強みになっています。地震や台風など自然災害の多い日本では、特に重視すべき社会課題と言えます。
中島 お客様から構造面での信頼で選ばれているというのは、施工現場でも感じますね。防災への意識が高まる中で、「施工中に基礎や躯体を見たい」という方が増えているので、基礎検査や躯体検査のタイミングでお客様を現場にご案内したり、撮影した写真をお送りするなどして安心していただいています。
千野 大澤さんが勤めている広島エリアは最近、水害が多いですよね。お客様が被災されたこともあるのでは?
大澤 ありますね。そうした際は、中島さんたち工事課やホームサービス課の方が率先して被災地の復旧支援に動いてくれて、アンケートなどでもお客様から高く評価されています。
中島 4年前に岡山県で大きな水害があった際、私は福岡県にいたのですが、福岡の工事店からも何名かが被災地に行きました。近隣エリアに限らず、全国から「動ける人は動く」という形で対応しています。もちろん、担当している工程に影響が出ないようにしています。
有年 そのころ、私はまだ就職活動中で、当社に対しては「災害に強い街づくりをしている」という印象が強く、それが入社を決めた一因になっています。
千野 社会と旭化成ホームズグループのつながりについて皆さんが自分ごとで考えるようになってきているのは、会社が積極的に社員に情報発信して、啓発しているからという面もあると思います。最近だと「Cs Talk」でコンプライアンスやハラスメントについて討議し、その重要性を強く感じました。
大澤 確かに、以前に比べてコンプライアンス意識は厳しくなりましたね。その分、作業が増えた面もありますが、社内では「迷ったらコンプライアンスを優先する」という方針のもと、少しでも気になることがあったら法令を確認するという意識は浸透しています。
有年 職場の変化という面では、DXが大きな変化をもたらしています。従来は図面のチェックなどは全部紙で出力していましたが、最近ではタブレット端末が支給されてペーパーレス化がどんどん進んでいます。
千野 紙を削減するという環境面の効果に加えて、仕事の効率も良くなりますよね。紙だと人がいないと回せないけれども、デジタルなら遠隔でも対応できる。コロナ禍の影響もあって、ここ数年でテレワークも含めたリモート化が一挙に進んだと感じています。
中島 現場での検査効率も格段に上がりました。以前だとA3の図面を持ち歩いて、重かったり、雨に濡れたりと大変でしたが、タブレットだとそうした苦労はありませんし、問い合わせがあってもタイムリーに確認できるので時短につながっています。
大澤 お客様ともメールではなくLINE WORKSでの対応が主体になっていて、残業時間はもちろん、精神的な負担も減りましたし、ガラケーが主流だった10年前とは全然違いますね(笑)
池田 全社を挙げた業務効率化への取り組みは、私たち女性の働きやすさも後押ししてくれていると思います。リフォーム分野だと新卒社員の半分以上が女性で、女性社員を増やそうと力を入れているのがよく分かります。ただ、私は前職が金融系で、8割以上が女性の職場でしたので、そこと比べると、女性の働きやすさという点では、これからの面もあると思っています。その点、現場の中島さんは苦労されているのでは?
中島 やはり男性と比べると身長も小さいので、検査のスピードも違います。とはいえ、体力面での苦労がほとんどで、現場の方からは可愛がっていただいているので、メンタル面ではそこまで苦労は感じていません(笑)。
池田 現場で活躍する女性社員が増えてくると、女性のための環境整備も進むでしょうし、ロールモデルになるというやりがいも感じますよね。
中島 そうですね。実際、女性の先輩も何人かいますし、女性の後輩も増えてきたので、“新しい働き方”というほどでもないですが、「仕事とプライベートは両立できるんだよ」という空気感をつくっていけたら、と思っています。
大澤 そうした意識の変化は男性にもあって、同じ職場の工事担当の男性社員は3人の子どもがいるのですが、毎回、育児休暇を取得しています。私も子どもが生まれた際に、支店長から育休制度の説明がありましたが、そうした前例があるとより取得しやすい空気になりますよね。
マテリアリティの特定が社内外にもたらす変化
住まいづくりや街づくりに取り組む中で、自然と多様な社会課題を意識している社員たち。新たに選定されたマテリアリティについての感想を聞いてみました。
中島 「マテリアリティ」というと、何か特別なことのように感じがちですが、今回決まったマテリアリティを見て、そこに施工現場での普段の業務が含まれていることに気づきました。新たに何かを学ばなくとも、旭化成ホームズには4つのマテリアリティのテーマがあって、それぞれにこの業務やこの検査が紐づいていると明確にするだけで、自然に浸透するのではないかと思いました。
有年 同感です。先ほど大澤さんが営業活動でZEHを提案するのが当たり前になってきたと言っていたように、私たち設計する側も、ZEHや『まちもり®』の提案を通して、自然と環境貢献やSDGsについて意識しています。今はまだレジ袋を減らしたり、不要な照明を消したりといった程度ですが、そうした意識が個人の環境行動にもつながっていくのではないでしょうか。
大澤 マテリアリティを見て感じたのは、最初に「With Customer」とあって、その中で「安全・安心な街づくり」への貢献を掲げているのが、当社らしいというか、すごく自然に感じました。私たち営業にとっては、お客様にどう伝えるかが最も重要で、加えて最も自信を持っているのがレジリエンス性ですから、それをマテリアリティにも打ち出しているというのは、お客様にも説明しやすいし、社員にも浸透しやすいと思います。
池田 お客様に説明しやすいというのは、営業にとって重要ですよね。当社の住まいは、新築でもリフォームでも、価格ではなく付加価値で評価していただいているところがあるので、目には見えない所も含めて、マテリアリティに掲げるような点にこだわっているからこそ、そうした価格設定になっているということを説明しやすく、お客様にも納得いただけると思います。
千野 私はキャリア採用で入社しましたが、同業他社を経験しているからこそ、当社を含めたグループ全体に対して、利益追求だけでなく、社会課題の解決に取り組む姿勢を強く感じています。都市再開発事業でも防災街区整備といって木造密集地域の解消に取り組んでいますし、マンション開発でもエネルギー問題や生物多様性など、マテリアリティに沿った取り組みに注力しています。そこが非常に際立った特徴だということを改めて実感しました。
有年 会社が何を重視しているかをまとめたのがマテリアリティだと思います。今回、当社でも選定し、自分の仕事とつながっていることが確認でき、安心できた面がありますね。
中島 マテリアリティ全体を見ていると「With Customer」と同じ温度感で、「With Employee」を重要課題にとらえているのが分かって安心できました。実際、フレックス制度や福利厚生がすごく充実していて、まだ上手く使いこなせていない面もありますが、働くうえで色んなバリエーションがあるというのが安心材料になっています。
大澤 社会の変化や技術革新に応じて仕事の進め方が変わってきたように、マテリアリティも何か付け加えたり、変えたりする必要が出てくるかもしれませんが、営業活動の根底に「With Customer」という想いがあるのは変わらないと思っています。一人ひとりが職場や役割に応じた“芯”を持ちながら、さまざまな変化に柔軟に対応していけると良いですね。
座談会を振り返って
部署や業務の異なる社員が集まり、多様な視点からサステナビリティについて語っていただきましたが、皆さんの話を聞いて感じたことを教えてください。
有年 今回、この座談会があるという話を聞いて、改めて過去のサステナビリティレポートを読み込みましたが、おかげで会社がどんなことを大切に思っているのか、どんなことに取り組んでいるのかを知ることができました。座談会では、そうした取り組みに対して、グループ内のさまざまな立場からの意見を聞けて、すごく貴重な時間でした。ここでの経験を自分の部署に持ち帰って、少しでも広められたらと思っています。
中島 私は入社以来、ずっと施工部門を担当しており、営業や設計など他部門の方と全社の取り組みについて語り合う機会が少なかったので、職種ごとに異なる多様な視点や考え方を知る良いきっかけになりました。同時に、会社やグループ全体の想いや取り組みを知るきっかけにもなり、視野が広がったように思います。この経験を活かして、仕事はもちろん、プライベートも含めて、より広い視野で社会を見ていきたいと思います。
千野 私も、グループ各社の皆さんが日々、何を考えて事業を進めているかを知る機会がなかったので、この座談会をすごく楽しみにしていました。皆さんの意見を聞いて、所属や仕事内容は違っても、「お客様と共に」「社会と共に」という想いは共通していることが実感でき、非常に有意義な場だったと感じています。
池田 日々の業務だけを見ていると、会社が何を大切にしているのかといった考えや姿勢を深く考えずに進めてしまっていることが多いと思います。今回の座談会で、会社の想いを知ることができましたので、この業務が何のためにあるのか、どんな意義があるのかを理解したうえで取り組むことで、仕事の質を高めていけるのではないかと思います。
大澤 普段は社内であまり語らなかったテーマでお話ができて、とても良い機会でした。短い間でも、多くの気づきが得られたので、普段から気にかけていれば、もっと色んな貢献ができるのではないかと思います。ありがとうございました!