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近居に関する補助金にはどんなものがある?申請の流れについても解説

近居に関する補助金にはどんなものがある?申請の流れについても解説

親と子世帯が近距離の住居で暮らす「近居」は、プライバシーなどに配慮しながらも、助け合いながら生活ができるため、近年増えている暮らし方です。

近居には、国や自治体から補助金が出る場合があることをご存じでしょうか。今回は、近居に関する補助金について紹介いたします。

国や自治体による近居に関する補助金について

政府は、親世代と子世代の二世代同居・近居、または孫世代の加わった三世代同居・近居への環境整備を推進しています。

同居とは、2つ以上の世代が同じ住居に居住することです。一方で近居とは、住居は異なるものの、日常的に往来できる範囲に居住することを指しています。補助金の対象となる近居と認められる範囲は、自治体によっても異なるので事前の確認が必要です。

三世代同居・近居の環境の整備を政府が推進

政府は子育てや介護などの問題を、世代・世帯間で助け合いながら行える環境作りを推進するための対策として、三世代同居・近居に対する支援を行なっています。

具体的には、複数世帯同居に向けたリフォーム工事への補助金支援、また同居用のリフォームを行なった場合の減税措置などです。さらに、近居する場合にもUR賃貸住宅の家賃減額措置(近居割)を実施しています。同じ団地での近居のほか、2km以内の別の団地でも近居割が適用されるのが特徴です。また、決められたエリア内で団地もしくは、それ以外の住居に住む場合でも、近居割WIDE(ワイド)の適用が認められます。

これらの他に、各自治体が独自に行なっている補助金制度があります。自治体によって対象や条件が異なりますので、近居予定先の自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。

自治体による近居に関する補助金の例

自治体によって、近居に関する取り決めや補助金額はさまざまです。以下では、3つの市区の例を挙げて説明するので、参考にしてみてください。

<埼玉県飯能市>

対象

親世帯、子や孫世帯がともに市外から転入、もしくはいずれかの世帯が市外から転入して同居・近居のための住宅を取得する場合

条件

●住宅を取得するために工事請負(売買)契約を締結している
●市税に未納がない など

※原則、申請年度内に転入し、対象住宅の保存登記を完了させること

補助金

補助対象住宅取得費の10%

※限度額は新築で市内事業者施工の場合40万円、市外事業者施工の場合10万円

※建売・中古住宅の場合10万円(空き家バンク制度利用の場合10万円加算)

 

出典:飯能市「飯能市多世代同居・近居住宅リフォーム事業補助制度について

 

<東京都墨田区>

対象

義務教育修了前の子どもがいる世帯と、3年以上区内に在住している親世帯が同居・近居する場合

条件

●直線距離で1km以内の近居
●国の住生活基本計画における最低居住面積水準を満たしている など

補助金

新築住宅購入 50万円

中古住宅購入 30万円

 

出典:墨田区「墨田区三世代同居・近居住宅取得支援制度

 

<神奈川県厚木市>

対象

1年以上市内に居住している親世帯と近居・同居するために子世帯が市外から転入する場合

条件

●住宅の新築工事・購入、または既存住宅の増改築工事の契約
●中古住宅は耐震基準を満たしていること など

補助金

近居住宅購入 40万円

同居住宅購入 60万円

住宅改修 補助対象経費の1/10(限度20万円)

※子世帯に中学生以下の子がいる、世帯主あるいは配偶者が40歳未満、定住促進地域に住む場合などは、10万円が加算

出典:厚木市「親元近居・同居住宅取得等支援事業補助金

近居に関する補助金申請の流れ

近居に関する補助金申請の流れの一例を確認してみましょう。

まずは、事前相談書を提出します。住宅を新築する場合は売買契約や請負契約の前、住宅改修の場合は工事契約の前に相談する必要があります。その際、着工前の写真の提出を求められることもあるので準備しておくとよいでしょう。事前相談書を提出することで、自治体では補助要件の確認を行います。

工事および工事費の支払いが完了したら、補助金交付申請を行いましょう。申請は3か月以内や1年以内など、自治体によって期限が変わるので確認しておくと安心です。

補助金の交付申請には、申請書類のほかに以下の添付書類が必要になります。

  • ・事業報告書(様式あり)
  • ・対象住宅の位置図
  • ・当該年度の固定資産税課税証明書または当該年度の土地・家屋名寄帳兼課税台帳の写し(新築の場合は建物の登記事項証明書)
  • ・対象工事の契約書の写し
  • ・対象工事の内容を明らかにする図面(立面図、平面図など)
  • ・対象工事の明細書(当該工事の内容がわかるもの)
  • ・対象工事の着工前および完了後の写真
  • ・対象工事に係る領収書の写し
  • ・前住所地での納税証明書(申請を行う年の1月1日現在において市内に住所がない場合)
  • ・その他、各自治体が必要と認める書類(市税等納付状況確認承諾書など)

補助金の交付申請を行うと、自治体では書類の確認と現地調査などを行い、補助金の交付が決定されます。補助金額が確定すると「交付決定通知書兼補助金額確定通知書」が届くので、それを踏まえて補助金の請求を行いましょう。補助金の請求にも様式があるので、様式に従って記入し提出すると、指定口座に補助金が入金される流れです。

近居に補助金が出る理由

同居だけではなく近居に対しても補助金が出る理由は、自治体の人口維持が関係しています。少子高齢化に伴い、今後人口が減っていくと予想される中、政府は人口の安定化を図ろうとしています。

自治体内の人口を増加させるため

近居や同居は都心などから人口を流入させ、自治体内にとどまらせる効果があります。特に、近居はある一定の距離を保ちつつ、世代間で助け合うことができるので、子育てや介護のうえでも効率的です。マンションを購入したり戸建てを建てたりすると、ある一定の期間もしくは一生涯その土地に住み続ける可能性が高くなるので、自治体内の人口を増やす意味では大きな効果があります。新居だけではなく中古物件のリフォームなどに対しても補助金を出す自治体もあるので、自治体の補助金がどんな条件でもらえるのかを事前に調べておくとよいでしょう。

自治体内の人口流出を防ぐため

現在は都心から地方への人口流出に比べて、地方から都心への人口流出のほうが多い傾向にあります。地方自治体では、人口流出を防ぐために補助金を出してでも近居してもらいたいのが実情です。

親世帯が高齢の場合は、子世帯が近くに住んでくれていると安心感があります。また、同居よりは近居のほうが子世帯の自由度も高くなるので、同居だけではなく近居も補助金の対象にすることで地方に戻ってきてくれる可能性が高まると期待されています。一度マンションや戸建てを購入して住み始めると、一定期間は他の地域への流出を防げることから、自治体は近居に対する補助金によって人口の流出を防ぐ目的でもあるようです。

まとめ

世帯同士がお互いのプライバシーを守りつつ協力し合える近居は、同居よりも敷居が低く注目されている住まい方です。自治体からの補助金を活用すれば、負担も減らしながら快適な近居暮らしを実現できます。親世帯、子世帯ともに転居をお考えなら、子世帯は補助金を活用して新築もしくは中古物件を検討し、親世帯は高齢者向け賃貸住宅を利用するのも一つの方法です。

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