介護老人福祉施設とは?特徴や特別養護老人ホームとの違いも解説

高齢者向けの住居を探している方の中には、介護老人福祉施設とはどのような場所なのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
高齢者向けの住居は数多くあり、施設ごとに対象者やサービス内容などに違いがあるため、各施設の特徴を事前に把握しておくことが大切です。
この記事では、介護老人福祉施設とは何なのか、特徴や特別養護老人ホームとの違いなどを解説します。介護老人福祉施設について詳しく知りたい方は、是非参考にしてください。
介護老人福祉施設とは
介護老人福祉施設とは、介護を必要としている高齢者のための生活施設です。入浴、排せつ、食事などの日常生活のサポート、機能訓練、健康管理や療養上のサポートなどが受けられる施設となっています。
しかし、同じようなサポートを受けられる高齢者向けの住宅も多く、どの施設を選ぶべきか分からない方も多いのではないでしょうか。
介護老人福祉施設の基準について、詳しく見ていきましょう。
人員基準
介護老人福祉施設でサービスを提供するためには、以下のような人員基準を満たす必要があります。
人員 |
詳細 |
医師 |
入所者に対して健康管理及び療養上の指導を行うために必要な人数 |
介護職員または看護職員 |
入所者の数が3もしくはその端数を増やすごとに1以上 |
栄養士、機能訓練指導員 |
1以上 |
介護支援専門員 |
1以上(入所者の数が100もしくはその端数を増やすごとに1を標準とする) |
参照:社保審一介護給付費分科会「介護老人福祉施設(参考資料)」
設備基準
人員基準だけでなく、以下のような設備基準も満たす必要があります。
設備 |
詳細 |
居室 |
居室定員1人、入所者1人当たりの床面積10.65㎡以上 |
医務室 |
医療法に規定する診療所とすること |
食堂及び機能訓練室 |
床面積入所定員×3㎡以上 |
廊下幅 |
原則1.8m以上 |
浴室 |
要介護者が入浴するのに適したものとすること |
参照:社保審一介護給付費分科会「介護老人福祉施設(参考資料)」
ユニット型介護老人福祉施設の基準
ユニット型介護老人福祉施設の場合は、上記の人員基準と設備基準に加えて、以下の基準を満たす必要があります。
- ・共同生活室の設置
- ・居室を共同生活室に近接して一体的に設置
- ・1のユニットの定員はおおむね10人以下
- ・昼間は1ユニットごとに常時1人以上の介護職員または看護職員、夜間は2ユニットごとに1人以上の介護職員または看護職員を配置
- ・ユニットごとに常勤のユニットリーダーを設置など
参照:社保審一介護給付費分科会「介護老人福祉施設(参考資料)」
上記のような人員基準や設備基準を満たした施設が、介護老人福祉施設として扱われます。
介護老人福祉施設の特徴
人員基準や設備基準は、介護老人福祉施設を設立する際に満たさなくてはならない条件です。そのため、利用者は基本的に気にする必要はありません。
利用者が気にしておくべき確認ポイントは、①介護老人福祉施設の対象者は誰か、②どのようなサービスを受けられるのか、③利用料はいくらなのかという3つです。
それぞれのポイントについて、詳しく説明していきます。
①対象者
介護老人福祉施設は、寝たきりや認知症などで常に介護を必要としている方を対象とする高齢者向けの施設です。
そのため、65歳以上で要介護度3以上と認定された方が入所できます。
しかし、特定疾患が原因で要介護度3以上と認定された場合には、年齢条件を満たしていない40~64歳の方でも入所することが可能です。
施設によっては、要介護度1または2の方でも特例的に入所が認められる可能性があります。介護度の高い方が優先されるため、必ず入所できるわけではないので注意が必要です。
②サービス内容
介護老人福祉施設で受けられる主なサービス内容は、以下の通りです。
- ・食事、入浴、排せつなどの日常生活のサポート
- ・リハビリテーションといった機能訓練
- ・バイタルチェックといった日常の健康管理
- ・相談援助、レクリエーションなど
③利用料
介護老人福祉施設の1日当たりの利用料は、介護度や居室によって以下のように異なります。
従来型個室 |
要介護1 |
573円 |
要介護2 |
641円 |
|
要介護3 |
712円 |
|
要介護4 |
780円 |
|
要介護5 |
847円 |
|
多床室 |
要介護1 |
573円 |
要介護2 |
641円 |
|
要介護3 |
712円 |
|
要介護4 |
780円 |
|
要介護5 |
847円 |
|
ユニット型 |
要介護1 |
652円 |
要介護2 |
720円 |
|
要介護3 |
793円 |
|
要介護4 |
862円 |
|
要介護5 |
929円 |
従来型個室は定員1名、多床室は定員2名以上、ユニット型は共同スペース+個室という違いがあります。
上記は自己負担が1割の場合の目安で、食事や居住費、理美容代などの日常生活費、施設の所在地やサービスの提供体制、内容などによって変化します。事前にどのくらいの費用が生じるのかを確認しておきましょう。
特別養護老人ホームと介護老人福祉施設の違い
特別養護老人ホームと介護老人福祉施設は、高齢者向けの住居で介護を受けられるというイメージを抱いている方が多いと思いますが、両者に違いはあるのでしょうか。
両者の違いを詳しく見ていきましょう。
法律上の適宜
特別養護老人ホームについて定義されているのは、老人福祉法です。老人福祉法の第20条で、以下のように定義しています。
「特別養護老人ホームは、第十一条第一項第二号の措置に係る者または介護保険法の規定による地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る地域密着型介護サービス費もしくは介護福祉施設サービスに係る施設介護サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を入所させ、養護することを目的とする施設とする。」
介護老人福祉施設について定義されているのは介護保険法です。介護保険法の第8条には以下のように定義されています。
「この法律において「介護老人福祉施設」とは、老人福祉法第二十条の五に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が三十人以上であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい、「介護福祉施設サービス」とは、介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう。」
老人福祉法と介護保険法の違い
老人福祉法は、高齢者の介護を目的とした法律ではありません。高齢者が身体的・精神的に安定した生活を送ることができるように、高齢者の生活について明記されている法律です。
一方で介護保険法は、社会全体で介護が必要な方をサポートするために規定されている法律です。高齢者の介護に関する内容、施設や介護認定に関する内容などが記載されています。
高齢者に介護保険法を適用できないケースでは、老人福祉法が適用されるといったように相互関係にある法律です。
特別養護老人ホーム、介護老人福祉施設は定義されている法律、名称は異なりますが、入所対象者やサービス内容に違いはありません。
まとめ
加齢とともに体力や認知機能が衰えて、不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。高齢者向けの住居であれば、日常生活のサポートを受けられるので安心です。
しかし、施設の種類によっては入居対象者や提供されているサービス内容、料金設定などが異なります。自分の条件に合っているのか、希望するサービスを提供しているか、無理なく負担できる料金設定かを事前に確認してから契約するかどうか決めましょう。
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