特定施設入居者生活介護とは?サービス内容や費用などを解説
加齢とともに介護が必要になってきた方の中には、特定施設入居者生活介護とは何なのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
介護サービスは選択する種類によって利用料や受けられるサービス内容に違いがあるため、内容をしっかり理解しておくことが大切です。
この記事では、特定施設入居者生活介護とは何か、サービス内容、メリット・デメリット、向いている人などを解説します。特定施設入居者生活介護とは何かを詳しく知りたい方は、是非参考にしてください。
特定施設入居者生活介護とは
加齢とともに体力的な衰えが目立つようになった場合は、介護が必要になります。しかし、介護が必要であるものの、どんな介護サービスを選択すればいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
特定施設入居者生活介護は、介護サービスの1つです。どのような制度なのか、人員基準、設備基準、利用者負担などを詳しく見ていきましょう。
制度の概要
特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象とする日常生活の世話、機能訓練、療養上の世話などのことです。介護保険の対象となるため、比較的安価にサービスを利用できます。
特定施設の対象となる施設は以下の3つです。
- ・有料老人ホーム
- ・軽費老人ホーム(ケアハウス)
- ・養護老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅の場合は、有料老人ホームに該当するケースでは特定施設に分類されます。また、特定施設入居者生活介護の指定を受ける特定施設は、介護付きホームと呼ばれています。
参照:社会保障審議会-介護給付費分科会「特定施設入居者生活介護」
人員基準
特定施設入居者生活介護の人員基準は以下の通りです。
- ・管理者 1人(兼務可)
- ・生活相談員 要介護者など:生活相談員=100:1
- ・看護・介護職員 ①要支援者:看護・介護職員=10:1
②要介護者:看護・介護職員=3:1 - ・機能訓練指導員 1人以上(兼務可)
- ・計画作成担当者 介護支援専門員1人以上(兼務可)
参照:社会保障審議会-介護給付費分科会「特定施設入居者生活介護」
看護職員は要介護者が30人までは1人、30人を超える場合は50人ごとに1人、夜間帯の職員は1人以上などの基準も設けられています。
設備基準
特定施設入居者生活介護の設備基準は以下の通りです。
- ・介護居室:原則個室。プライバシーの保護に配慮、介護を行える適当な広さを有する
- ・一時介護室:介護を行うために適当な広さ
- ・浴室:身体の不自由な者が入浴するのに適したもの
- ・便所:居室のある階ごとに設置し、非常用設備を備える
- ・食堂、機能訓練室:機能を十分に発揮できる適当な広さ
- ・施設全体:利用者が車椅子で円滑に移動できる空間と構造
参照:社会保障審議会-介護給付費分科会「特定施設入居者生活介護」
介護居室に関しては、地階に設けないといった基準も設けられています。
利用者負担
特定施設入居者生活介護の利用者負担は介護度によって以下のように変化します。
【要支援1.2の認定を受けた方】サービス費用の設定 | 1日当たりの利用者負担(1割) |
要支援1 | 180円 |
要支援2 | 309円 |
サービス費用の設定(短期利用も同額) | 1日当たりの利用者負担(1割) |
要介護1 | 534円 |
要介護2 | 599円 |
要介護3 | 668円 |
要介護4 | 732円 |
要介護5 | 800円 |
参照:厚生労働省「特定施設入居者生活介護」
上記以外にも、入居費用やおむつ代といった日常生活費は別途負担しなくてはなりません。
参照:公益財団法人長寿科学振興財団「特定施設入居者生活介護とは」
特定施設入居者生活介護のサービス内容
特定施設入居者生活介護が自身に合う最適な介護サービスとは限りません。選択してから後悔しないためにも、どのようなサービス内容なのか事前に把握しておくことが大切です。
特定施設入居者生活介護のサービス内容は「一般形」と「外部サービス利用型」で違います。両者のサービス内容の違いを詳しく解説していきます。
一般型
一般型とは、特定施設の事業者が自ら介護サービスを提供するものです。
一般型の特徴をまとめると以下の通りです。
- ・報酬の概要:包括報酬(要介護度別に1日当たりの報酬を算定)
- ・サービスの提供方法:3対1で特定施設に配置された介護・看護職員による提供
- ・特徴:生活相談などの日常生活支援の比重が大きい
参照:社会保障審議会-介護給付費分科会「特定施設入居者生活介護」
事業者自ら介護サービス、生活相談、ケアプランの作成、安否確認や緊急時対応を行うのが特徴です。
外部サービス利用型
外部サービス利用型とは、介護サービスは外部に委託し、特定施設の事業者はケアプランの作成といったマネジメント業務を行うものです。
外部サービス利用型の特徴をまとめると以下の通りです。
- ・報酬の概要:定額報酬(生活相談などのサービス)と出来高報酬(各種居宅サービス)
- ・サービスの提供方法:委託先の介護サービス事業者による提供
- ・特徴:1対1のスポット的なサービスの比重が大きい
参照:社会保障審議会-介護給付費分科会「特定施設入居者生活介護」
一般型とは異なり、介護サービスは外部に委託するものの、生活相談、ケアプランの作成、安否確認や緊急時対応などは事業者自ら行うのが特徴です。
利用するメリット・デメリット・向いている人
特定施設入居者生活介護を利用することが必ずしも最適な選択肢とは限りません。自身の心身の状況に合った最適な介護サービスを選択するためには、特定施設入居者生活介護のメリット・デメリット、向いている人を把握しておくことが大切です。
特定施設入居者生活介護のメリット・デメリット、向いている人について解説していきます。
メリット
特定施設入居者生活介護を利用した場合には、看護職員や介護職員などによるサポートを受けられます。
施設には24時間いずれかの職員が常駐しています。深夜に見回りを行っており、万が一の事態が発生した場合でも速やかにサポートを受けられる点がメリットと言えるでしょう。
また、特定施設入居者生活介護を利用する際は介護保険を利用できます。保険を利用すれば自己負担額を軽減できるでしょう。
デメリット
該当する介護度で利用できる介護保険の単位数を、入居施設で全て使用するため、介護度の低い方にとって自己負担が大きくなる可能性があります。
介護度の低い方の場合、サービスを利用した分だけ支払う住宅型有料老人ホームのほうが費用負担を抑えられるかもしれません。
また、特定施設入居者生活介護を利用するにあたって介護保険の満額を支払った場合、他のサービスを利用する際に介護保険を利用できなくなる点に注意してください。
向いている人
特定施設入居者生活介護では、利用者がなるべく自立した生活を送ることができるように配慮しています。そのため、自立した生活が厳しくなりつつあるものの、なるべく自立した生活を送りたいと考えている方に向いているでしょう。
また、施設によっては認知症が進んだり、病気の状況によっては退去を求められることもありますが、基本的には転居となることが少ないため、手厚いサポートを希望している方にも向いているでしょう。
まとめ
特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象とする日常生活の世話、機能訓練、療養上の世話などのことです。特定施設入居者生活介護を利用することで老後の不安を解消できるでしょう。
しかし、特定施設入居者生活介護が自身に合う最適な選択肢とは限りません。老後の生活に不安がある一方、自立した生活を送りたいという方には、高齢者向け賃貸住宅のほうが良いケースもあります。
高齢者向け賃貸住宅はバリアフリーに対応、見守りサービスなどのように安心して老後を暮らせる設備や環境が整っているので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
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