「気密性能」が大切な理由とは?メリットやC値の基準を解説

住宅を建てるにあたって「気密性能」も、重要で注目するべき住宅性能の1つです。本記事では「気密性能」が高いことによって得られるメリットやその性能の高め方の他、C値(隙間相当面積)の測定方法についても解説します。

本記事の動画バージョンもご用意しています。以下の2本の動画では、気密性能の基本からその重要性、C値の測定方法等を分かりやすく紹介しています。視覚的により深く理解したい方はぜひご覧ください。

1.気密性能とは?

気密とは、空気が出入りしないように密閉することですが、住まいにおいては、窓や玄関ドアと壁、壁と床、壁と壁、壁と天井、スイッチ・コンセント廻りなどの取合い部の「隙間をなくす」ことです。気密と聞くと、なんだか息苦しそうなイメージがあるかもしれませんが、換気を封じるものではありません。また、断熱性能を高めるためにも気密は不可欠です。せっかく高性能の断熱材を使っても、隙間だらけでは熱が逃げてしまうからです。

2.家づくりで気密性能が大事な理由、メリットは?

1)冷暖房効率を上げて、省エネに

隙間があればそこから熱が出入りして、せっかくの冷暖房が効きません。なので、きちんと気密をとることで、冷暖房の効きをよくすることができます。ということは、省エネになり、光熱費を下げることにもつながります。

2)快適で健康的な温熱環境が得られる

隙間風は室温の低下・上昇を招くだけでなく、温度ムラも起こし、不快な室内環境の原因となります。気密性能を高めることで熱損失を防ぎ、換気を計画的に行うことができるので、室温の低下(上昇)と温度ムラをなくし、快適で健康的な温熱環境をつくりやすくします。

3)家の耐久性能を高める

壁の中などに空気の出入りがあると、空気中の湿気で結露が起こり、カビが発生したり、木材が腐ってしまうこともあります。気密を高めると壁体内結露の発生因子を減らすことになるので、建物の耐久性能を高めることにつながります。

4)計画的な換気で、空気を新鮮に保つ

家の耐久性能を損なう隙間風は漏気であって、換気ではありません。隙間をなくすことで、空気を取り入れるべきところから取り入れ、出すべきところから出す計画的な換気が可能となり、良質な温熱環境を維持しながら、室内の空気を新鮮に保つことができます。

3.気密性能を上げるために

1)隙間が生じないよう施工する

どんなに高性能の断熱材を入れても気密性能が低ければ効果が発揮されません。その気密性能を上げるには、施工がポイントとなります。屋根(または天井)、外壁、床(または基礎)と切れ目なく入れた断熱材の継ぎ目を気密テープや防湿気密シートなどを用いて、隙間が生じないようすることが大切です。精度の高い施工のためには、中間時と完成時の気密測定に加え、そのチェック体制やノウハウが必要です。

2)気密性能に優れた窓を選ぶ

窓は開閉形式の違いによって、気密性能が大きく異なります。例えば、日本の伝統的な窓である「引違い窓」と、多点ロック機構をもつ「縦すべり出し窓」では、「縦すべり出し窓」の方が約10倍も高気密です。さらに、固定(FIX)窓は気密性能が最も高くなります。また、樹脂サッシは四方を溶着で接合するため、フレームに全く隙間ができないため高気密となります。

4.気密性能の指標 C値とは

1)C値とは?

C値は「相当隙間面積」とも呼ばれ、住宅の気密性能を数値で表したものです。具体的には、建物の床面積あたりどれだけの隙間があるかを、c㎡で示します。C値が小さければ小さいほど隙間が少なく、その住宅は気密性能に優れていると評価されます。C値が1.5㎠/㎡であれば、100㎡の床面積に150㎠の隙間(はがき一枚分)があることを意味します。

2)一般的な住宅のC値と推奨されるC値

一般的な住宅のC値は5㎠/㎡、高気密住宅と言われるのはC値2.0㎠/㎡以下です。HEAT20では、CFD解析などを利用したさまざまなシミュレーションを踏まえ、新築時の性能として、C値=0.7 ㎠/㎡ ± 0.2 を目安としていますが、適切な換気がなされている場合、気密性能は低ければ低いほどよいと考えられています。
※HEAT20 「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」の略称。深刻化の一途を辿る地球温暖化とエネルギー問題の対策のために2009年に発足。研究者、住宅・建材生産者団体の有志によって構成されている。

5.C値の測定方法

C値の測定は、建物内外の圧力差を測定して行われます。具体的には「ブロワードアテスト」と呼ばれる手法を用い、特殊なファンを使って一定の圧力を建物に加えたときに、その圧力を維持するのに必要な空気の流量を測定します。気密測定には「中間気密測定」と「竣工時気密測定」の2種類があり、2つの測定を行うことで、確実に気密性能を確保することができます。

1)中間時の気密測定

建設途中の住宅で行う測定で、主に気密性能を確保するための施工の品質をチェックする目的で行われます。中間時に気密測定を行うことで施工上の問題点を早期に発見し、完成前の修正が可能です。

2)竣工時の気密測定

竣工時にどの程度の気密性能を持っているかを確認するために実施される測定です。測定結果は、住宅のエネルギー性能の評価や快適な室内環境の確保、省エネ対策に不可欠なデータとなります。

写真:気密測定の様子。高い気密性能を確実に達成するためには不可欠。

まとめ

住宅建築において、気密性能は快適で健康的に生活できる温熱環境につながります。気密性能を保つためには、適切な窓の選択や施工の際の気密検査など、様々なプロセスが重要となります。快適な温熱環境を実現するために、断熱性能を高めるだけでなく合わせて気密性能を高めましょう。

気密性能に続いて、住宅の快適性と健康を左右するのが「換気性能」です。特に隙間が小さく空気の出入りが少ない高気密な住宅だからこそ、換気は重要です。下の関連記事では換気性能の重要性を深掘りしています。また、新鮮な空気を室内に取り入れるための具体的な換気の方法・種類について解説していますので、健康的な生活を過ごしたい方はぜひご覧ください。

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