
「日射取得・日射遮蔽」とは?省エネ・コスト削減につなげる秘訣

今回は、冬暖かく、夏涼しく過ごすために、太陽の日射をうまくコントロールする「日射取得・日射遮蔽」のことを学びます。

本記事の動画バージョンもご用意しています。以下の動画では、日射の取得と遮蔽の方法や、ポイントなど分かりやすく紹介しています。視覚的により深く理解したい方はぜひご覧ください。
1.日射取得・日射遮蔽とは?
日射取得・日射遮蔽とは文字通り、太陽の日射を取り入れることと、日射を遮ることです。温熱環境の優れ、省エネを実現する住まいをつくるには、日射のコントロールも大事な要素です。冬は日射を室内に積極的に取り入れることで、エネルギーをあまり使わず暖かい室内環境をつくることが可能になります。逆に夏は、涼しい室内環境にするために、日射を遮蔽して熱を内部に入れない工夫が必要です。
また、断熱等級7などの高断熱住宅の場合は、夏だけでなく、春秋に日射を取得しすぎて暑くなる「オーバーヒート」が起こるケースもありますので、日射を遮蔽して熱を内部に入れない準備が必要です。

2.日射取得・日射遮蔽の方法は?
1)建物のつくりでコントロール
まずは窓から入ってくる日射のコントロールが必要ですが、季節により太陽の高度が違うので、日射の角度も異なります。冬は日射を取り込み、夏は遮蔽できるように、日射の角度に合わせて、窓の大きさや庇の長さを適切に設計します。

2)日よけ(部材)を活用する
さらに、季節や時間帯などでその都度、日射を調整できるブラインド、オーニングなどの日よけとなる部材を活用することも効果的です。カーテンなど室内側に設置することが一般的ですが、日射遮蔽の場合は、外部に設置する方が効果的です。外部で日射を遮蔽した方が約2倍も遮蔽できることがわかっています。

部材を活用した日射取得・遮蔽方法の例。
日よけの種類や効果的な設計方法を知りたい方は、以下の関連記事で詳しく解説しています。
3)窓ガラスの種類を使い分ける
窓は、ガラスの種類の使い分けも大切です。窓ガラスには、日射取得型と日射遮蔽型があります。Low-Eガラスという金属膜をコーティングしたガラスを用いたもので、そのコーティング面が室内側か室外側かによって日射を取得するか遮蔽するかの違いがあります。一般的には、南側に日射取得型を、東西方向は、日射遮蔽型を設置することがおすすめです。

3.日射取得・日射遮蔽の設計時のポイントは?
既にお分かりのように、日射取得と遮蔽は正反対の作用です。その相反することを1軒の家のつくりの中にうまく取り込まなければ快適な温熱環境は期待できません。そこで、設計の際には、方位によって、①庇などの建物のつくり、②窓ガラス、③ブラインド等の日よけ部材の3要素をバランスよく組み合わせることが大切です。
表はその一例です。南面は、冬は日射取得、夏は日射遮蔽となるように。北面は、冬の熱損失を抑えることを優先。東西面は、夏の日射遮蔽を優先させることが基本となります。

まとめ
日射取得・日射遮蔽の概要に加えて、具体的な方法を合わせて解説しました。
冬は日射を取り入れ、夏は日射を遮るために、日射取得型・日射遮蔽型の窓ガラスを使い分けることが大切です。
また、日射取得と遮蔽は正反対の作用です。その相反することを1つの家で上手に取り入れるために、方位によって、①庇などの建物のつくり、②窓ガラスの種類、③ブラインド等の日よけ部材の3要素をバランスよく組み合わせて設計する必要があります。快適性の向上のために、設計担当者と相談しながら家づくりを進めましょう。
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