「断熱窓」とは?窓の種類・選び方・家づくりの設計のポイントを解説

窓・ドアなどの開口部から失われる熱量の割合は壁や床・天井に比べて非常に高く、夏は家全体の73%、冬は58%が失われています。つまり、窓の性能が住宅の断熱性能を左右します。そこで今回は、断熱窓を学びます。

1.断熱窓とは?

窓は、ガラスとサッシ(枠と障子の部分を合わせてサッシと言います)で構成されますが、選ぶ際には、「ガラス」の性能と「サッシ」の素材がポイントになります。

1)サッシ(枠・障子)の素材

窓のサッシは、以前はアルミが主でしたが、アルミは熱の伝導率が高く、断熱性能に劣ります。
海外では、アルミの1000倍も断熱性能がある樹脂窓が普及しており、日本でも室内側が樹脂で外側がアルミの複合タイプが開発され、現在、高断熱住宅では樹脂が主流となっています。
樹脂サッシ窓の樹脂は、耐久性のある塩化ビニル樹脂(PVC)で、身近なものではフライパンの取っ手などに用いられているものです。加工や着色がしやすいので、さまざまな開閉タイプやデザインのものが製造されています。

2)ガラスの性能

窓はガラスの枚数が多いほど断熱性能が高く、また,複層ガラスや三重ガラスなどではガラス間の中空層の内部の状態(空気か不活性ガスか真空か)および中空層の厚さによって性能が異なります。
さらに,ガラスに「Low-E」という金属膜(低放射膜)をコーティングしたものを使うと断熱性能は高くなります。

3)日射取得型(日射熱を取り込む)と日射遮蔽型(日射熱を遮る)

また、Low-Eガラス(低放射ガラス)を用いたものには、コーティングする面が室内側か外側かによって日射取得型(日射熱を取り込む)と日射遮蔽型(日射熱を遮る)があるので、目的に合わせて使い分けます。
冬のあたたかさと採光を得るために、南の開口部のガラスは日射取得型ガラスとし、春秋のオーバーヒートを防ぐために、外部にルーバーやシェードを設けるなど日射遮蔽に気をつけます。

2.窓の設計時のポイントは?

1)開閉方式

また、断熱窓選びで、気をつけたいことの1つに、開き戸や引き戸などの開閉形式があります。ガラスが2枚、3枚となると窓自体が重くなるので、使用頻度の高い窓や大きい窓の場合は、開け閉めのしやすさも確認が必要です。開き戸のほうが気密性能が高く、開け閉めも楽ですが、諸条件によっては引き戸の方がいい場合もあります。最近では、軽く操作できて気密性能が高い引き戸も登場しています。操作性や重さなど、ショールームなどで体験して決めることをお勧めします。

2)東西側と北側の窓ガラス

東、西、北側の窓は可能な限り断熱性能の高いものを使います。特に東と西側は、夏の日射遮蔽を考慮してできるだけ開口を絞った方が全体の断熱性能が上がるので、予算的に厳しい場合でも、サイズを小さくしてトリプルガラスを選んだ方がいいでしょう。

まとめ

高断熱住宅を設計する上で高断熱窓は必須のアイテム。日射熱を取り入れたいのか、採光なのか、通風なのかなど窓の目的を明確にし、それに応じた機能を選びますが、高い断熱性能を実現するには、高性能な、Low-E三層複層(トリプル)ガラスの樹脂サッシが必要です。いずれにせよ、設計者と相談しながら、日射取得と断熱性能、開口部の大きさ、予算のバランスをとって決めましょう。

窓などの開口部と同様に、家全体を包む断熱材の選択は、快適性と省エネ効率に大きく影響します。下の関連記事では、断熱材の種類、施工方法、断熱材を選ぶためのポイントについて詳しく解説します。最適な断熱材を選ぶことで、光熱費の節約と快適な室内環境を実現できますので、ぜひとも役立てていただけましたら幸いです。

家づくりの基礎知識や暮らし方のコツなど、役立つ新着情報をメールでおしらせします。
住んでからも後悔しないしあわせが持続する家づくりのために、参考にしていただければ幸いです。

学習するトップへ戻る

カテゴリ