「換気設備」とは?種類・効果的な使い方を解説

気密性の高い住宅では、室内の空気質をきれいに保つために換気が重要です。
ここでは、換気に重要な「換気(通風)経路」と代表的な換気設備について、学んでいきましょう。

換気が必要な理由・種類については下記の記事で詳しく紹介しています。

1.家づくりでの換気設備の設置のポイントは?

室内の換気性能を高めることは快適で健康的な生活を送るうえで重要視すべきポイントとなります。特に、空気の出入りが少ない高断熱高気密な住宅では、換気性能は重要となります。換気設備を設置する際の具体的なポイントをご紹介します。

1)空気の流れをイメージする

換気や通風を計画するときや実際に行うときには、「新鮮な外気がどこから入って、室内のどこを通って、どこから排出されるのか」という空気の通り道をイメージして行うことが非常に重要です。(専門用語ではこの空気の通り道のことを、「換気経路」、「通風経路」と言います。)

換気経路のイメージです。この絵ではリビングの壁上部から外気が入って、扉の下などから廊下に出て、トイレにはいり、トイレの換気扇で排気されます。

換気・通風をするには、まず、空気の入口と出口が必要です。通常、窓を1カ所だけ開けても効率よく換気することはできません。次に、家の中全体の空気を効率よく入れ換えるには、空気がどこを通るかを意識して行うことが、とても重要です。

2.換気量のポイントは?

住宅の常時換気(24時間換気)は、シックハウス症候群がクローズアップされたのを契機に、その対策として、2003年に義務化されました。健康維持のため、家の中の空気が24時間いつも換気されている状態をつくります。

1)常時換気の換気量 常時換気(24時間換気)の換気量はどのくらい?

常時換気の換気量は0.5回/h、つまり1時間にその住宅の室内空気の1/2、言い換えると2時間でその家の空気全部が入れ替わるだけの換気量が求められています。
具体的な換気量を簡単に計算してみます。延床面積100m²の住宅で天井高が2.5mとしますと、室内の容積は250m³です。この1/2は125m³ですから、換気扇の風量は125m³/h以上あれば良いことになります。また、一部吹き抜けがある場合は、例えば吹き抜けの部分の床面積が50m²でその天井高が平均5mとしますと、室容積は50✕5+50✕2.5=375m³ですから、必要換気量は約188m³となります。
いずれにしても、キッチンの換気扇(強運転で5~600m³程度)に比べるとかなり少ないことが分かります。

2)常時換気用換気扇の例

いろいろな種類のものが市販されていますが、選ぶ際には、上記の必要換気量を満足させるもので、運転音が小さいもの、電気代が少ないものを選びましょう。特に、運転音については、24時間・常時換気ですから、なるべく小さいものを選ぶとよいでしょう。

3)キッチンの換気扇で注意すること

キッチンの換気扇を考えるときも、換気経路をよく考える必要があります。風量が大きいので、外気の入ってくる換気口が居間などにあると、冬季に外気がかなりの量入ってくるので寒さの原因となります。これを防ぐために、最近では、同時給排型換気扇や給気がコンロもしくはその近くにあるものも市販されています。
一方、キッチン換気扇の排気口の近くの窓を開けて換気扇を回すと、せっかく排気した汚れた空気がその窓から入ってきて、また換気扇から排気され、さらにそれが繰り返されるという「ショートサーキット」がおきてしまい、換気が上手くされない(換気効率が落ちてしまう)ときがありますので、注意が必要です。
また、換気型のレンジフードは、調理時の汚れた空気を屋外に排出するものですが、汚れた空気をろ過してキレイな空気にし室内に戻す室内循環型のレンジフードもあります。コンロがIHに限られるなどの制限はありますが、一般的な高断熱・高気密住宅で採用されているレンジフードです。

3.室内を快適なまま換気する熱交換型換気扇・換気システムの種類とは?

高断熱・高気密の省エネ住宅で、より快適さを得るためには、第1種機械換気の熱交換換気システムの使用が効果的です。
熱交換型換気には、各部屋に設置して換気するダクトレス式(換気扇)と、1つの熱交換ユニットを設置してダクトで各部屋の換気を行うダクト式(換気システム)があります。

※熱交換型換気システムについては「5性能 3.換気」参照。また、全熱交換型換気扇のことをロスナイという呼ぶ場合もありますが、これは日本で最初に発売された商品の商品名です。

1)ダクトレス式

個別の換気扇を各部屋に設置して換気するため、ダクト式に比べて工事が簡単で安価ですが、設置した数だけ外壁などに吸排気口が必要になり、外観に影響する可能性があります。

全熱交換型換気扇の風量は様々ですが、住宅用では、壁掛形(壁埋込型)で20~190m³/h 天井埋込型で100~350m³程度のものがあります。


住宅の外壁に取り付けられたダクトレス式の給排気口

2)ダクト式

ダクト式は天井内などに熱交換ユニットを設置し、外気への給排気ダクト、各室への給気ダクトと給気口、および室内からの排気口を設置します。複数のダクトを天井に通すことになるので、ダクトルート上に障害となるものがないかチェックする等、設計上の工夫が必要となります。

熱交換ユニットは、住宅用~業務用まで様々なタイプがあり、風量は2,000m³/h程度まであります。

まとめ

換気を計画したり、実際に行う場合には、新鮮な外気をどこから入れて、室内のどこを通して、どこから排気するかという、「換気(通風)経路」をイメージして行うことが重要なこと、また、常時換気の風量や代表的な換気設備などについてお話ししました。
今回学んだことに関して、Asu-hausの体験棟では快適な空気環境を実現する換気性能を体験していただけます。ぜひ、足を運んでいただき、実際にその性能を体感してください。

下記から体験棟の詳細をご覧いただけます。

気密性の高い住宅では、室内の空気質をきれいに保つために換気が重要です。
下の関連記事では換気性能の重要性、新鮮な空気を室内に取り入れるための具体的な換気の方法・種類について解説しています。

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