
花粉症でも高断熱・高気密住宅なら快適?花粉の侵入を防ぐ住まいの条件を解説

高断熱・高気密住宅に住むことが、花粉症の有効な対策になることをご存じでしょうか。
花粉症は2人に1人が悩むといわれる国民病。2019年の全国疫学調査によると、年齢層別有病率はスギ花粉症では10代~50代で45%以上に達しています。また、この年齢層ではスギ以外の花粉症の有病率も30%前後と高くなっています。
本記事では花粉の侵入を防ぐ工夫や、高い気密性能、先進の換気システムなどが導入された住宅が、花粉症対策のひとつとして有効であることを解説していきます。
1.花粉症は極めて治りづらい疾患
過去20年の調査研究によると、20年前に花粉症だった患者が、20年後の調査時点でも花粉症の症状があることから、治療をせずに治るとは考えにくいという結果も報告されています。若年層は新たに発症する人が多いため、20年後の数値は大きくなりますが、50代以降では新たな発症が少ないため、20年後の有病率はほぼ変わりません。
2.日常生活で手軽にできる方法
では、普段の生活で心がけたい対策を解説します。
1)外出する時間に注意
最も有効な花粉症対策は、当然ではありますが、花粉を避けることです。花粉は昼前後と夕方に多く飛散する傾向があるため、できればその時間帯の外出は避けたいものです。

2)アイテムによる対策
外出時の服装は花粉が付着しやすいウール素材ではないものを選び、肌の露出はできるだけ避けるようにします。おすすめの素材は、綿やポリエステルなどの化学繊維とされています。また、マスク、メガネ、帽子などで花粉を防ぐことも有効です。

3.家の内外でできる工夫
続いて、花粉を家に持ち込まないための対策です。帰宅して家に入る直前、入った直後、さらに日常生活での注意点などシーン別に解説します。
1)家に入る直前・入った直後にやるべきこと
家に入る前、玄関ドアを開ける前に上着や帽子をブラッシングして花粉を払い落とし、持ち込まないことが最大のポイントです。家に入ってからも念を入れて、すぐに手洗い、洗顔で残っている花粉を洗い流しましょう。洗顔では目や鼻の周囲に付いた花粉を落とすように意識を。また、うがいは喉に流れた花粉を除去する効果があります。なお、頭髪にも花粉は付着するため、帽子をかぶっていなかった日は洗髪を欠かさないようにしましょう。

2)洗濯物、布団は外に出さない
花粉が飛散しているシーズン中は、できるだけ洗濯物や布団を外に干さないようにしましょう。やむを得ず外干しする場合は、取り込む時にしっかり花粉を払い落とすことが必要です。
3)給気口にフィルターを取り付ける
外から家の中に空気を取り入れる給気口からも花粉が入ることがあります。一般的にはほこりや小さな虫を除去するためのフィルターが予め付いていますが、花粉の侵入を防ぐためには、より目の細かいフィルターを取り付けると良いでしょう。「花粉ブロック」などの名称が付けられた製品がおすすめです。
また、稀に給気口にフィルターが付いていない場合もあります。確認して、付いていない場合はご自身でフィルターを取り付けてください。
4)家に花粉が入ったら…家電を賢く活用
家に花粉が入ってしまった場合の対策としては、加湿器の使用も有効です。加湿器から出る水分を雨粒に見立て、家の中に入ってしまった花粉に付着させて床に落とすというわけです。また、加湿器は人の粘膜のバリア機能を保つ点でも花粉症対策になります。
最近では空気清浄機能付きのエアコンが登場しており、花粉はもちろん、カビやウイルスなども抑制します。また、空気清浄機は、玄関や部屋の出入り口近くに置くと効果的とされています。

床を掃除する際は、できるだけフローリングワイパーや雑巾などで拭き取るようにしてください。掃除機をかける際はゆっくり丁寧に行い、花粉を巻き上げないようにしましょう。
4.「高断熱・高気密住宅」が有効な対策になる理由
ここからは、花粉症を防ぐ手段として、より有効な「高断熱・高気密住宅」に注目していきます。
1)高い気密性能で花粉の侵入をシャットアウト
まずは気密性能です。気密性能が高いほど家の隙間が少なく、高気密住宅なら花粉が侵入する経路はごくわずかとなります。また、アレルギー症状悪化の原因にもなる黄砂やPM2.5などの侵入を防ぐ点でも効果的です。
気密性能を示す指標は「C値」で、数値が小さいほど隙間が小さく、気密性能が高いことを意味します。
一般的な住宅のC値は5㎠/㎡、高気密住宅と言われるのはC値2.0㎠/㎡以下です。HEAT20(※)は、新築時の性能としてC値=0.7 ㎠/㎡±0.2を目安としていますが、適切な換気がなされている場合、気密性能は低ければ低いほどよいと考えられています。
※HEAT20 「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」の略称。深刻化の一途を辿る地球温暖化とエネルギー問題の対策のために2009年に発足。研究者、住宅・建材生産者団体の有志によって構成されている。
2)断熱性能が高ければ室内干しも快適に乾く
そして、気密性能とセットになる住宅性能が断熱性能で、熱を通しにくさを意味します。断熱性能を示す指標は「UA値」です。この値が小さいほど断熱性能は高く、室内の温度を快適に保つことができます。2025年4月からは「省エネ基準適合」が義務化され、断熱等級4(東京、大阪等の場合はUA値0.87)が最低基準となり、最も断熱性能の高い住宅は、等級7(東京、大阪等の場合はUA値0.26)となります。
花粉対策として、洗濯物の外干しは避けたいものですが、断熱性能が高ければ室内干しでも洗濯物は比較的早く乾き、生乾きの嫌な臭いも発生しにくくなります。さらに、高断熱の家は結露も発生しにくいため、アレルギー症状を引き起こすカビやダニの発生を抑えることにも期待できます。

3)高断熱・高気密の効果を高める換気システムも花粉症には効果的
なお、空気の出入りが少ない高断熱・高気密住宅では、換気性能も重要です。高断熱・高気密のメリットを十分引き出し、快適な住まい環境をつくるためには、第1種機械換気の熱交換換気システムの使用が有効です。
この換気システムは、花粉やPM2.5対応フィルター付きが多く花粉症対策としても優れています。確実に換気ができる上、熱交換することで、室内を快適な温熱環境に保つことも可能になります。
まとめ
近年は飛散する花粉量の増加や人の体質の変化の影響で、発症までの期間が短くなり、小さな子どもからシニアまで幅広い世代が罹る花粉症。政府は社会問題化している花粉症を解決するため、3本柱を立てて対策に乗り出していますが、家の中で花粉症に悩まされないためには「自助」も必要といえます。その意味で、高断熱・高気密住宅は根本的で非常に有効な選択です。
Asu-hausは世界基準の断熱・気密性能を備える住宅です。家庭用エアコン1台の運転だけで快適な室内環境を実現しています。また、全部屋の湿度が冬40~60%を保つため、室内に侵入した花粉の飛散を抑制する効果も期待ができます。
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