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【用語解説】「相対湿度」と「絶対湿度」とは? 2種類の違い・健康に暮らす理想の湿度

梅雨のシーズンはもちろん、蒸し暑い真夏、乾燥する冬季など、年間を通じて気になる湿度は、大きく2種類に分けられることをご存じでしょうか。

本記事では、健康的に暮らせる家づくりのために知っておくべき用語として「相対湿度」と「絶対湿度」を解説します。

1.「相対湿度」「絶対湿度」の違いは?適切な湿度管理のポイント

湿度は、空気中に含まれる水蒸気の割合のこと。暑い、寒い、乾燥しているといった肌感覚には温度だけでなく、湿度も深く関係しています。湿度が過度に高くなると、カビやダニ発生の恐れが高まり、反対に低くなり過ぎると風邪、感染症リスクや肌荒れの原因になることも。湿度の管理は、快適で健康的に暮らせる家づくりに欠かせません。

湿度は「相対湿度」と「絶対湿度」の2つの表し方があります。この違いを理解することで、家の中の湿度管理がしやすくなるでしょう。

1)相対湿度…飽和水蒸気量の中の水蒸気の割合

まずは「相対湿度」から解説していきます。天気予報やサウナなどで目や耳にする「湿度」は、この相対湿度を指します。

空気中の水蒸気は、その気温ごとに含むことができる量の限界=飽和水蒸気量が決まっています。相対湿度は、飽和水蒸気量の中に占める水蒸気の割合を「%」で示したものです。

温度によって飽和水蒸気量は変化します。例えば、下のグラフのとおり、温度が30℃の場合、1㎥中に最大30.3gの水蒸気を含むことができます(ただし、理論上の最大値として)。

仮に気温30℃の時、1㎥の空気中に含まれていた水蒸気が15.15gだったとしたら、そのときの相対湿度は、15.15g÷30.3g=50%となります。

2)絶対湿度…空気に含まれる水蒸気自体の絶対量

次は「絶対湿度」です。これは、縦×横×高さ各1m(=1㎥)の空間に含まれる水蒸気自体の量に着目し、「g」で示したものです。前述した、30.3g、15.15gといった数値は絶対湿度を示しています。

例えば、下のイラストの左にあるとおり、気温30℃、相対湿度40%の状態を想定すると、含まれている水蒸気量=絶対湿度は12.12g/㎥となります。ここで仮に気温が18℃に下がるとどうなるでしょうか? 18℃の気温が1㎥中に含むことができる水蒸気量の最大値は15.4gに縮小するため、12.12g÷15.4gだと約80%となり、相対湿度はほぼ2倍となります。

このように温度で変わってしまう相対湿度と違い、気温が変わっても含まれている水蒸気量=絶対湿度に変化はないことから、この指標は空気中の水蒸気を正確に把握したい場合に役立つといわれています。実際、厳密な水分管理が求められる工場や研究施設などでは、多くの場合、絶対湿度が基準とされています。

また、ある医療現場(※)では、

  • 7g/m3以下が、空気が特に乾燥してきてインフルエンザが流行しやすい状態
  • 11g/m3以下が、空気が乾燥してきてインフルエンザが流行してよい状態

などと、絶対湿度をインフルエンザ流行の予測に活用しています。
※宮城県地域医療情報センター

3)「湿り空気線図」が示す相対湿度・絶対湿度と温度の関係性

相対湿度と絶対湿度、温度の関係性を示したのが、下の「湿り空気線図」です。横軸が乾球温度=気温、縦軸が絶対湿度。右肩上がりの曲線が相対湿度です。
下のグラフでは、気温25℃、相対湿度50%の場合、絶対湿度は10g/kg(乾燥空気1kg に対して水が 10g 含まれていることを意味する)となることを示しています。

この空気を冷却すると、約14℃で相対湿度100%の点に達します。この14℃が露点(飽和水蒸気量が限界に達し、水蒸気が結露し始める温度)となり、約14℃よりさらに下回ると、目に見えて結露が現れ始めます。

ちなみに、絶対湿度は、湿り空気線図を使わずに、もっと手軽に確認することもできます。一般家庭におすすめなのは、持ち運びができ、どこにでも置いて測定できる市販の温湿度計です。絶対湿度を示す乾燥指数や、夏場に役立つ熱中症指数、さらに、もちろん温度、相対湿度も表示することに加え、インフルエンザ流行の危険ランクを教えてくれる機能がついたものもあります。

ただ、設置する場所には注意が必要です。直射日光が当たったり、換気の影響を受けたりすると正確な数値が得られにくいため、そうした場所は避けて置くようにしましょう。

2.湿度が人の健康にもたらす影響とは

湿度は人間の健康と密接な関係があります。湿度の変化がどのような影響を及ぼすのかを解説します。

1)相対湿度60%超でカビやダニが発生の恐れ、40%を下回ると健康リスクの懸念

まずは健康への影響です。相対湿度が60%を超えるとカビやダニが発生しやすくなります。カビやダニは気管支ぜん息やアレルギー性鼻炎などアレルギー疾患の要因となりますので、室内の湿度は40~60%の間を目安にしましょう。梅雨のシーズンで気温があまり高くなく、相対湿度が高い時は除湿機を、夏場など気温も相対湿度も高い時は、エアコン、サーキュレーターなどを適切に使うと効果的に除湿することができます。(『健康・快適居住環境の指針 健康を支える快適な住まいを目指して』平成28年度改訂版 東京都福祉保健局 より)

さらに、カビやダニ以外にも、ウイルス感染、アレルギー症状、粘膜(目、鼻、喉)や皮膚への影響、静電気、シックビルディング症候群などを避けるためにも最適な相対湿度は、40~60%とされています。合わせて覚えておきましょう。

ただ、先に述べたとおり、室温が変わると相対湿度も変わるため注意が必要です。できれば、前述した温湿度計などで定期的に絶対湿度を確認し、快適な数値を指しているか確かめる習慣をつけると良いでしょう。

まとめ

湿度は健康や住まいの耐久性に深く関わる重要な要素であることがお分かりいただけたでしょうか。適切に管理することで暮らしの質が向上し、居住満足度の高い住まいを手に入れることができます。

Asu-hausは日本最高レベルの高い断熱・気密性能を備えており、エアコン1台運転での全館空調を実現しています。めざす理想の湿度は、夏60%以下、冬40~60%内。一年を通じて、人と住宅、双方に好影響をもたらす湿度を保っている住宅です。

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居室間の室温が一定に保たれることで湿度の変化が少なく、結露やカビの抑制にも効果がある全館空調の家。以下の記事でメリットが詳しく紹介されています。ぜひご一読ください。

Asu-hausがめざす理想の湿度は、夏60%以下、冬40~60%内。2024年の8月と12月、甲州街道モデル棟で行った2回の実証実験で、その数値が実現されていることが分かりました。以下の記事でご確認ください。

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