
【専門家解説あり】快眠できる温度・湿度は?睡眠不足を解消する住環境を解説

日本は世界一の長寿国である一方、睡眠不足大国でもあります。2021年のOECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は33ヵ国中で最短でした。
そんな状況を改善するひとつのカギが、睡眠中の適切な温度・湿度の維持です。夏場の寝室の温度は26℃、湿度は50~60%が理想と話す上級睡眠健康指導士・加賀照虎氏に、快眠できる住環境づくりを取材しました。
1.健康を支える適切な睡眠とは?
健康を支える重要な要素となる「睡眠」。どのような睡眠なら適切と言えるのでしょうか。
1)快眠の3つのポイント…「年代相応の睡眠時間」「熟睡感」「規則的な入眠・起床」
睡眠には3つの指標があり、それぞれが次のようになっていれば「適切な睡眠」といえると加賀氏は話します。
「第一は“十分な睡眠時間”です。個人差、年代差はありますが、例えば33~45歳は7時間、50~70歳は6時間がひとつの目安とされています。第二は“起床時の熟睡感”。熟睡感とは、スッキリとした目覚めで、もっと眠りたいという欲求がほぼない状態。これが感じられれば、午後に眠くなるようなこともありません。そして第三が“起床と就寝の時刻が毎日ほぼ一定” であること。平日は仕事があるため一定の時間に起きたとしても、土日は平日の睡眠不足を補うため、昼頃まで寝ている、といったサイクルはお勧めできません。眠りが浅くなるなど、睡眠の質が悪くなる懸念があります」
2.快眠できない時の対処法
次に快適な睡眠が得られない場合の対策を解説します。
1)眠りが浅い方向けの対策…朝日を浴びる
睡眠不足が引き起こす悪影響にはどんなものがあるでしょうか。
「国際的な学会、学者などがさまざまなリスクがあることを報告しています。例えば、集中力低下によるミスの増加、記憶力の低下、運動パフォーマンスが低下して1.7倍ケガしやすくなる、感情コントロールの困難さ、暴飲暴食……さらに高齢者の場合は認知症リスクも高まるとされています」
眠りが浅い方なら「朝日を浴びること」が手軽で効果的な方法とのこと。
「私たちの身体は、起床後、朝日を浴びるとその時点で体内時計がリセットされ、元々身体の中にある睡眠ホルモン“メラトニン”の分泌が抑制される仕組みを備えています。そして、その14~16時間後に、再びメラトニンが分泌され、心身をリラックスモードにすることで自然な眠りが促されます。最近眠りが浅いと感じている方は、ご自身の1日のスケジュールに合わせて朝日を浴びる時間を設定すれば、徐々に起床・就寝時間が規則的になっていくと思います。理想は、タイマー機能で設定時間に開閉するタイプのカーテンを寝室に導入することです。適切な時間に自然な形で光が差し込み、気持ちの良い目覚めが期待できます」
朝日を浴びることで体内時計がリセットされる。
2)眠れなくなった時にお勧めの対処法…落ち着いた照度での読書
予定よりも早く目覚めてしまい、その後、目がさえて眠れなくなってしまう中途覚醒、早朝覚醒に悩む方は、どのように対処すれば良いでしょうか。
「私は一度寝床から出ることをお勧めしています。というのは、脳が“ベッド=眠りづらい場所”と認識するのを避けるためです。眠らなくちゃ、十分な睡眠時間が取れない、などと焦る必要はありません。焦りの原因となるので時計も見ないほうが良いでしょう」
では、寝床から出て何をするのでしょうか。
「お勧めなのは、活字が読める程度の照度のもとで本を読むこと。明るい光の刺激を浴びるとメラトニンの分泌が抑えられてしまい、眠気を遠ざける原因となります。まして、ブルーライトがきつい上、感情を刺激されるスマホやテレビはもってのほかです」
眠れない時は読書するのもおすすめ。
3..快眠できる住環境づくりを解説
快適な入眠のためには、どのような環境が理想なのか、項目別に伺いました。
1)夏場の寝室の温度は26℃、湿度は50~60%が理想
- 明るさ…完全に真っ暗な0ルクスではなく、部屋を暗くしつつもカーテンを少し開けておき、室内がうっすら見える程度の0.3ルクス程度のほうが、深い睡眠が得られると報告されています。ちなみに、豆電球を点けると9ルクス程度になり、眠るには明る過ぎる上、肥満の原因にもなり得るとの報告もあります。
- 温度・湿度…夏場の寝室の温度は26℃、湿度は50~60%、ちなみに冬は温度16~19℃、湿度50~60%です。なお、布団内部の適切な温度・湿度は、年間を通じて33℃、50%前後が推奨されています。
- 音…日中の住宅街の音に相当する、40デシベル以下が推奨されています。
- 換気…やはり空気がフレッシュであるほうが快適に入眠できます。寝室はしっかり換気しましょう。
- 寝床の高さ…低いと腰、膝が悪い方は立ち座りしづらい、ハウスダストに敏感な方はホコリが気になる、などが考えられるため、床から30cmほどの高さが推奨されています。
- 方角…前述どおり、朝日を浴びることでメラトニン分泌が抑制されるため、東向きが理想的です。
2)寝苦しい夏にお勧めのエアコンの使い方・設定方法
本格的な夏に入ると、寝苦しい夜も増えてきます。そんな時でも快眠を得るにはどうすれば良いのでしょうか。
「先述した温度、湿度の設定が基本ですが、外気温が高く、快適に感じられない場合は、設定を下げても良いかもしれません。また、熱帯夜などはタイマー設定ではなく、躊躇せずに朝までエアコンを使い続けて良いと思います。注意したいのは入眠前の入浴で、湯船に浸かる、あるいは熱めのシャワーを浴びる場合です。お勧めはおよそ2時間前に入浴を終えること。そうすれば寝床に入る頃には程良く体温が落ちてきて入眠しやすくなります。就寝中、人間の体温は下がり、明け方には平常の体温比でおよそ-1.5℃まで低下します。就寝直前に湯船に浸かっていると体温が比較的高いままであるため、入眠しにくくなるかもしれません」
寝る直前の入浴は質のいい睡眠には適さない。
寝苦しいので、ほぼ裸で寝てかけ布団もかけず、その代わりにエアコンを推奨値から上げて電気代を節約する、それとも、パジャマを着て、かけ布団をかけて就寝し、エアコンを推奨値の26℃に設定する。これはどちらが良いのでしょうか。
「後者のほうで、室温を推奨値にしておくことの方が大切です。そのほうが眠りの質が向上するからです。 また、夏であっても身体に何もかけていないと、寝室のエアコンの風が直接身体に当たって身体を冷やしてしまうことも。また、一般的に私たちの身体は明け方には体温が下がり気味になるため、パジャマを着て、かけ布団をかけて就寝することおすすめします」
寝苦しい時は着るものではなく、室温を調整する方がいい。
まとめ
本記事では、寝室を快適な睡眠環境にするためのソリューションやその根拠を解説しました。改めて、ご自分の睡眠不足や眠りが浅いことの理由に気づいた方もいたのではないでしょうか。
なかでも注目したいのが、家の中の温度、湿度の設定を適切にすることが、快適な睡眠を叶える大切な要素になっていることです。夏の全部屋の温度が26~28℃・湿度が60%以下を実現できる高断熱・高気密住宅「Asu-haus」の室内環境は、快眠できる住環境でもあると加賀氏は指摘します。
「快適な睡眠を得るための夏場の寝室の温度は26℃、湿度は50~60%が理想と申し上げましたが、Asu-hausは温度・湿度ともにこれらの条件を叶えています。また、家の中のすべての場所が温度26~28℃、湿度60%以下ということで、例えば、寝るためにリビングから寝室に移動しても温湿度の環境が変わらないため、ストレスを感じることもほとんどなく、スムーズに入眠できるのではないでしょうか。さらにエアコン一台での全館空調で、就寝中にエアコンの冷風が直接身体に当たりにくいことも、快適な睡眠環境づくりにつながると思います」
各部屋の温度差が全居室で±1℃以内、壁・床・天井の表面温度が室温±2℃以内で保たれるため、寒暖差が生じにくいAsu-haus。体調をくずしにくいのはもちろん、理想的な睡眠環境も備えていると言えます。
また、必要な明かりを必要な場所に届けるという考え方に即した配置と照明器具選定によって、1灯で部屋全体を照らすより、部屋に明暗のあるリラックスできる空間になっていることもAsu-hausの特徴です。場所に応じた明かりが演出する安らぎの空間は、快適な眠りを誘うでしょう。
下記から、Asu-hausの甲州街道モデル体験棟の詳細をご覧いただけます。
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「家の中の適切な温度・湿度設定」「全部屋がほぼ同じ室温で統一されていること」は、快適な睡眠を導く大切な要素。以下の記事では「夏涼しく冬暖かい室内空間」「部屋間に温度差のない温熱環境」が叶う全館空調の家の居住満足度をまとめたもの。加賀氏が指摘した理想の睡眠環境が実現できるAsu-hausも、エアコン1台運転での全館空調を実現する戸建住宅です。合わせてお読みいただいてはいかがでしょうか。
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