
【家づくりのヒント-土地編②】「建築条件」「分譲地」のメリット、人気の土地の目安などを解説

家づくりに役立つヒントをまとめるシリーズ記事。第1弾『【家づくりのヒント-土地編①】住まいの“基盤”、大切な「地盤」「用途地域」を詳しく解説 』に引き続き「土地」について見ていきます。具体的には、「建築条件なし」「建築条件付き」それぞれの特徴、ガス、水道など暮らしに欠かせない生活インフラを引き込む工事の注意点や、分譲地の区画の場所による環境の違いなどを中心に解説します。
1.建築条件「なし」・「付き」とは?家づくりへの影響は
家を建てるための土地を探す時、まずはインターネットやチラシからチェックし始める方は多いはず。その際「建築条件付き」 「建築条件なし」というワードが載っていることに気づいた方はいませんか? その2つにどんな違いがあるのかを見ていきましょう。
1)家の施工会社を「選べるか」「選べないか」
家づくりをする時、土地(家)の選択肢は、次のように、主に3つに分けられます。
a)建築条件なしの土地…任意の施工会社等を選び、自由な設計で住宅を建設できる土地。
b)建築条件付き土地…一定期間内に、指定された施工会社などと家の建築の請負契約を結ぶ条件が付いている土地。
c)建売住宅…土地と家がセットで販売される住宅。不動産会社などが土地を仕入れ、あらかじめ建てた家を購入する。
本記事では以上の主な3つの選択肢のうち、a) 建築条件なしの土地と、b) 建築条件付き土地について、それぞれの特徴を見ていきます。
2)建築条件なしの土地…家づくりにこだわる方向き
建築条件なしの土地の特徴は、文字どおり「条件」がないため、“家づくりの自由度”が高いことです。具体的には以下のとおりです。
- 家の施工業者を自由に選べる。工法、デザイン、設備などの選択肢が広い。
- 間取り、内外装の自由度も高い。いつまでに家を建てなければならないといった期限がなく、ライフスタイルや好みに合わせて、じっくり家づくりに臨める。
建築条件なしの土地は、水道、ガス、電気など生活インフラ整備工事と、その費用負担が必要なケースもあるものの、家を施工するハウスメーカー、工務店は自由に選ぶことができます。自分で施工会社を探す、担当者と打ち合わせを重ねる手間がかかり、竣工までに要する時間は長くなる場合もありますが、建築事務所に依頼する注文住宅や、高断熱・高気密住宅など、家づくりにこだわる方に適した土地と言えます。
建築条件は必ず記載しないといけないルールなため、一般的なサイトでは表題や宅地概要に記載されていることが多い。
3)建築条件付き土地…一定範囲内で間取りや仕様を決められる
一方、建築条件付き土地は、複数の「条件」のもとで家づくりを進めなければなりません。具体的には次のとおりです。
- 土地の売主があらかじめ指定した施工会社・工務店に依頼し、一定期間内に建築請負契約を結ばなければならない。
- 既に家が完成していて施主の「建売住宅」とは異なり、敷地条件の範囲内なら自由に間取りや仕様を決められるケースも見られるが、一定の限度はあるので、購入時にどこまで希望を反映できるのかを確認しておく必要がある。
建築条件付き土地では、通常、3ヵ月以内を目安に指定された施工会社と建築請負契約を結ぶ必要があります。比較的短い期間の間に予算も考えながら家族の意見をまとめ、間取り、仕様などを決めていかなければなりません。ある程度、時間が自由に取れて、打ち合わせに余裕を持って臨める方に適した選択と言えます。
4)建築条件なし・付きに共通する注意点
最後に、建築条件なし・付きに共通する注意点を整理しておきます。
- 電気・ガス・水道などインフラ工事が済んでいない場合、購入者が費用を払って敷設工事を行わなければならない。また、ガス、水道の本管からの距離、埋設されていた水道管の太さの規格の新旧などによって、費用がかさむケースもある(オール電化住宅を建てる場合、ガスの引き込み工事は不要になる)。
- 隣家や道路との境に段差がある土地では、擁壁(ようへき)や土留め(どどめ)などの設置工事(段差のある土地の斜面が崩れないように鉄筋コンクリートなどで斜面を壁状に覆う工事)が必要になる場合もある。
水道に代表されるインフラ整備の費用がかかる場合がある。
2.分譲地とは?生活インフラ工事済み、整備された街並みが魅力
土地探しをしていると「分譲地」というワードをよく耳にします。どのような特徴があるかを見ていきましょう。
1)暮らしやすさへの配慮、防犯面の安心も
不動産会社、ハウスメーカーなどが一定の広さの土地を分割、販売しているのが分譲地です。小さなものでは数区画、大規模になると100区画以上となり、「○○○○ニュータウン」などとネーミングされる場合もあります。主な特徴は次のとおりです。
- 分譲地内の道路、電気・ガス・水道などインフラ整備工事や、擁壁が必要な地形の場合、その工事も完了した状態が大半。
- 雨水処理施設や排水まで考慮した設計がされている。
- 隣地との境界が明確であり、将来的なトラブルが起きにくい。
- 基本的には、先述した「建築条件付き」が多いが、中には「建築条件なし」の分譲地も販売されている。
- 規模に比例して、公園やゴミステーション、街路灯、歩道なども整備されているケースも多い。統一感のある美しい街並みが維持されやすい。
分譲地は、基本的にインフラ整備工事が不要で、すぐ家を建てられるため、家づくりを早く進めたい人、分譲地内には同じタイミングで家を建てて引っ越してくる世帯が多いため、従前の関係性、生活慣例などを気にせず済む、新しいコミュニティで暮らしたい人などに、特に適していると言えます。また、住人同士の目が届きやすく、防犯面でも安心できる住環境です。
住環境に配慮されている分譲地。
3.土地の方位別での特徴…価格・住み心地はどう変わる?
土地は方位や道路との接し方、隣の住宅との位置関係によって、住み心地は変わってきます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
1)根強い人気は南側、北側も検討の価値あり
まずは、道路が接する方位別に区画を分類して解説します。
1)南側道路
道路がある分、南に4m近く開けているため、日当たり、風通しが良好。人気が高く、販売価格も総じて比較的高い。一方で、洗濯物を干す場所やリビングを南側に配置すると、道路側からの視線が気になってしまう可能性も。プライバシー確保のために壁をつくると人目は防げる半面、目が届きにくい場所が生まれて防犯上の問題が生じることもある。壁のつくり方、プライバシー、セキュリティの担保などに工夫が必要になる。
2)北側道路
日照条件は他の方角に比べると悪くなりがちだが、その分、価格は安くなることもある。また、南側にスペースを確保できれば、人目をあまり気にせずに済む庭やプライベート空間の確保も可能に。2階にリビングを設ければ、日当たり・風通しが良い快適な家族の居場所づくりができる。
3)東側道路
朝や午前中の日差しを十分に取り入れられる。南側隣地の家の配置によって西日が入りづらくなり、夏場は直射日光を避けられるメリットも。
4)西側道路
日照時間が長く、特に午後の日差しが入りやすいため、冬場は比較的暖かく過ごせる。夏場、西日の日差しが気になる場合は、西側の部屋の用途を検討する、内窓を取り付けて断熱効果を高める、などの方法が考えられる。
2)角地、中地、旗竿地…それぞれの特徴は
土地は、方角に加えて、他の分譲地との位置関係や形状によっても、それぞれで住み心地が異なります。
1)角地
2本の道路に接しているため、日当たり、風通し良好で開放感があり、人気、資産性ともに高い。東南向き角地、西南向き角地は特に人気。また、間取りの設計自由度が大きいこと、車の入出庫がしやすいなどもメリット。道路の幅員によっては隅切りを設置する必要があるが、その分、建ぺい率が緩和されることもある。半面、開口部が多いだけに人目が気になるケースもある。
2)中地
両サイドに隣家が建っているため、角地より価格が比較的安い、外装が風雨にさらされにくいなどのメリットがある半面、隣家との距離が近いと日当たり、風通しを確保しにくい、といった側面も。
3)旗竿地
旗を竿につけたような形状をしていることからこう呼ばれる。竿状の通路部分に駐車できるメリットがある。周囲を隣家に囲まれている場合が多く、前面に接道している分譲地に比べると日当たり、風通しが悪くなる場合も。人目に付きにくい奥まった場所のため、セキュリティへの配慮も必要。しかし、北側道路のケース同様、日当たり、風通しが良い2階にリビングを設ける、中庭をつくって採光を工夫するなどの手が考えられる。価格はほかの土地に比べると抑えられている場合が大半。
まとめ
本記事では、「建築条件なし」「建築条件付き」の特徴や、分譲地内の位置が異なることで生じるメリット・デメリットなどを解説しました。一戸建てを建てる土地は、さまざまな種類に分かれ、それぞれに一長一短があることをお分かりいただけたと思います。
何を重視して家づくりをしたいのか、予算との兼ね合いはどうか、この先のライフステージに即しているか。これらを十分に検討し、条件に優先順位を付けてから土地を選定することが理想の住まいへの近道になります。
今後も引き続き、理想の家を建てる大切な要素・土地にまつわる情報をまとめた記事をシリーズでお届けします。ぜひご覧ください。
下記から、Asu-hausの甲州街道モデル体験棟の詳細をご覧いただけます。
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