温熱性能

断熱等級とは?等級5・6・7による生活や性能の違い、基準値・メリットを解説

断熱等級とは、住宅の断熱性能の高さを表す指標で、快適さや省エネ性に直結する重要な要素です。

本記事では、快適な家づくりに欠かせない断熱等級のなかでも、等級5・6・7に焦点を当てて解説します。断熱等級の高い家のメリットについても触れているので、新築やリフォームを検討されている方はぜひ参考にしてください。

1.断熱等級とは

断熱等級(正式名称「断熱等性能等級」)は、国土交通省が制定した「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められた住宅の断熱性能を表す基準です。等級1から7まであり、等級の数字が大きいほど断熱性能も高くなります。

ここからは、比較的新しい基準である等級4から7までの基準を解説します。

等級 概要 制定年度
等級7
  • 国内最高基準
  • 一次エネルギー消費量※を約40%削減可能
2022年10月
等級6
  • 一次エネルギー消費量を約30%削減可能
2022年10月
等級5
  • ZEH基準相当
  • 2030年から最低基準となる予定
2022年4月
等級4
  • 2025年義務化された、最低レベルの等級
2000年4月

参考:国土交通省「住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設」
国土交通省「家選びの基準変わります」

※一次エネルギー消費量とは、冷暖房機や家電、照明など、住宅で使用する各設備機器が消費するエネルギーの量を熱量に変換した合計値のこと。

1)断熱等級7

断熱等級7は、2022年10月に定められた国内最高基準です。冷暖房効率が高く、もっとも少ないエネルギーで快適な住環境を実現できます。

断熱性が非常に高く、外気の影響を最小限に抑えられるため、冬季の室内温度は15°Cを下回ることが極めて少ないとされています。

家電や照明などを使用する際に消費する一次エネルギー消費量を約40%削減でき、高い省エネ効果が期待できます。

2)断熱等級6

断熱等級7とあわせて2022年10月に定められた基準です。冬季の室内温度は約13°Cを下回らないとされ、約30%の一次エネルギー消費量の削減が期待できます。

断熱等級6以上なら冬季でも冷えを感じにくいため、今後新築やリフォームを検討している方は、6以上の等級を選ぶのがおすすめです。

3)断熱等級5

2022年4月に定められた基準です。経済産業省が推進する「ZEH基準」に相当しますが、省エネ基準の引き上げにより、2030年からは等級5が新たな最低基準となる予定です。

断熱等級5になると、断熱等級6以上の基準と比べて、エネルギー効率の悪さが気になる場合があります。そのため断熱性能を重視したい方、省エネな暮らしを目指す方には、物足りなく感じる可能性があります。

4)断熱等級4

2025年4月から義務化された断熱等級の最低基準です。
これまでに紹介した等級と比べると断熱性能が低いため、夏は暑く冬は寒い状態になりやすいです。また、冷暖房効率も悪いため、電気代がかかります。

Asu-hausの住宅は、すべて「断熱等級7」を標準仕様で設計しています。世界にも認められた断熱・省エネ性能で、快適な暮らしを実現したい方におすすめです。

2.断熱等級の高い家のメリット

ここからは、断熱等級の高い家のメリットを4つ解説します。

1)メリット①:快適かつ健康に過ごせる

断熱等級が低いと気温差によるストレスで、快適な暮らしが難しくなる可能性があります。特に夏の暑さを不満に感じる方は多く、旭化成建材 快適空間研究所で実施した夏の住まいの温熱環境に関する調査によると、49.7%の人が「家の中が暑くてイライラする」と答えています。

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また、ある研究では「室温18℃未満の場合、病気になるリスクが高い」「断熱性能の低い家では、睡眠不足をもたらすリスクがある」などの報告もあります。

寒暖差が小さくなることで体への負担が軽減され、さまざまな不調の改善が期待できます。
具体的には、のどの痛みや手足の冷え、気管支喘息、アレルギー性皮膚炎などの症状がやわらぐケースもあります。

断熱等級が高い家ほど、健康に暮らせる可能性が高いと言えるでしょう。※1,2

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※1 参考:伊香賀 俊司『住宅の断熱化と居住者の健康に関する全国調査中間報告会 2017.1.30』
※2 参考:ダイキン「第3回 主婦に聞いた夏の寝苦しい夜の快眠法は? | 現代人の空気感調査」

2)メリット②:節電・節約になる

断熱等級の高い家では、冷暖房費や生活用品等のランニングコストを抑えられます。

国土交通省の資料によれば、断熱等級7は、等級4と比べて約17〜56%の一次エネルギー消費量の削減が可能です。一次エネルギー消費量は電気代に比例するため、断熱等級が高ければ高いほど電気代の節約につながると考えられます。

総務省「家計調査」(2024年)※によると、二人以上世帯の平均電気代は年間約144,000円です。これを基準にすると、等級7にすることで年間約24,000〜80,400円の節約が期待できます。

※参考:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」」

3)メリット③:ヒートショックや熱中症のリスク軽減

気温差が激しい状態が続くと、ヒートショックや熱中症のリスクが高くなります。 特にヒートショックは、暖かい部屋から寒い脱衣所、さらに暖かい浴室に移動した際の温度差により引き起こされることが多いため、断熱性の高い家中の室温を一定に保つことが重要となります。

また、断熱性能の低い家は夏場に高温となりやすいため注意が必要です。

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4)メリット④:環境に優しく、CO₂の削減に貢献できる

断熱性の高い住宅は、冷暖房の効率を向上させることで使用エネルギーを抑えられ、結果として温室効果ガスであるCO₂の排出削減にもつながります。

さらに、断熱等級の優れた住まいは結露や急激な温度変化による構造材の劣化が生じにくく、建物の耐久性を高める点もメリットです。建築や解体の際には多くのCO₂が排出されるため、長持ちする住宅ほど環境負荷を抑えられる、持続可能な住まいといえるでしょう。

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3.他の基準との違い

断熱性能における基準は、国土交通省が定める断熱等級以外にも「ZEH」や「HEAT20」などの基準が存在します。それぞれの各断熱等級との違いは以下のとおりです。

1)ZEH

ZEHとは『Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)』の略で、高断熱・高効率設備・太陽光発電などを組み合わせることで、住宅で使うエネルギー量を減らし、年間のエネルギー収支を実質ゼロにすることを目指した住まいです。

ZEHは「断熱性能」と「一次エネルギー消費量」を基準に評価され、これらを満たす住宅には経済産業省の支援制度が適用されます。

しかし、この支援の基準は断熱等級5に相当しているため、最新の等級7と比べると住宅の性能は十分ではありません。その結果、期待される省エネ効果やエネルギー消費の削減にも限界があるという課題があります。

2)HEAT20

HEAT20は「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」が定める、建築物の省エネルギー性能と室温の快適性を重視した外皮性能基準で、「G1」から「G3」までの3段階の基準があります。

国が定める省エネ基準だけでなく、「室温」や「エネルギー削減率」などもクリアする必要があります。省エネ基準よりも厳しく、断熱等級7がG3、等級6がG2相当と考えられています。

4.断熱等級に関する性能値

断熱等級は、以下の値に関して一定の基準を満たすことで、特定の断熱等級を取得できます。

  • 外皮平均熱貫流率(UA値)
  • 冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)

UA値・ηAC値は、地域ごとに断熱等級を満たすための基準値が決まっています。これを「地域区分」と呼び、「1」から「8」までの8段階で構成されています。

地域区分については、以下の地図をご参考ください。

引用元:一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会「HEAT20の家 ―⼿に⼊れよう豊かなくらし―」」

地域区分ごとの断熱等級1から等級7までのUA値・ηAC値の基準値は以下のとおりです。

等級   地域区分
1 2 3 4 5 6 7 8
等級7 UA 0.20 0.23 0.26 -
ηAC値 - 3.0 2.8 2.7 -
等級6 UA 0.28 0.34 0.46 -
ηAC値 - 3.0 2.8 2.7 5.1
等級5 UA 0.40 0.50 0.60 -
ηAC値 - 3.0 2.8 2.7 6.7
等級4 UA 0.46 0.56 0.75 0.87 -
ηAC値 - 3.0 2.8 2.7 6.7
等級3 UA 0.54 1.04 1.25 1.54 1.81 -
ηAC値 - 4.0 3.8 4.0 -
等級2 UA 0.72 1.21 1.47 1.67 2.35 -
ηAC値 -

参考:国土交通省 『新しい「建築物の省エネ性能表示制度」が始まります!|ラベル項目の解説』

1)外皮平均熱貫流率(UA値)

室内と外気における熱の出入りのしやすさを示す指標です。

UA値=単位湿度差あたりの「外皮総熱損失量」÷ 「外皮総面積」

値が小さければ小さいほど「熱が逃げにくい状態」であり、断熱・省エネ性能が高いことを意味します。

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2)冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)

太陽の日射熱の室内への入りやすさを示す指標です。

ηAC値=単位日射強度あたりの「総日射熱取得量」÷「外皮総面積」×100

ηAC値は小さければ小さいほど住宅に入る日射熱が少ない状態であり、冷房効果が高いことを表します。

まとめ

断熱等級は全部で7段階あり、等級が上がれば上がるほど室温を一定に保ちやすくなります。特に、国内最高基準である断熱等級7の家を選べば、快適に暮らせるだけでなく、健康面、コスト面、環境面などさまざまなメリットが得られやすくなるでしょう。

Asu-hausは、幸せな暮らしと空間が持続することを目指す未来基準の住宅です。断熱性能は「最高等級7」を標準仕様とした住まいを提供しています。

毎日を快適に過ごせ、なおかつ環境貢献にもつながるプランを高いコストパフォーマンスで提案させていただきます。

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