「二世帯住宅」40年とこれから

共働きが一般化し、親世帯との「孫共育」を望む若夫婦

女性の社会進出 専業主婦から共働きへ

二世帯住宅を変化させてきた社会情勢の1つが、女性の社会進出です。
1980年当時、共働き率(=雇用者妻の就業率)は、35-44歳で32%だったのが、2010年には同55%と大きく伸び、専業主婦世帯より共働き世帯の方が多くなりました。
最近では育児休暇制度の実施もあり、出産後も共働きを続ける傾向が強まっていますが、保育園が足りず子どもを預けられないといった問題も起きています。また、保育園に入れても、お迎えの時間までに仕事が終わるとは限りません。こうしたことから注目されるのが、親世帯の協力です。
子世帯の共働きを親世帯にサポートしてもらえれば、子世帯の主婦は安心して働くことができるといえます。調査結果では同居の理由として、「家事育児の協力」を挙げた子世帯妻が増加傾向にあります。

雇用者妻の就業率

昼間は親世帯と孫が暮らす 「孫共育」の実態

共働き子世帯の孫の行動を調べると、子世帯妻がフルタイム勤務の場合、玄関が二つあっても孫は留守中の子世帯の玄関ではなく、親世帯の玄関に帰ってきて親世帯で勉強しています。
子世帯夫妻がいない昼間は、親世帯と孫で暮らす家になっているのです。くらしノベーション研究所は、このような同居スタイルを、孫を親世帯も共に育てる、という意味合いを込めて「孫共育」と名付けました。

これまでの二世帯住宅では、孫の教育に親世帯が干渉しない方がいい、とされてきました。そのため、子ども部屋へは子世帯のリビングを通過していく間取りが多く、親世帯からは最も離れた位置になっていました。ところが、子世帯の留守中、親世帯はたとえ息子夫婦同居の場合でも54%が「孫の部屋の様子を見に行く」と答えています。それなら、孫の部屋を親世帯と子世帯の間に置く方がいいはずです。孫共育を考えると、今までの間取りとは違うものになっていくのです。

昼間は親世帯と孫が暮らす 「孫共育」の実態

設計方針は息子夫婦同居か娘夫婦同居かによっても異なります。息子夫婦同居では、「孫共育・家事分離」という、孫の世話はしてほしいけれど家事には干渉されたくない、というのが典型的な要望です。
その場合、親世帯・子世帯が別々に生活できる独立二世帯または玄関共用二世帯としたうえで、孫のスペースの奥に子世帯のLDKを配置します。
親世帯から見ると孫のスペースが近くなるので目が届きやすくなりますし、孫のスペースに行く途中で子世帯のLDKを通らないので、例えば子世帯の妻が仕事に出かける際、朝食の後片付けをしていなくても、目に触れなくなります。

また、娘夫婦同居では、「孫共育・家事融合」という、食事の準備を含め親世帯の母に頼るスタイルが典型的です。この場合はLDKも共用となりますが、特に子世帯の夫が好きなTV番組を見たり、くつろげるような居場所つくりが重要になります。

二世帯住宅の設計

同居は孫の成長や人間形成によい影響

二世帯住宅研究所の調査によれば、同居の親世帯が、保育園や学校から帰った孫たちの勉強を見たり、日常的な生活を共にすることは、近居に比べて「挨拶がきちんとできる」「年配者と自然に会話できる」「高齢者にやさしい」「協調性がある」など、孫にとってよい影響を与えることがわかっています。
また、親世帯もよく話したり笑ったりするようになるなど、孫とのかかわりが親世帯にとっても明るさや張り合いのもとになっています。

同居・近居の孫の成長や人間形成への影響(親世帯回答)

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