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2017年賃貸市場総決算!10大トピックスを振り返る

市場動向

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2017年12月19日

2017年賃貸市場総決算!10大トピックスを振り返る

今年は、10月に解散総選挙が行われ自民党が圧勝。実感は乏しいものの、内閣府が発表する景気動向指数は戦後2番目の長さで景気が拡大していることを示し、アベノミクスにさらなる期待がかかります。三大都市圏を見ると、東京では東京オリンピック、名古屋ではリニア中央新幹線開業に向け開発が進み、大阪は訪日外国人の増加で活気づいています。今年1年で賃貸市場を取り巻く環境はどのように変化したのでしょうか。賃貸市場に関係する10のトピックスを振り返りたいと思います。

2017年賃貸市場10大トピックス
 1-地価上昇が鮮明に 〜最高値はバブル超え〜
 2-賃貸市場、回復の兆し 〜高価格帯の賃貸住宅がけん引〜
 3-働き方改革進む 〜増える共働き夫婦の住まいとは〜
 4-120年ぶり改正民法成立 〜賃貸経営への影響〜
 5-2019年10月消費税10%に 〜土地活用計画に影響〜
 6-民泊新法成立、来年6月施行 〜様々な業界が参入〜
 7-ITを活用した重要事項説明が始動 〜変わる未来の部屋探し〜
 8-家族信託に注目集まる 〜超高齢社会の相続対策〜
 9-「人生100年時代構想会議」始まる 〜高齢者の住まいの多様化〜
 10-入居者向けイベント「夕涼み祭り」開催 〜賃貸住宅に求められるコミュニティ〜

1-地価上昇が鮮明に 〜最高値はバブル超え〜

三大都市圏を中心とした地価上昇トレンドは、今年も衰えませんでした。
平成29年1月1日時点の「公示地価」、「路線価」、そして7月1日時点の「基準地価」のいずれを見ても地価上昇傾向は続きました。印象的なのは、都心でそれぞれの最高価格がバブル期の価格を超えたことです。公示地価「東京銀座・山野楽器銀座本店」、路線価「東京銀座・鳩居堂前」、基準地価「東京銀座明治屋銀座ビル」、いずれの地価を比較してもバブル期の価格を超えました。もちろん、これにはバブルの再燃を懸念する声もあるように局地的な現象ですが、全体傾向としても三大都市圏の都市部から郊外へ、また地方中核都市へと広がりを見せています。

地価上昇の要因は、「東京五輪に向けての開発」、「訪日外国人の増加」、「リニア中央新幹線へ向けての開発」、「低金利による投資マネーの流入」です。来年もこの傾向は続くと思われます。土地オーナーにとっては、相続税や土地保有税への負担増が懸念されるところですが、資産価値が上がれば積極的な資産活用へのチャンスにもつながります。今後も地価動向に注目したいところです。

■基準地価の変動率推移
地価動向については、バックナンバーでも解説しています。
公示地価:「住宅地が9年ぶりに上昇!『平成29年公示地価』
路線価:「平成29年路線価、都心でバブル期を超える
基準地価:「平成29年『基準地価』、商業地10年ぶりに上昇!

2-賃貸市場、回復の兆し 〜高価格帯の賃貸住宅がけん引〜

家賃に関しても今年の春先から下落傾向には歯止めがかかり、わずかながら家賃上昇の傾向が見られるようになりました。

9月の住宅新報社の調査ではマンション、アパートについて、単身からファミリーまで全ての間取りタイプで家賃が上昇しています。上昇幅はわずかですが、下落がなかったのは2013年9月期以来とのことです。また、この数年の家賃の推移を下限、上限で見ると、下限は大きな変動はなく安定して推移し、上限の家賃が2013年のアベノミクスによる経済回復とともに上昇しています。つまり、新築を中心としたグレードの高い賃貸住宅が市場をけん引し、家賃相場を押し上げていることが分かります。

また、供給過剰による空室の増加を懸念する声もありますが、首都圏の入居率は96.3%、関西圏の入居率は94.1%であり、サブリース物件に限定すると首都圏は97.2%、関西圏は97.5%とかなり高い入居率となっています (公益財団法人日本賃貸住宅管理協会調べ、2016年10月〜2017年3月期) 。

■東京圏の賃貸マンション家賃推移 1LDK〜2DK
家賃動向については、バックナンバーでも解説しています。
最新!今春の家賃動向!市場回復の兆しも!?
首都圏賃貸市場回復の兆し、家賃上昇

3-働き方改革進む 〜増える共働き夫婦の住まいとは〜

今後の日本の大きなテーマの一つでもある「働き方改革」が進んでいます。少子化による労働力人口の減少は日本の経済成長にとって大きなマイナス要因です。この労働力不足を解消するためにも、働き方改革によって女性や高齢者を含めた「一億総活躍社会」の実現を目指しているのです。具体的には在宅勤務や男女ともに育児と仕事の両立を図るなど、多様な働き方が試行錯誤されています。

特に女性の社会進出が以前にも増して叫ばれていますが、実際、共働き夫婦は増加しています。そこで、ニーズとして急浮上しているのが、共働き夫婦のライフスタイルに合った住まいです。特に新婚の共働き夫婦は賃貸住宅に住むケースがほとんどでしょう。
昨今の共働き夫婦のライフスタイルを調査研究し、開発された賃貸住宅に『ヘーベルメゾンfufu』があります。共働き夫婦のライフスタイルは、夫婦二人の時間を大切にするとともに、一人の時間も大切にし、それをお互いが尊重する意識が高いのです。『ヘーベルメゾンfufu』の特徴は、在宅ワークや趣味に活かせるデスクスペースがあったり、ウォークインクローゼットが二つあることです。賃貸住宅のあり方もライフスタイルの変化とともに多様化しているのです。

共働き夫婦のニーズを満たした賃貸住宅については、バックナンバーでも解説しています。
女性の社会進出とこれからの賃貸住宅
増える共働き夫婦に人気の賃貸住宅とは?

4-120年ぶり改正民法成立 〜賃貸経営への影響〜

今年の5月に民法制定以来120年ぶりとなる改正民法が成立しました。改正は約200項目に及び、施行は2020年4月1日とする見方が有力です。賃貸経営に関係する内容は次の4つになります。

1. 原状回復について敷金返済義務を定義
入居者の退去時の原状回復について、「通常の使用や経年劣化による損傷は貸主負担」と明文化されました。すでに、国土交通省の原状回復ガイドラインや東京都のガイドラインに則って、関東だけでなく関西でも一般化していますが、改めて民法で定められることになりました。

2. 修繕費用は貸主負担
入居中に設備などが故障した場合も、貸主負担で行わなければなりません。オーナーが修繕の必要があることを知ったのにもかかわらず、修繕を引き延ばした場合は入居者が修繕を行うことができ、その費用はオーナーが負担しなければなりません。

3. 設備故障の際の家賃減額
例えば給湯器が故障してお風呂が使えない場合など、使用できなくなった部分の割合に応じて家賃を減額しなければいけません。これまでも、入居者から減額請求があった場合は対応しなければなりませんでしたが、これからはオーナーや管理会社が知った時点で対応しなければなりません。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会では、月額家賃の減額割合をトイレ30%、水が出ない30%、お風呂が使えない10%など目安を策定しています。

4. 賃貸借契約の個人の連帯保証人に極度額を設定
賃貸借契約の締結の際には、借主に対して連帯保証人による保証か、保証会社による保証を求めます。保証の際に、連帯保証人がいくらまで保証するのか極度額を明記するようになり、極度額のない連帯保証契約は無効とされてしまいます。極度額はいくらが妥当かについてはルールがなく、オーナーと連帯保証人の間で合意した金額ということになります。
仮に家賃を滞納され明け渡し裁判を行った場合は、1年半程度かかりますので、保証極度額も家賃の1年半から2年分程度が妥当と見られています。

5-2019年10月消費税10%に 〜土地活用計画に影響〜

10月に衆議院解散、総選挙が行われ、自民党は選挙公約の中で、消費税10%実施を2019年10月に行うと宣言しました。消費税10%はこれまで二度延期されましたが、今度こそは実施されるようです。

そこで、土地オーナーとして気を付けたいのが新たな賃貸住宅など土地活用の計画です。仮に1億円の賃貸住宅を建築すると消費税は8%で800万円、10%で1,000万円となり、その差額は200万円です。2019年9月30日までに賃貸住宅が完成し引き渡しが済んでいれば、消費税は8%です。引き渡しが2019年10月以降になる場合は、消費税は10%になってしまいますが、建築請負契約の場合は、新税率施行の半年前の2019年3月31日までに契約締結とした場合には、旧税率が適用される経過措置がとられます。うまく活用したいものです。

6-民泊新法成立、来年6月施行 〜様々な業界が参入〜

賃貸住宅などの空き部屋に旅行者を宿泊させる、いわゆる民泊「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が2018年の6月15日に施行されます。現在、民泊については国家戦略特区である東京・大田区や大阪市など一部のエリアに限られていましたが、民泊新法により、全面解禁になります。
宿泊日数は年間で180日が上限ですが、その他具体的なルールについては自治体の条例で決められるため、各自治体では場所や営業日に関する条例を協議しています。例えば新宿区と世田谷区は住居専用地域での営業を週末に限定する予定です。

民泊については様々な業界が注目し、不動産業者に限らず、楽天や全日空などが民泊事業への参入を表明しています。外国人旅行者を中心に大きなニーズが見込まれていますが、一方で近隣住民とのトラブルなどの問題も懸念されているのも事実で、今後各方面での動きがますます活発化していくことが予想されます。引き続き注目したいところです。

7-「IT重説」始動 〜変わる未来の部屋探し〜

インターネットによるテレビ会議などを通じて、賃貸借契約時の重要事項説明を行う「IT重説」が可能になりました(売買取引は対象外です)。これまでは、重要事項説明は宅地建物取引士が対面で行うことが義務付けられていました。これにより入居者は不動産会社に行かなくても自宅などで賃貸借契約が結べるようになり、宅地建物取引業者と契約者の双方にメリットがあります。
株式会社リクルート住まいカンパニーの調査「2016年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査(首都圏版)」を見ると、部屋探しから契約までの期間は平均18.7日と年々短くなり、内見数は平均3.1件。内見していない人も1割もいます。最近は物件の写真や動画がホームページには豊富にあり、いずれは、ネットだけで部屋探しから契約まで完結するスタイルが増えていくかもしれません。
「IT重説」については国土交通省でもマニュアルを作成していて、トラブル防止のため内見の実施は勧めていますが、部屋探しの方法も新しいステージへと向かっているようです。

8-家族信託に注目集まる 〜超高齢社会の相続対策〜

超高齢社会の日本において、問題視されているのが「認知症」の問題です。被相続人が高齢になるほど認知症になるリスクが高くなります。認知症で意思表示に問題があると、事実上資産は凍結され、相続対策などができなくなってしまうのです。そこで、解決策として注目されているのが家族信託です。
これは、子どもなどに資産の管理を委託するもので、家族信託契約を結んでおけば、被相続人が認知症になっても、柔軟に資産を管理・運用することができ相続対策もできます。従来は、認知症になると成年後見制度を活用することになるのですが、この制度は本人の資産保護が目的のため、不動産などを売却したり活用したりすることは、よほどの理由がないとできません。
超高齢社会の相続対策は、亡くなった時のことを考えるのではなく、認知症など病気発症のリスクも考慮して行うことが必要不可欠になりました。

■家族信託の仕組み
家族信託については、バックナンバーでも解説しています。
今注目の家族信託を上手に活用する
相続対策の盲点 認知症のリスクを考える

9-「人生100年時代構想会議」始まる 〜高齢者の住まいの多様化〜

超高齢社会では病気へのリスクが懸念される一方、元気な高齢者がどう人生を過ごすかも大きなテーマです。話題の書籍『ライフ・シフト(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット共著)』によると、今の日本の10歳の子は50%の確率で107歳まで生きるそうです。このことに端を発し、政府は「人生100年時代構想会議」を立ち上げました。人生100年時代を見据えて、いくつになっても学んだり、働いたり、新しいことにチャレンジできる社会の実現を目指そうというものです。
今現在でも定年後も働いたり社会活動をしたりとアクティブに過ごす高齢者は増えています。そうなると、ライフスタイルに合わせて高齢者の住まいのニーズも多様化してくるのではないかという見方ができます。郊外の一戸建ては、駅から遠く高齢者夫婦には広すぎるでしょう。もっと利便性のよい駅近で、コンパクトに生活できる住宅への住み替えを考えてもおかしくありません。しかし、現状では、元気な高齢者夫婦が入居できる住まいが不足しているのが実態です。
そんな元気なシニアのニーズに応えたのが、『ヘーベルVillage』です。賃貸住宅で気軽に住み替えができ、夫婦二人でも十分な広さで、健康面での万が一の不安にも対応してくれるニーズを満たした賃貸住宅です。『ヘーベルVillage』は24時間の見守りサービスや社会福祉士等の相談員による毎月一回の定期訪問があることなどから、入居者だけでなく、入居者の家族からも支持を受けています。

アクティブな高齢者のニーズを満たした賃貸住宅については、バックナンバーでも紹介しています。
アクティブシニアのライフスタイルに応える賃貸住宅

10-入居者向けイベント「夕涼み祭り」開催 〜賃貸住宅に求められるコミュニティ〜

賃貸市場が激化する中、差別化を図ったコンセプトマンションが人気を集めています。キーワードは「コミュニティ」です。賃貸住宅では敬遠されがちなコミュニティですが、「共通の価値観」を持つ入居者が集まれば、ゆるやかなコミュニティが形成され、「安心・快適・楽しい暮らし」が生まれるのです。

今年の夏、子育て共感賃貸住宅『ヘーベルメゾン母力(BORIKI)』の敷地内で入居者向けイベント「夕涼み祭り」が開催されました。『ヘーベルメゾン母力(BORIKI)』は、子育て世代を入居対象とし、お互いの子どもをみんなで見守り、気軽なご近所付き合いで子育てを共感するコミュニティ賃貸です。
このイベントの盛況ぶりが示すように、賃貸住宅でもゆるやかなコミュニティのニーズがあるのが分かります。コミュニティの形成は、「顔が見える安心感、仲間意識・連帯感、地域とのつながり、トラブル回避」につながり、入居者の満足度が上がります。結果、長期入居となり、オーナーにとっては長期安定経営が実現します。

『ヘーベルメゾン母力』での夕涼み祭りイベントの様子
『ヘーベルメゾン母力』での夕涼み祭りイベントの様子

先の『ヘーベルVillage』もコミュニティ賃貸の一つで、その他にもペット共生型賃貸住宅『プラスわん プラスにゃん』、都市で暮らす女性たちのあんしん共有賃貸住宅『ニューサフォレ』などがあります。

コミュニティ賃貸住宅については、バックナンバー等でも解説しています。
駅から遠い立地でも成功する"ペット共生型"賃貸住宅とは?
女性の社会進出とこれからの賃貸住宅
キャンセル待ちが出る、子育てコミュニティ賃貸住宅

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