「断熱性能」が大切な理由とは?メリットや性能の高め方を解説
現代では、世界の多くの地域において、高い断熱性能が必要と考えられています。「冬暖かくて、夏涼しい」 温熱環境のいい家をつくるにあたり、ここでは、必要な性能として欠かせない5つの主な要素の一つである「断熱性能」から学んでいきましょう。
1.断熱性能が高いとどんなメリットがある?
1)冷暖房で消費するエネルギーが少なくなる
断熱とは、文字通り〝熱を断つ〞こと。熱は高いほうから低いほうに移動する性質があるので、夏は外からの熱を入れないように、冬は内の熱が逃げないように断熱性能を高めると保温効果が高くなり、冷暖房の効きが良くなります。そのため、電気の使用量が減り、電気代も安くなります。
2)家中の温度差が小さくなって、快適で健康な暮らしに
断熱性能の高い家は、外に熱が逃げないため、家全体を効率よく冷暖房でき、冷暖房をしている部屋と、していない廊下やトイレなどとの温度差が小さくなり、家中を均一な温度にしやすくなります。部屋間の温度差の小さい暮らしは快適であるだけでなく、高血圧の緩和やヒートショックを予防する効果もあります。さらに、疾病やアレルギー症状の改善などの調査結果もあります。
2.どうやって断熱性能を高める?
1)窓を高断熱窓にする
外部からの熱の出入りが、一番大きいのが窓で、夏は流入する熱の73%が、冬は流出する熱の58%が窓からとなっています。(日本建材・住宅設備産業協会調べ 図参照)。そこで、窓を高断熱にする必要があります。高断熱窓は、枠・障子が樹脂製で断熱性能が高く、ガラスもトリプル(三重)ガラスになっています。
窓は、熱の出入りが最も多い場所。
2)壁、床、天井を高性能に、断熱材を切れ目なく入れる
熱を伝えにくい素材でできた断熱材は、繊維系、発泡プラスチック系等があります。その断熱材を、屋根(または天井)、壁、床(または基礎)に入れます。高性能の断熱材で、熱の逃げ道がないように切れ目なく、家をすっぽり包むように入れることが重要です。
断熱材は家をすっぽり包むように入れる
断熱材で家をすっぽり包むことで冬暖かくて、夏涼しい環境に。
断熱効果を高めるためには、それ以外にも以下のような点で気を付ける必要があります。
3)気密性を上げる(C値※を小さくする)
断熱材を入れても、隙間だらけでは熱が逃げてしまい、さらに結露も生じてしまいます。よって、隙間をなくし気密性を上げる必要があります。気密性を上げることで、計画的な換気を行うことができます。
※C値(相当隙間面積)とは、気密性能を示す数値で、延床面積あたりの隙間量(㎠/㎡)。小さいほど望ましいとされます。
4)熱交換換気をする
高断熱・高気密の家には換気が不可欠となりますが、外気をそのまま入れてしまうとせっかく暖めた(冷やした)室内の温度が下がって(上がって)しまいます。そこで、外気を室温に近づけて入れる熱交換換気を行い、冷暖房負荷を低減します。
関連記事:高気密高断熱のメリット・デメリット
また、本記事と併せて動画もご用意しました。下の動画では、断熱性能の基本から快適な温熱環境を実現するためのポイントまで、分かりやすく紹介しています。本記事に加えて、動画視聴することで、より深い理解が可能になります。ぜひ興味がある方はご覧ください
3.目指すべき温熱環境は?
断熱性を高めると家中の温度差が小さくなって、快適な暮らしになりますが、そもそも、どんな温熱環境(温度、湿度など)を目指せばいいのでしょうか。
1)家の中で「暑い」「寒い」と感じるのは、何が影響する?
温熱環境の要素は、空気の温度、湿度、気流(風)、室内表面温度の4つの環境側の要素と、活動状態(代謝量)と服装(着衣量)の2つの人体側の要素ですが、特に大事なのは環境側の4つの要素です。環境的要素の温度、湿度、気流については、すぐ理解できると思いますが、室内表面温度は耳慣れない言葉かもしれません。室温が快適域でも、壁や床、天井の表面温度が低い(冷たい)と体の表面から放射で熱を奪われ、人は寒さを感じます。夏はその反対で、冷房で室温を下げても、床・壁・天井の温度が高ければ、暑さを感じます。
快適さを得るには、人体側の2要素はある程度調整できますが、環境側要素4つについては建築的な手法でうまく整えることが大切になります。快適な住まいの温熱環境を考える際には、まず建築的な手法でコントロールできる環境側の4つの要素をうまく整えることが重要です。
2)理想の室内の温熱環境とは?
温度は、冬20〜23℃、夏26〜28℃で、湿度は40~60%です。気流は、0.15m/s以下だと人間は風を感じないので、冬は0.15m/s以下、夏は少し風があったほうが涼しく感じるので、0.5m/s 以下としています。室内表面温度は、室温と同じが理想です。これらが快適環境の目安となります。
理想の室内の温熱環境
理想の温度・湿度・表面温度・気流速の詳細は、「快適な温熱環境とは?」の記事で詳しく紹介しています。建てる前も、建ててからも快適に生活するために目指す理想の温熱環境を考えてみましょう。
まとめ
断熱性能の向上は、冷暖房のエネルギー消費を削減し、室内温度を均一に保つことで快適な生活環境を提供します。窓や断熱材の設置、気密性向上といった対策で光熱費を抑え、熱交換換気により健康を良好に保ちます。
断熱性の高い家に住み、気密性を上げることで、光熱費の削減や健康的な暮らしが実現できます。
快適な温熱環境を実現するためにまずは断熱性能を高めましょう。Asu-hausでは、十分な断熱性能を確立した生活環境を実現する家づくりを行い、快適な暮らしを実現しています。
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繰り返しになりますが、いくら断熱性能がよくても、家の隙間が多いと熱が出入りしてしまい、せっかくの断熱性能が台無しに。気密性を上げることが、快適で健康的な生活空間の確保に不可欠です。下の関連記事では、気密性能がもたらす利点や、エネルギー効率を向上させる方法、さらには家全体の快適さを保つためC値の基準について詳しく解説しています。ぜひ、理想的な住まい作りに役立ててください。
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