温熱性能

「断熱材」の種類は?施工方法や選ぶポイントを解説

高断熱高気密の住宅をつくる上で、要となる「断熱材」には、様々な種類があり、特徴も異なります。断熱材を選択する際にどういう点に留意したらよいかをまとめました。

1.断熱材の種類は?

大きく分けて、繊維系と発泡プラスチック系があり、代表的なものにグラスウールとフェノールフォームがあります。

1)繊維系

無機系と木質グラスウールに分けられます。無機系では、ガラスを溶かして繊維状に加工したグラスウールが広く普及しています。木質繊維系では、古紙を再利用したセルローズファイバーが代表的なもので、壁や天井内に吹込む施工方法が一般的です。

2)発泡プラスチック系

様々な樹脂を空気よりも断熱性能の高いガスで発泡させたものです。その気泡が小さくて数が多いほど、熱が伝わりにくくなります。多くは板状に製造されますが、現場で吹き付けするタイプもあります。

2.断熱材の素材の違いによる影響は?

1)断熱性能と耐久性に差が生じる

一つは、断熱性能に大きく差が出ます。
断熱性能は熱の伝わりやすさを示す値「熱伝導率」で表され、数値が小さいほど熱を伝えにくい、つまり断熱性能が高いことを表します。

2つ目は、湿気の通りやすさと、それに伴う耐久性に違いがあります。
繊維系のグラスウールなどは、材料の中に水蒸気が入りやすいので、施工時にはシートを張るなどの防湿施工を確実に行う必要があります。水蒸気が入ると、断熱材が収縮してしまい性能の劣化の原因に。
発泡系のフェノールフォームなどは、一般的には透湿性が低いため、シートを張る必要がなく、高い断熱性能が長期間持続します。

素材別熱伝導率(熱の伝わりやすさ)の比較。発泡プラスチック系のフェノールフォームで最も低く(熱を伝えにくく)なります。

参考資料:(一般社団法人)木を活かす建築推進協議会「平成28年省エネルギー基準 (H29.4.ver) 対応 住宅省エネルギー技術講習設計テキスト―詳細計算ルート」

2)高性能で安心なフェノールフォーム断熱材

フェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」は、世界トップクラスの高い断熱性能を持っています。他の断熱材に比べると、同じ厚さでも高い断熱性能を発揮します。断熱性能の高いガスが閉じ込められた微細な気泡が、多数あることでその性能を実現しています。さらに、長期にわたってその性能を維持する長期断熱性能も備えています。
また、多くのプラスチックが熱に弱いのに対して、フェノールフォームは、フライパンの取っ手や自動車の部材などにも広く使われているほど、高い耐熱性能・難燃性能を持ち併せているので、火に当たっても炭化するだけで燃え上がることはありません。また、シックハウスの原因の一つであるホルムアルデヒドが最も少ない建材(*)なので、建築基準法上、内装仕上げの規制対象外品として面積制限無しで使用することが可能です。

*日本塗料工業会における塗料・塗装とホルムアルデヒド規制に関する建材のホルムアルデヒド放散の等級表示においてF☆☆☆☆に該当。☆の数が多いほどより放散が少ないことを意味しており、その中で最も少ない等級が「F☆☆☆☆」です。

「ネオマフォーム」の高断熱のヒミツは微細な気泡構造。他素材の断熱材よりも小さい気泡の中に、断熱性の高いガスを閉じ込めています。

3.断熱材の施工方法は?

木造住宅の外壁の断熱工法には、大きく3つあります。

1)充填断熱工法

柱・間柱の間に断熱材を充填する方法です。主にグラスウール断熱材が使われ、最も一般的な工法です。筋交い等の柱間の構造やコンセントボックスなどが障害物となってしまうので、隙間なく施工するよう注意が必要です。

2)外張り断熱工法

主にフェノールフォームなどの断熱材を、柱・間柱の外側から施工するものです。断熱材で柱・間柱をすっぽりと覆うので、断熱層の切れ目が少なく、柱・間柱からの熱の出入りを抑えることができます。

3)付加断熱工法

外張りと充填の両方で断熱する方法です。二重に断熱することで高い断熱性能が得られます。

4.断熱材を選ぶポイント

最後に、建築に用いられている断熱材を選択する上でのポイントを紹介します。

1)光熱費や、室温の課題や希望を設計者に伝える

日本の省エネルギー基準で定められている住宅の断熱基準は、他の先進国と比べても低く、基準値をクリアするだけでは快適な温熱環境は得られません。そこで、どの程度のあたたかさが欲しいのかというイメージをもつことが大切です。希望の室温や光熱費の課題などを設計者に伝えましょう。

2)どのくらいの断熱性能の家をつくることができるのか確認

断熱材は種類も多く、施工方法も異なってくるので、高断熱住宅の設計・ 施工にはノウハウが必要です。設計者や施工店を選ぶ際に、どういう断熱材を用いて、どのくらいの断熱性能の家をつくることができるのか聞いてみましょう。

3)目指す断熱性能と予算によって、断熱材を組み合わせる

最近増えているのは、外壁の断熱工法として採用しているのは付加断熱工法です。例えば、グラスウールを壁の中に充塡し、フェノールフォームを外張りするという方法です。外張りには、断熱性能がとても高く施工性もいいフェノールフォームを定番で使っています。断熱材を組み合わせて用いることで、性能と予算のバランスをとるといいでしょう。

まとめ

高気密・高断熱の住宅を実現するためには「断熱材」の種類や素材によって断熱性能に違いがあることを知っておきましょう。木造住宅の断熱材の施工方法として3種類の断熱工法が存在し、また高断熱とすることで夏・冬の各シーズンにおいても快適に過ごすことができます。十分な断熱性能を確立した生活環境を実現する家づくりを行い、快適な暮らしを実現しています。

家の断熱性能を高めると、生活にどのような影響があるのでしょうか。また、断熱性能を上げる方法は、断熱材を使用する以外にも、他にも留意すべきことがいくつかあります。下の関連記事では、断熱性能が生活の質をどのように向上させるのか、断熱性能のメリットや性能の高め方、方法について解説しています。ぜひ参考にしてください。

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