和洋折衷を生かした重鉄3F建ての自由空間
「ヘーベルハウスにもこんな和テイストのデザインがあるんですねえ」と到着早々感心を寄せるハンセン神谷さん。
この日訪れたのは都内・駒沢公園ステージ第1展示場の『フレックス』モデル。
和モダンデザインを活かした都市型重鉄3F建ての建築だ。
ハンセン神谷さん(以下ハンセン):いきなりしっくりきた。
と言ったのには理由がある。
40歳を過ぎた頃から、ハンセンさんはごく自然に和装を採り入れているのだ。
日本人としてのアイデンティティに対する意識が深まり、その影響があったからだという。
もちろんこの日も、ビシッとした和装で現れた。
ハンセン:ただし、着物の下に着る肌着に襦袢を着用する本格的な着方ではなく、バンドカラーのコットンシャツを着て、今様な着崩しで楽しんでいます。
この家だってコテコテの和風建築ではなく、現代的なエッセンスを加えた和洋折衷的なモダンテイストに仕上げてあるでしょう。
だから親しみやすい感覚をおぼえたんです。
それから、やっぱり年齢を重ねると、和風が恋しくなるからか、ひと目で気に入りました
2Fの開放的なLDK
2Fの開放的なLDK(約45帖スペース)がとくに気に入ったようだ。
ダウンフロアになったリビングの設計に接し、
ハンセン:なるほど、こうすることで壁がなくても空間の縁が切れるわけですね。
これはいいなあ、団らんの中にいても沈黙が許されそう。
団らんの輪の中にいると、何もしゃべらないでいると機嫌が悪いと思われちゃうけど、この空間にいると周囲との縁が切れるので、黙っていても何かに集中して沈思黙考しているように見えると思う(笑)
45帖の広々としたLDK。
ダウンフロアのリビングスペースだけでも10畳ある。
無柱空間を実現できるヘーベルハウスならではだ。
ハンセン:これだけ広ければ、ぜひティキを飾ってみたい。
アイランド型のカウンターキッチン
このフロアのキッチンのしつらえやデザインにも注目。
アイランド型のカウンターキッチンが気になったようだ。
ハンセン:料理はたまにするくらいですが、このキッチンなら客人をもてなしたくなりますね。
僕が暮らしている湘南地区では、月に1度はホームパーティを行うようなカルチャーが育っているのですが、人が集える家って(家を建てるうえで)とても大切な要素だと思うんです。
ここはまさに人が集いたくなる空間ですね。
男の厨房にふさわしいアイランド型カウンターをしつらえたキッチン。
料理する頻度が高まりそうとハンセンさん。
ハンセン:たすきがけして、和食の職人みたいにお客様をもてなしてみたいですね(笑)
1Fの和室
1Fの和室にも足が止まった。
内廊下から小上がりになっている6帖間だ。
ハンセンさんの現在の住まいには和室はないそうだが、もしも家を新たにつくれるなら和室はぜひ欲しいとのこと。
これも日本人としてのアイデンティティが高まっているからなのだろう。
玄関正面の6帖の和室。
床材はホワイトオークに、亀甲加工を丹念に施している。
足ざわりが心地よく、絶妙な陰影をもたらし重厚な雰囲気を演出する。
ハンセン:この和室で頑固親父よろしく腕を組んで"お嬢さんをください"という若者を気難しい顔でにらみつけてみたいですね(笑)。
もちろん和服を着て。
3Fの主寝室
3Fにある10.2帖の主寝室。
和洋折衷のデザインは年齢を選ばずに好印象を与える。
明かりとりの障子使いも巧み。
朝のおだやかな光で、心地よい目覚めを味わえそうだ。
帰り際に、木の温もり溢れる贅沢な仕様にもとても共感をおぼえたと語ってくれた。
それもまた自然木を扱う彫刻家の気持ちを大いにくすぐったからに違いない。
1960年、神奈川県生まれ。
ハワイ古来の神像"ティキ"およびポリネシアンの御守り"ボーン・カーヴィング"を手掛けるアーティスト。
2007年には、ハワイの伝統航海カヌー・ホクレア号が横浜に寄港した際、同船の帰港の守り神として平和の神・ロノを制作し、奉納したこともある。
現在は湘南のアトリエを拠点に活動中
URL: http://hansenkamiya.com/
written by Masaki Takahashi /
photographed by Shinichi Miura