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暮らしのコツ

TASK LIGHT LAMPS FOR ALL

街の灯り

前照灯付きスリッパ

これまで照明器具に使われてきた白熱電球や蛍光灯に比べ、光源が小さく、発熱が少なくて、わずかな電力でも発光するLED。小型電池と組み合わせると電源コードも不要です。この新しい光、LEDランプの性能アップにより、これまでは「光」がなかった場所や日用品に小さな灯りを与えることが可能になりました。今回はそんなアイテムを紹介しましょう。
まずは、画期的なフットライトと、透明な飲み物が入ったグラスを光らせるコースターです。
アメリカ・ジョージア州の発明家ダグ・ヴィック氏は、2004年のある夜、自分のベッドに戻る途中、ベッドのフレームに体をぶつけてしまいました。これが光るスリッパ「Brightfeet™(ブライトフィート)」誕生のきっかけです。真夜中の寝室で自分と同じ痛い経験をした人は、世界に何百万人もいるはずだ。翌朝、そう考えたヴィック氏は、いちいち照明のスイッチを手探りで探さなくてもいい、究極の夜間照明の開発に取り掛かります。灯りが必要な場所に必要な分だけの光を与えるには。彼が考えたのは、歩行をガイドするように足元の前方を照らす光です。このスリッパの先端にはLED照明が仕込まれていて、暗闇の中でスリッパを履くと体重で自動的にスイッチが入ります。スイッチには光センサーが内蔵されていて、明るい場所ではライトが点灯しません。
日本にはまだ正規輸入されていませんが、間もなく発売されるのではないでしょうか(amazon.comでアメリカから直接購入することもできます)。ちなみに夜間の散歩用に、足元前方を照らすLED照明が内蔵されたウォーキングシューズは既に国内で発売されています。

前照灯付きスリッパ

光るコースター

お酒を楽しむバーは、店内の照明は抑えめですが、カウンターまわりにはゲストを楽しませるための光の演出が用意されています。例えばバーテンダーが客にカクテルを差し出す場所の真上には、輝度が高いピンスポットが灯っていて、舞台照明のようにグラスとカラフルなカクテルを美しく照らし出します。でもスポットライトは固定されているので、光が当たる場所は限られます。それならグラスを真上から照らすのではなく、真下からライトアップする台があれば……。グラスを光らせるコースター、それがコースター形LEDライト「LUXpod®」です。ドイツのオスラムの製品で日本では三菱電機照明(旧三菱電機オスラム)を通して発売されています。直径9cmで厚みは11mm。グラスを置くとその重さで点灯し、内蔵されたカラーチェンジングタイプLEDにより光色が自動的(5秒ごと)に変化します。ホームパーティーにはもちろん、寝室の枕元に置く水差しのベースに使うのも面白いかもしれません。

光るコースター

LEDにしかつくれない光

バラの造花を封じ込めた透明アクリルの椅子「ミス・ブランチ」などのデザインで、世界的に知られる倉俣史朗さんは、LEDをいち早くデザインに採り入れたデザイナーです。1988年にデザインした「SAMBA B」は、ステム付きのグラスのボウルに、発光ダイオードを一粒だけ収めた作品です。ベースの裏側に小さなボタン電池を隠し、磨りガラス加工が施されたステム内に配線してボウルの点光源を発光させます。白ワインやシャンパーニュを注ぐと、赤色発光ダイオードの小さな光がグラス内で乱反射し、グラス全体がうっすらと光って見えます。20世紀後半、LEDは暮らしを照らす光ではなく、複数個を組み合わせ電光掲示板や看板などの表示用に使わることが多かったのです。照明としての照度も足りなくて、光色も限られ、今日のように照明器具に使うことは考えられませんでした。倉俣さんは、この産業用の飾り気のない発光素子をたった一粒だけ使い、儚げで詩的な光景を描きだしました。ただ光があればいい部分だけに使われるのではなく、LEDにしかつくれない光があることを、「SAMBA B」は私たちに見せてくれたのです。

K-SERIES S7160/YAMAGIWA

K-SERIES S7160/YAMAGIWA

白い布をつまみ上げたような柔らかなフォルム。「重力」をそのまま形にしたような白いシェードは、熱して柔らかくした白アクリル板を台に載せ、四方からドレープの形状を整え、硬化させて完成します。手づくりのためシェード形状はすべて同じではありません。通称「オバQ」。倉俣史朗さんの1972年のデザイン。「S7160」は写真手前の小型のタイプです。

高さ37×幅約45cm。
光源は電球型蛍光ランプA型40W×1(電球色)。
¥34,335
YAMAGIWA Online Store

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