暮らしのコツ
今回は、環境省主催「省エネ・照明デザインアワード2013」で、金融機関として初めて優秀事例に選出された、札幌信用金庫札幌駅北口支店の画期的な照明計画を紹介しましょう。金融機関はいち早く照明のLED化に取り組んだ業種でした。銀行や信用金庫が管理する数多くのATM。24時間化に伴いATM内の照明は消灯されることがなくなり、電気代や長時間点灯による蛍光灯の劣化交換が増えたことが、管理上の問題となったのです。長寿命で消費電力が小さなLEDは、その問題を解決してくれる最適な光源でした。また、信頼性が重視される銀行のロビー空間では、劣化した蛍光灯のちらつきや球切れは銀行イメージ低下にもつながります。しかもロビーは高天井の空間が多く、営業時間中に即座に高所の器具を交換することは難しい。ここでも、安定した光が長保ちするLED照明が注目されたのです。
札幌信用金庫でも、地域の省エネと環境配慮型施設のお手本を目指して2006年からLED化を推進、2010年以降の新店舗はすべてLED化を果たし、照明学会の北海道優秀照明施設賞も受賞しました。しかし、同信用金庫のLED照明採用の理由は、長寿命と消費電力軽減だけではありませんでした。
札幌信用金庫札幌駅北口支店の照明は、太陽光の変化に合わせて色温度が変化するのです。店舗の営業時間中は真っ白でさわやかな光で、活気のある光環境をつくりあげていますが、夕方に近づくと次第に電球色に変わり、くつろぎ感のある穏やかな雰囲気をつくりだします。ATMの照明も同様に色温度が変化して、夜になると和やかな辻行灯のような佇まいを見せています。これは光色のコントロールが得意な、LEDならではの照明計画と言えるでしょう。コンビニやオフィス、学習塾の色温度の高い真っ白な光は、人を覚醒させるため眠りの準備を妨げ、睡眠障害の原因になっていると考えられています。もしも、都市空間の照明が時間に合わせて色温度が自然に変化して、夜には街が電球色の光に包まれるなら、都市生活者の眠りの質も向上するかもしれません。札幌信用金庫のATMの灯りはそんな可能性を感じさせてくれる事例です。
アメリカ映画にもよく登場する、グリーンのシェードと真鍮のデスクランプ。バンカーズランプと呼ばれ、古くから銀行ホールの執務用に使われていた、タスク照明のルーツとも言える照明器具です。その伝統的なデザインや質感を活かして、LED化、リデザインした照明器具が2014年に発表されました。デザインはロン・ジラッドです。
高さ40×幅25.5×奥行き8cm。重量0.91kg。
スマートフォン充電に使えるUSB端子付き。¥58,320
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